532話 みじめな魔物が一匹
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ディストピアに戻ってきて、一日が過ぎた。
俺たちは六つの囲いの中の強い個体を退治した。反対方向からは、綾乃の人造ゴーレムとリビングアーマー部隊が、さらに四つの強い個体を潰して、頑張ったようだ。
後一つを潰すのは、明日にしようとの事でいったんディストピアに帰還する。六時間もあればダンジョン扱いの壁でも、厚さ2メートルしかない壁では、防ぎきる事は出来ずに、壁を壊されて五つの囲いから魔物があふれている。
それでも頑丈に作っているディストピアの壁は、壊すことはかなわないだろう。何せクリエイトゴーレムで自動修復するから、壊した端から治ってくので、一撃である程度壊せる攻撃力がなければどうにもならない。
俺でも物理攻撃であの壁を壊すのは困難だ。建築物破壊ボーナスがあるような、槌があれば行けるかもしれないけど、それがあっても俺はやろうとは思わないかな。
壁の前に、堀があってその中に骨ゲーターが泳いでいるので、壁にたどり着けている魔物がいない。壁が硬い硬くないは、論じても意味がなさそうだ。
水陸両用の骨ゲーターが、陸上の魔物に水中で負けるわけもなく、ゴリゴリと食い散らかしてくれている。水が汚れてしまったので、後でスライムを泳がせて綺麗にしようかな?
綾乃の部隊の損耗率は、人造ゴーレム二十体中三体が大破してしまったそうだ。さすがに大破してしまったものは治せないので、がっかりしていたが実験は成功した、と言っていたので何か実験を行っていたようだ、聞いても話してくれないのであきらめた。
大破していない人造ゴーレムは、綾乃が治して戦線に復帰させていたらしい。
やっぱり綾乃は綾乃だった。がっかりしていたのは、俺が作った人造ゴーレムではなく、自分が作った人造ゴーレムが壊れてしまったことによる、がっかり感だったようだ。
「さて、寝て起きたら問題が起きた。オーガキング並みの強さを持っている魔物が一匹残っていたけど、いつのまにか同レベルの魔物が増えて五匹になってた。モンスターパレードとは違う理由で、強い魔物が増えた気がする。
今そいつらは、ディストピアに向かって手近な物を、ポンポンとディストピアに投げ込んでいるそうだ。入ってきても土木組のオオカミたちがキャッチして、仕留めているから今の所問題にはなっていないけど、うざいのでさっさと倒そうと思う。
そこで綾乃、昨日からいる一匹はお前の人造ゴーレムの部隊で倒してくれ。寝て起きても嫌な感じが拭えないから、きっと何かあるはずだ。なければ俺を笑えばいいから、絶対に綾乃が近くにいる時には倒すな。残りの四匹は分断してから殲滅する」
簡単に戦闘の流れを説明していく。
今は近くの物を中に投げ込んでいるためか、それなりに距離をあけて五匹が並んでいるので、ちょうどいいだろう。
五匹をまずは、DPによる落とし穴に入ってもらい、各個殲滅して昨日残しておいた強い個体を処理する流れだ。まずは、戦闘用のフィールドを作成するか。
ちなみに昨日からいるのが、オーガクイーン(フレデリクにいたオーガキングより大分強い)
増えた四匹は、ビッグオリハルコンゴーレム・サイクロップス・デビルトレント・アラクネだ。一応分類にすると亜人になる魔物の様だ。この中でサイクロップスはSランクの魔物なのだが、生まれたばかりか本来の力を発揮できていない様子であるため、Sランクに限りなく近いAランクと推測している。
実際に検索をかける際に、Lvが三〇〇を超えていないので、SランクのポテンシャルがあってもLvが足りないから、Aランクと推測している。
「倒す順番は、サイクロップス、デビルトレント、アラクネ、ビッグオリハルコンゴーレムでやるよ。サイクロップスは、情報がないから万全の状態でやりたいから、一番初めに持ってきてる。
小説の中の話だと、純粋な物理系の魔物で単眼から、何かビームやら衝撃やらを放つことがあるって、感じだったな。地球の知識はあてにならないから、可能性の一つとして目には注意してくれ」
「こうやってみますと、今いる魔物って亜人系ばかりですね。やっぱり街を攻めるなら、亜人系の方がやりやすいんですかね? 武器とかも使えますしね」
確かに武器を使えるっていうのは、街を攻めるには大きなアドバンテージになる。特に今回の残っている奴等は三メートル以上の体格をしているから、意図的に神たちが大きな亜人の魔物を生み出したってところかな?
「多分サイクロップスは、タンクを中心に壁をして、後衛がダメージを与えていく形になると思う。デビルトレントは動きが遅いから、攻撃範囲外からの魔法攻撃が中心に戦う事になる。
曲者のアラクネも、木がない平地であれば機動性をある程度封じる事が出来るから、蜘蛛の下半身の糸に注意が必要なくらいだろう。最後のビッグオリハルコンゴーレムは、ごり押しで行こう。四匹を倒したら綾乃の出番な」
倒す順番を決めて準備を始める。早く落とし穴に落としてやらないと、土木組のオオカミたちが投げ込まれる魔物たちの対処で疲れてしまうからな。
バトルフィールドの作成に取り掛かる。地下に大きめの空間をせっせと作る。魔物のサイズを考えれば、一〇〇メートル四方に、高さ二〇メートルもあれば十分だろう。不測な事態を考えると壁まで、逃げる所まで距離があると大変なんだよな。次に五匹の強い個体をDPで作った落とし穴に落す!
「えっと、サイクロップスがよく分からないが今死んだ」
何とも言えない空気が漂い始めた。
「一匹戦わなくて済んだのだから良しとしよう。みんな準備が出来たら、バトルフィールドに移動するよ」
ワイワイガヤガヤしながら、先程作ったバトルフィールドへ移動していく。到着してからみんなで軽く体を動かしていく。俺はサイクロップスの事が気になったので、あいつが亡くなった穴に通路をつなげて、中を確認しに行く。ドロップ品が結構あるな。
「おかしなところ……凹んだ穴が一つしかないな。両足で着地したなら二つあってもおかしくないし……もしかして、頭から落ちた? さすがにSランクに近いAランクでも、亜人系の魔物なら、頭から落ちたら死ぬか?」
正直今、絶対に実行してはいけないと思われるデストラップを思いついてしまった。マイ〇ラのマグマを使ったあれだ。DPで穴の中にマグマを流しておけば、それで全部倒せてしまうではないか?
思い浮かんだトラップの考えは捨てて、目の前の戦闘に目を向ける。
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