542話 不思議な不思議な木
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あれから二週間……
治療院で働く予定の女性たちの成長は、順調のようだ。ブラウニーによるメイド修行も一段落したとの事だ。
何故メイド修行なのかは分からないが、声を揃えて『『『『マナーや作法等を教えるためには、これ以上の教材は無いのです!』』』』と言われてしまっては、そういうものだと思うしかないので、そういう事にしておいた。
今回治療院で働く予定の人数は、五十三名でその中で二週間の訓練で、回復魔法がLv二になったのは二名だった。低いLvだと上がりやすいが、さすがに適性もあるので、ダンジョンだったとしてもしょうがないのだろうか?
順調の様で、レベルも上がっているようなので、ある程度の回復は見込めるから頑張ってもらいたいところだ。この人たちには、俺からというより商会から給料が払われるので、給料の補償は問題ない。回復能力が上がれば、ボーナスも出るし昇給もするような形だそうだ。
カザマ商会がブラックな会社じゃなくてよかったわ! 俺はいくらでもDPで金を生み出せるから、絶対にブラックな事はするなって、言ってあるし大丈夫だろう。
ディストピア産の商品が高額でも飛ぶように売れるため、ありえないほどの黒字をたたき出している現状、ブラックな事をしてまで稼ぐ必要が無かったりもするんだけどね。
孤児院だってお金を消費するための一環だし、治療院も流れ的にはお金を消費というか給金を出して、消費していく予定なのである。ただ単に寄付すると、絶対に着服する屑がいるので、そういう心配のない所に俺の名前で、寄付しているってゼニスが言ってた。ちなみに俺の役職は、会長らしい。
女性たちから意見が上がってきたので、内容を聞いてみると、どうやら定期的に働く街を変えてほしいとの事だったので、本人たちが望むのであれば、働く場所を変えるのも問題ない事を伝えておく。
子どもたちの事を考えると、街をどんどん変えていくのはリスキーじゃないかと心配したが、女性たちはその街に愛着がわいてしまうのが嫌との事だった。
愛着がわくのはいい事じゃないのかと思ったけど、女性たちが一人で子供を育てる経緯になった中で多かったのが、夫に先立たれただと思っていたのだが……
強姦による行為や、結婚するつもりでいたのに遊びだった。子供が出来て捨てられた、等の理由が多く、一つの街に留まって、狙われるのを回避したいがために、街を転々としたいとの事だった。
俺にはよくわからない理論だったが、女性たちがそう言うのだから、それが真実なのだろう。別に転々とすることによって問題になることもないし、本人たちが気持ちよく働けるならそれでいいだろう。
後一週間ほど訓練を行ったら、各街に配属されるとの事だ。みんなには無理しない程度に、頑張ってもらいたいところだ。
「今更だけど、俺って何でこんなにいっぱい街を管理してるんだ? 面白可笑しく過ごせればいいと、思ってたはずなんだけどな。DPが稼げるようになったら引きこもって、趣味部屋で怠惰に過ごそうとか思ってたような気がするのにな。
初めの転機はカエデにあった事かな? その後にホモークにあってみんなに出会った。それが間違ってたとは思わないけど、今考えるとやりすぎちゃったんだろうな」
「ご主人様は、私たちと出会って後悔しているの?」
「後悔はしていないよ。色々な事を大規模にやりすぎたなって思ってるかな。みんなを守るために頑張った結果だからね。後悔はしてないよ。街の管理もほとんどグリエルとガリア任せだしな。俺たちがディストピアからいなくなっても回るようには頑張ってるからね」
「ディストピアから離れるの?」
「違うよネル。何かあった時のために備えているだけだよ」
俺の独り言を三幼女が近くで聞いていて、心配な顔をして俺の事を覗き込んでいた。それにしてもこの娘たちに心配させるなんて、大人失格だよな。
「よし、こんな暗い事考えていてもしょうがないから、遊びに行こうか!」
近くにいたダマとクロとギンにまたがって、樹海に飛び出して行った。遊びに行くって、狩りなの? っておもったけど、綺麗な場所を発見したから、俺を連れて行きたいってことで樹海に行く事になったのだ。
たどり着いたところは、世界樹とは違う太く大きな、神聖な雰囲気のある木だった。樹齢は何年なんだろう? と思うほど太く巨大なのだ。言うなら屋久杉を代表する最大級の巨木「縄文杉」のような感じだろう。
その木が生えている周辺だけがぽっかりと空白ができており、盤踞する根、隆々と盛り上がる幹・瘤を見る事が出来る、本当に古く長く生きた木に見える。
ただ見に来ただけなので、特に何かをする予定があったわけではない。何となく、ここで昼寝をしたくなったので、結界を張ってのんびりととすることに決めた。ちょうどよく木漏れ日を浴びて、眠たくなるような感じなのだ。
何となく平らな所を探して、ビニールシートを敷いた上にエアーマットを敷いて、その上に寝転がった。でもクロやギンも寝転がろうとするので、全部で十五枚ほどエアーマットを出す羽目になった。
俺の隣では、座椅子に座った三幼女が個々に本を読んでいた。俺は小さくなったダマを抱き枕にして、寝ることにした。こいつは抱かれても嫌がる事がなかったので、寝具の一つとしてみんなに重宝されている。
コウやソウは自由なので抱き枕には向いてないし、クロやギンはデカすぎて抱き枕にはならない。むしろ埋もれてしまうので、添い寝するにも危険な相手である。
抱き枕に向いているのがスライムたちだけど、あいつらも自由なのでいない時は、マップ先生に頼らないと探せないくらい隠れるのが上手だ。
本人たちは、隠れてるつもりはないけどな。
二時間程そこで過ごしてからディストピアに戻った。特に変わった様子も無く平和な一日だった。
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