518話 新しい街の進展状況
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ということで、メギドのドッペルから意識を本体に戻して、そのまま新しい街に配置したドッペルへ意識を憑依させる。
「ふむ、ここは、ピーチ・マリア・シェリルか。基準がよくわからんな、特に何も考え無しに分けている可能性もあるからな。さて、ここで確認するのは、爺共が暴走してないかだよな。ポンプに炭窯、あたりを確認しないといけないか?」
領主館から出ると、下のエリアからカンカン聞こえてきているので、小屋なんかは建て終わってて鍛冶仕事に没頭しているのだろう……あれ? 今ここでポンプ以外に作る物ってあったっけ?
時間が余ってるから趣味の鍛冶をしているだけか? 面白い物作ってたら見せてもらおうかな。
「おい爺共! 生きてっか?」
「「「「「死んどるわい!!」」」」」
「なんだ、生きてたのか。カンカン叩いてるからわかってたけど、全員ピンピンしてるとわな。でさ、今ここで作ってるのって、ポンプ以外に何かあるのか?」
「そうだな、ちょっと時間が余ったから爺共全員で協力して、ちょっとした剣をを作ってるんだよ。ほれ、この前お前さんが作ったあの剣だ」
「あれ? この形で俺が作ってたってことは、刀じゃん! 何? ドワーフの爺様どもって刀鍛冶してんの?」
「ん? この剣は刀というのか? 作り方は本を出してもらってから、絵を見て何となく理解して打ってるんだが何か変か?」
「ちなみに何回織り込んだ?」
「二十回位だな。どのくらい重ねればいいか分からなかったから、キリのいい二十回までやってみたんだわ。それとは別に芯になる金属も必要なんだよな?」
「二十回か、普通は十五回位だって聞いてたけど、誤差の範囲かな? ちなみに金属は何を使った?」
「もちろん、シュウが作ったあのオリハルコンとミスリルの合金があるだろ? あれを元に作ってみたんだよ。研いだら綺麗な波紋が出るかね? シュウの作った剣のあの波紋を見たら、いてもたってもいられなくなっての、時間を作るために色々前倒しして作ったわい!」
そういう事だったのな。
「でもさ、この世界で片刃の武器って少なくないか? 片刃だと使い手が限られて、もったいない気がするんだが、俺が面白い武器を提案してやろうか?」
「なんじゃと? ちょっと聞かせてもらおうか?」
「まぁ武器として成立するか分からないけど、この刀というのは反ってるだろ? 二本の刀をこういう風に並べると、幅広の剣みたいに見えないか? 中抜きしてるけどな」
「確かにそうだな。大剣にも見えなくないな。でも、ちょっと打ち合うには向いていないのではないか? それでも両刃になるなら使い手を選ぶが、刀ほどではないか? 面白そうだ、柄も含めて作ってみるか! 爺共! いっちょやるぞ!」
「「「「お前も爺だろうが!」」」」
「ちょっと待て! ポンプと炭窯の方は完璧なのか?」
「そんなもん、とっくにできとるわい!」
「ポンプを作るのは問題ないだろうけど、ポンプにつける足こぎの部分は出来たのか?」
「儂らを何だと思っている? あの程度儂らにかかれば簡単なもんじゃ! 使い方と作動法が分かれば、何の問題もないわい」
「爺様共が初めて頼りになるって思ったわ、ただの飲んだくれアルコール依存症の鍛冶馬鹿じゃなかったんだな」
「そんなに褒めるな、せっかくお前さんからいいヒントをもらったのだ、早速試すために鋼で一回作ってみるかのう。合金の方じゃなければ簡単だからの」
ドワーフにとって『飲んだくれ』『アルコール依存症』『鍛冶馬鹿』は誉め言葉なのか? よくわからん価値観だな。それにしても言い出しにくいが、マンガでそういう武器を使っている人がいたから提案してみたけど、あれって本当に武器として成立するかよくわからん代物なんだよな。
「爺様共が終わってるっていうなら、終わってるんだろうな。ちょっと動作確認してくるわ」
「行ってこい、儂らの仕事は完璧じゃわい。さぁ爺共! やるぞい!」
「「「「お前も爺だろうが!」」」」
このやり取りはお決まりなのだろうか? ガッハッハと五人で笑い合いながら、工房の中に引っ込んでいく。そんな様子をながめてから、ドッペルを連れてポンプを設置している領主館の裏に向かっていく。
「これだけ管がたくさんあると不思議な感じだな」
段々に設置されているため池に、縦に管がたくさん並んでいる風景はかなり不思議な光景だ。足踏みできるポンプは、設計図のような物がなかったので、簡単な説明しかしていないが、すでに設置されているのだから使えるのだろう。
「いくつか踏んでみようか。二人ずつに分かれて踏むぞ」
いくつも設置している中で四つ程踏んでみたが、問題なく動いていた。ドワーフの技術力なめてたわ、俺ならクリエイトゴーレムでどうとでもなるけど、ドワーフたちは鋳造か鍛造しか選択肢がないのに、よく作れるもんだ。
ポンプは問題ないようだから、奴隷たちがいつ来ても大丈夫だな。後は炭窯の方はどうなんだろうな。
すげえな、炭窯が五つも並んでるな。段々になっているタイプの炭窯か、俺には違いがよく分からないけど、聞いたことあるタイプの炭窯だ。
炭づくりって本当は薪がたくさん必要だから、こんな風にたくさん作る事は無いんだけど、この森は樹海ほどではないにしても、木の再生が早いのでできる無茶な方法だろう。
あれ? 俺が知っている薪を焚くところと、何か違う気がするんだが……ドワーたちに作らせていた、五徳に似ている気がする。もしかして薪が少なくて済むのか? 帰りに爺共に聞いてくか。
妻たちが一緒にきてれば色々話を聞きたいんだが、ドッペルだとなんか違う気がするから、写真と動画を撮っていってみんなに見てもらうか? それならため池の方も撮っていこう。
「爺様共、聞きたいんだけど、あの炭窯の薪を燃やすところって、魔導具か何かか?」
「そうじゃな、魔力を注ぎ込めば、薪を少量でも炭ができるぞ。少し消費量が多いのがネックじゃな。それは人数で何とかなるからどうとでもなるかのう。お主の魔核でもない限り魔力の問題は、解決しないじゃろうな」
「そんなもんか。毎日窯に火が入ってるわけじゃないだろ? 魔力を集める魔核は設置できないけど、魔力をためて置ける魔核なら使ってもいいかな?」
「おぉ、それなら毎日みんなで注いでおけば、問題ないじゃろうな。魔力さえあれば、薪すら必要ない火力で準備できてるから、魔力が貯まったら炭づくりをすれば問題なさそうじゃな」
今更話してて思ったが、ドワーフはみんな同じに見える。若干しゃべり方が違うけど、見た目も声も似てるから判別しにくい!
「盗まれても大丈夫なように、そこに設置する以外に魔力を貯めないように弄っておくわ。予備で十個くらい預けておくからよろしく。ここですることも終わったし、帰るわ。一ヶ月後にこの街を開くから、後半月もすれば人が増えてくるからよろしくな! 刀を合わせたやつが完成したら知らせてくれよ」
ドワーフたちに挨拶してから領主館に戻った。
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