564話 厄介な敵
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ドーンボーンに来てから二ヶ月近く経過している。到達階層は一一〇階だ。特に大きな変化も無かったので道中はカット! そして今回のダンジョンアタックで、最後のエレベーターまでたどり着く予定だ。
俺は一一五階が最終階層だとは思っていないので、この先に後何階あるのかが気になっている。俺の予想だと一二〇階あたりが最終階層だと思っている。その次にダンジョンコアがあるとにらんでいる。
一一五階まではおそらく、ドーンボーンの街の人間を鍛えるためのダンジョンで、残り五階分はここを作ったダンマスが、もてる力を使って作った凶悪なダンジョンだと考えている。
一一〇階の段階で、敵のLvは一六〇台位だろう。一一五階のボスで一気に上がって、Lv二〇〇くらいまで行くのではないかと予想している。
最終階層が一二〇階だと思っているのは、今まで五階ずつ規則正しくエレベーターを作っていたのに、急に六階以上潜らせるとは考えていない。
そもそも、このダンジョンは最終的に攻略されることが、目的じゃないかと感じている。一一六階以降の凶悪であろうダンジョンもレベル三〇〇、人外の領域に到達させるための試練のような気がしている。
と色々考えてはいるが、実際に行ってみないと分からないんだけどな。
「みんな、エレベーターがあると思われる最後の階層まで突っ走るよ! どんなフロアか分からないけど、無理せずに楽しんでいこう」
みんなで一一一階への階段を降りて行くと・・・
「マジか。ここに来て今までのパターンから大きくかけ離れるとは思わなかったわ・・・」
今見た物をそのまま表現するなら……秘境?
今俺たちがいる所は、秘境のある空間の最上部。そこから、すり鉢状に中心に行く毎に穴が深くなっている。すり鉢状になってるところは、ただ窪んでいるのではなく、五フロアの中心に穴をあけたような感じの階層である。
そのまま中心に向かって走って飛び出せば、一番下まで行けそうな気がするが、それを阻むためにダンジョンの中とは思えない、飛行系の魔物も存在している。その中でも気になるのは、フロアの中心で俺たちとちょうど同じくらいの高さにある、巨大な鳥かごの中に入っているドラゴンっぽいものだろうか。
レッドドラゴンのような感じでもなくワイバーンでもなく、なんていえばいいのかな? ハクみたいなフェアリードラゴンみたいなフォルムだけど、サイズがでかくて鱗がある感じだ。それがまぁまぁな数いる。
「空を飛んで行くにしても、空飛べるのってハクしかいないから無理だな。ワイバーンをこの中に連れてこれないし、自前で飛ぶ方法でもない限り、確実に自由落下するだけで終わるな。正規ルートは、階段かそれに準ずるものがあるはずだから、それを探そう」
五段あるうちの俺が今いる一番上の段は、中央に大きな穴が開いているので探索する部分がドーナツ形で、水が長年をかけて荒野を侵食してできた、小さなグランドキャニオンが蜘蛛の巣状に広がっている感じだろうか?
大体溝の深さは六メートル程だろう。削られてできた溝だけじゃなく、岩山みたいなものもあるので、上を移動するのはかなり面倒だ。溝の下は魔物の宝庫と言っていいんじゃないかな? 見える範囲だけで、ムカデ、サソリ、ウルフ、蛇がいる。魔物の種類が何せ豊富だな。
降りて進むか上を進むかで迷っていると、どこからか矢が飛んできた。警戒に当たっていたリリーが、フォートレスを瞬時に使って叩き落している。
「どこから飛んできた? 今まで矢を使ってきた魔物はいなかったはずだが……亜人の魔物が上の階層にいたから、使える奴がいてもおかしくないか?
亜人系の魔物がいると想定! 飛び道具と魔法に警戒。スキルにも注意を。絶対に突出するなよ! 下に降りると、魔物と上から亜人の攻撃にさらされるかもしれないから、落ちないように注意しろよ!」
矢を撃たれた方向はわかるが、敵を認識できていないため不安が残る。そして削られて陰になってるところや、岩山があるせいでかなり隠れる所が多い。俺は守られる側になってしまっているので、死蔵していたシューティングスターを取り出して矢を番える。
おそらく飛距離はこちらの方が断然上なので、場所さえわかれば……それにしても向こうは、こっちをどうやって捕えているんだろうな? 魔物のユニークスキルとか、オリジナルスキルとかだろうか? クロっちの鼻も敵を捕らえていない。
二射目が来たが、予想していた場所と違う位置から矢と魔法が飛んできた。ご丁寧に魔法は範囲攻撃に特化した火魔法を使ってきていた。
俺は矢の飛んできた方に向かって十本ほど続けて矢を撃つが、手ごたえは感じられなかった。のんびりとしているわけにもいかないので、ハクにニコをつけて空から敵を探させることにした。
「それにしても、この敵頭がいいな。話に出てくる、スナイパーを相手にしているみたいだ。大分状況も得物も違うけど本で読んだことあるスナイパーみたいな感じがする。
撃っては移動、撃っては移動、しかも弓の山なり軌道だから、相手の居場所がつかみにくい……よし! ハクが敵を見つけたぞ! 逃げられないように監視しながら、ブレスを吐いてくれている今のうちに接敵だ!」
ハクが示してくれている方向に向かって移動する。
「あれ? いない……ハク、ニコ、どこ行ったか分かるか?」
俺が尋ねると首を振って、しょんぼりしている。頭を撫でて慰めてあげる。
周囲を確認していたメンバーが、不自然な場所を発見して調べていると、隠されたトンネルが出てきた。
「撃ち返しても手ごたえが無かったり、探すのが難しかった理由はこういう事か! こういうトンネルは、トラップが怖いから、入り口から煙を入れて燻すに限るな。煙が出やすそうな素材ってなんかあったっけ?」
「あ、私たちが作ったアイテムに、煙を大量に吐き出すアイテムがあります。使う用途を考えずに、面白いかなって作って死蔵していた奴ですけど」
アリスがそういって俺に、身内で花火をした時にやった覚えのある、煙玉の様な見た目の物を渡してきた。
「二、三個火をつけて中に入れてから、風魔法で洞窟の中に煙を流そう」
さて第二ラウンドの始まりだ!
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