554話 ダンジョンへ突入
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二日間情報収集を行ったが、結局新しい情報はあまり出てこなかった。どんな魔物が出てくるかとか、階層によるダンジョンの構造とか、そういった情報はある程度集まったが、言ってしまえばそれだけである。
階層の構造は、多くの階層が迷宮タイプとのことだ。ただ洞窟タイプだけじゃなく、人口の迷宮のようにレンガ調といえばいいのだろうか? そういったもので敷き詰められている階層もあるし、植物の枝や蔓が複雑に絡み合って、迷宮のような感じになっている階層もあるそうだ。
他にもマグマが流れていたり、氷点下の世界の階層もあるとの事だ。
それに対して魔物の情報は微妙だった。階層毎に固定されているのではなく、だいたい同じくらいの強さの魔物が沸くようになっているらしい。同じ階層なのに全く違う倒し方をしないといけない魔物がいて、結構ハードルの高い場所も存在しているそうだ。
五階毎に帰れるとはいえ、その五階の中で大きく属性や戦い方が変わると、冒険者からしたらやりにくいよな。このダンジョン、冒険者に優しいかと思ったけどそう甘くないみたいだな。
攻略の楽しみが増えたといえばいいだろう。今回は久々のガチのダンジョン攻略になるのだ。今までにいくつか攻略してきたけど、このダンジョンは今までのダンジョンと違うから、ちょっと楽しみなんだよね。
シングルが八人で七十階を越えれているんだから、それを考えれば俺たちだって少なくともそこまでは行けるだろう。
自分たちがシングルの冒険者たちと同格と考えているのは置いておいて、実際それだけの実力があるのだから問題ないといえば問題ないのだ。
シルキーの作ってくれた食事も、一食分従魔たちの分も含め、六十人前程準備してくれている。カレーも色んな種類を準備してくれている。さすがシルキーたちだな。今回作ってもらった食事だけで、五日間は問題なく過ごせるな。
足りなくても、元々手元にある食料もあるし、食材も大量にあるので作れば問題ない。出来る限りは一日一階は進めるように頑張ろう。
色々考えると、人の集まりそうな階段付近は出来るだけ避けたいから、どうにかして進むかしないとな。ちなみにそう判断しているのは、階段付近はセーフティーエリアと呼ばれているそうで、魔物が沸きにくいらしい。人の集まる場所は避けたいと思っているのに……隠したいことは色々あるからね。
日が明けて、食事も積み込んだし、問題なく準備も完了した。ほぼ手ぶらなので、見た目をごまかすために、大容量入りそうな収納のカバンを、複数持っていることをあえてみせている。
「さて、みんな準備は出来てるね。久々に着た冒険者っぽい装備のせいで違和感が大きいけど、武器は見える位置に出しておいてくれ。タンク組は金属鎧のせいで動きにくいかもしれないけど、しばらくはそのままでお願い。人が減ってきたら、いつもの装備に戻しても問題ないからね」
タンクは普段戦闘する時に、動きを阻害するような装備を装備していないのだ。つけていてもガントレット、ブレスプレート、スカートアーマーくらいだろう。
今は、全身くまなく金属の装備なので、普段と比べれば動き辛くなっている。とはいえ、カエデとリンドの特製鎧なので、一般的な物に比べれば大分動きやすい仕様になっているけどな。
ダンジョンの入り口は言われていた通り、特に見張りもおらず素通りで行けた。階層を階段で降りていると畑や牧場のようなところが、所狭しと並んでいた。魔物に心配せずに家畜が飼えるダンジョンの中は、かなり便利だな。
ダンジョンの中の魔物のドロップ品でも肉はあるだろうが、需要を満たせる程のドロップは見込めないだろう。ディストピアでは、肉ダンジョンを作成しているんだから、足りない方がおかしいけどな。過剰生産しているので、加工して街の外に出荷しているし、まだまだ余裕はある。
一階層が十メートル以上あるので、四階分を降りると五十メートルはあったかな? 上るのが大変だ。収穫した野菜なんかは、どうしているんだろうな?
奴隷を使って上にあげてる? それとも輸送専門の収納アイテムがあるのかな? そこらへんは俺が考える事じゃないから関係ないか。この街が回ってるんだから、何か方法があるってことだろう。
四階層につくと、入り口はあちらと書かれた矢印が下にあったので、みんなでその方向に進んでいく。歩いている最中に、ネルがトコトコ近付いてきてこんな事を言った。
「ご主人様、もしここを掌握できたとしても、地下に魔導列車のレールひけないよね? どうするの?」
「確かに商会の荷物を運んだりするのは、難しいかな? 今回作った通路の休憩所の近くに出口でも作って、そこから出入りでもするか? 掌握出来てから考えようか。
二メートル位なら誤魔化せるかもしれないから、荷物だけを送るのでもいいかな? でも、どこから仕入れているか問題になるか? 何か考えてもらうか」
「ご主人様、丸投げ?」
ネル、丸投げとわかっていても言葉に出しちゃいけません!
「得意な人たちに、任せるっていうんだよ」
三幼女がジト目をしてこっちを見ている……が無視を決め込む。
「ほら入り口が見えてきたぞ!」
その声に反応して全員が入り口の方に目を向ける。これから挑むダンジョンに意識が向く。エレベーターの数から考えて、一二〇階が最後ではないかと言われている。
今の所稼働しているのが、十二個で残っているのが十個なのだ。エレベーターは一一五階までの分はあるので、一二〇階あたりがラストではないか、と予想されている。
中には一一五階以上は、他のダンジョンと同じで、まだまだ深くまでダンジョンがあるのでは? と言っている者もいるそうだ。俺としては一二〇階で終わってほしい所だ。攻略にあまり時間がかかると、飽きてきそうだな。
広いから探索に時間がかかりそうだよな、一日一階を目標にして進んでいく予定だと、最低でも一二〇日はかかるってことだもんな。下に行けば行くほど、広がってたりしないよな? できれば小さくなっててほしいものだ。
「みんな気を引き締めて行こうか」
入り口に着くとギルドカードの提示を求められ、まだここのダンジョンに入った事がなかったので、簡単な説明を受けた。ダンジョンの中は無法地帯なので、気を付けてくださいとの事だ。
わざわざ言うあたりが親切なのか、そういう輩がいるから気をつけろなのか、メギドみたいな事があるのだろうか? 全部返り討ちにすれば、問題ない。
エレベーターホールともいえる五階を通って、六階層に移動する。ダンジョンアタック開始だ!
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