594話 ちょっとおこ
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レイリーは、家族の話を聞いてきた副官の話を聞いて、何やらメモを取っている。副官たちの報告を聞き終わると、俺の指示を現実にするために、副官たちに命令を下していた。
俺はその間、妻たちに話をしている。俺の思うようにやっていい、フォローはするから思う存分に……と後押ししてくれた。最低でもニ人は、誰かが近くにという事だった。
こうなれば、大体メンバーは決まってるよね。シュリとアリスだ。最硬の盾に最強の矛のシュリ、最巧の矛のアリスが、俺の護衛にあたるようだ。そして俺の事を心配してくれている三幼女の、シェリル・イリア・ネルもついてくるようだ。
「みんな、ありがとね。じゃぁ行こうか」
俺たちは全員、フレデリクとリーファスの戦争時に使った、殺さないですむ武器を装備している。何でこの装備かといえば、手加減なしで攻撃できるという所だ。手加減した攻撃で相手を戦闘不能にさせる労力を、省くための装備だしな。
レイリーの指揮のもと、門からまっすぐ領主がいるであろう領主館へ進んでいく。
途中、兵士たちの妨害があり、冒険者たちにけが人は出るが、魔法で回復できる範囲で済んでいる。相手は何人か死んでしまったが、それはしょうがないだろう。生きている兵士たちは、骨折やその一歩手前、脱臼等でまともに動ける者はいなかった。
そのまま、領主館に到着する。そこの門は固く閉ざされている。けど、街の門を壊して入って来た俺達にはこの程度の門では俺達の足止めも・・・おろ?
「レイリーどうかしたのか?」
「どうやら、この門は魔道具の様だったので、どういう風に対応しようかと話しています」
そういわれて近付いて、ペタペタと触って確認する。なんだこれ? 押した力で押し返される? ガルドとかが得意と言っていた、反射結界の劣化版みたいな感じか?
「これまだ攻撃してないよな? 危険だからってことか?」
「そうですね。以前体験した四大精霊様の結界に似ていたので、どうしようか悩んでいます」
俺の隣でペタペタ触っていたアリスが、
「レイリーさん、この魔道具の結界は反射ではなく、同じ力で押し返すだけの結界です。結界が耐えきれない攻撃を加えれば壊れます。それにこの門をざわざわ通らなくても、中に行く方法いくらでも有りますよ」
「なるほど、この門を叩いたとしても、力がかかった分だけ押し返す感じなのですね。それなら正攻法で街の門を壊した方法を、ここでも使いましょうか。準備を進めてくれ」
門を壊す時に活躍した、中隊長が呼ばれて前に出てきて、レイリーから話を聞いている。
レイリーは中の様子を探るために、索敵スキル持ちと手分けをして、領主館の周りを歩いている。感知できる範囲で、中の様子を調べているようだ。
感知できる範囲に敵がいない事を疑問に思っているが、レイリーにはマップ先生が見れるタブレットを渡してあるので、中の様子は丸わかりなんだけどな。
その情報によると、残りの敵兵士と前線に出てこなかった士官クラス、文官、領主、主だった人間は隠し部屋……というには、広い所に集まっているようだ。
索敵スキルがあるので、あの隠し部屋のような所に近付けばバレるけどな。
門を壊す作業が始まった……っておぃ! 四発で壊れるんかい! 思ったより脆い。待てよ、あのサイズで街の門のニ割分の攻撃力に耐えたのか。
そう考えると街中では、過剰な防御力なのではないだろうか? 何に対してこんな過剰な防御力の門を、用意していたんだろうな?
冒険者を連れて中隊長たちが、中になだれ込んでいく。門の確保には一中隊分が残るようだ。
領主館に残されていた兵士を倒しながら、ドンドンと先へ進んでいく。くまなく探しても探しても主だった人間たちが見つからなかったため、索敵の使える冒険者を中心にして屋敷の探索を開始した。
五分もしないうちに、隠れている大体の場所が分かったようだが、侵入方法が分からずに右往左往している。こんな時に何を真正面から入ろうとしてるんだか?
ダンジョンじゃないんだから、いちいち手順を踏む必要も無いんだぞ。場所的には地下に位置する場所なので、おそらく階段を探しているのだろう。そんなことしなくても簡単に侵入できるぞ。
「レイリーどうした? いる場所が分かっているのに進めないのか?」
「階段がなくて、行く方法がないんです」
「レイリーちょっと頭を柔らかくして考えるんだ。門を通る時にお前たちがやったことを思い出せ。正規の方法で入れなくても、抜け道があるもんだ」
レイリーはしばらく悩んで、中隊長に指示を出した。
隠し部屋にいる人間の正確な位置を調べるために、索敵持ちの冒険者達を動かしている。大体の位置がつかめたようで、少し離れた場所で下に空洞がある所を選び、床を壊すように指示している。
一撃を加えると床が砕けて、下が覗けるようになった。ニ人のハンマーがドンドン床を叩いていく。穴が開いたので、レイリーと副官ニ人が最初に穴に降りていく。
その後にタンク型の冒険者と、前線の物理アタッカーの冒険者が合わせてさて三十人程降りていく。弓と魔法を使えるものは、穴の上からの牽制をしている。
「ダギアの上層部がいると判断して話を進める。お前らは、皇帝のメギドに手を出さないように、といった内容の勅命を破り戦争準備をしていると皇帝が判断した。よって反逆罪が決定した。
皇都からここまで時間がかかるので、先んじて皇帝の知り合いである我が主に、お願いという形でこの都市を鎮圧してほしいと依頼があった。あなた方を捕えさせていただく。
抵抗はしてくださってかまいませんが、その際の命の保障はできかねます。反乱として処理するのは上層部の人間だけなので、士官クラスではない兵士たちは、ひいていただけると手間が省けます」
レイリーがそう宣言すると、冒険者たちがそろって行動を開始する。兵士たちが武器を捨てたことに対して、上層部の人間は戦えとわめいている。
武器を捨てた兵士は、俺らの方に来て膝をついて両手を頭の後ろで組んでいる。抵抗の意志は無いようだ。
ほどなくして、俺たちはダギアの反乱を治めた。
「暗殺しようと、昨日危ない奴らを送り込んできたな。そいつらから取り上げた、嘔吐下剤の毒薬をお前らに味わってもらう。自分がした事なんだから、されても文句は言えないよね」
強制的に原液を飲ませると……これ以上の描写は、危険なのでやめておこう。脱水症状で危うく死にそうになったので、拘束して粘液型スライムを配置して点滴をして何とかしのいだ。
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