510話 エルフ惨敗!
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「さて、蹂躙を始めるぞ」
暗黒騎士のようなビジュアルになり、エルフたちに向かっていく。
いくらスキルでヘイトを集めて、移動範囲を制限しても捕えるのには、時間がかかるんじゃねえか? どういう風にエルフを蹂躙するんだろうか?
あっ、止めないの? なんて野暮な事聞かないでね。レイリーってガチで戦うと妻たちの中で一番強い、シュリに匹敵するんだよね。二番目を争っているリンドとアリスは、二人そろって戦っても勝てないという、規格外のお爺ちゃんなのだ。
普段温厚なそんなお爺ちゃんが怒れば、それは止められるわけないじゃん! ただどれだけキレてても、俺の意志は尊重してくれるから殺すことは多分ないだろう。
ついでに言うと、ミリー、カエデ、リンドも少し落ち着いたとはいえ、キレているから止めに動けば三人が邪魔するだろう。
やっぱりなかなか追いつけなそうだな。
そんなことを思っていると、レイリーの剣を持っている右手から鎖が伸びていた。右手を強引にひくと一人のエルフが姿を現し、レイリーに吸い寄せられるように移動している。シールドバッシュで顔面強打された。あれは痛い、シールドバッシュをくらったエルフは、意識を刈り取られていた。
その様子を見たエルフたちの気配が伝わって来た。若干恐怖と動揺が感じられる。それもしょうがないよな。顔面を殴り飛ばされて気絶させられたのだから、相当な威力だったはずだ。
動揺の大きそうなエルフに向かって、レイリーが飛ぶように駆け出す。
その後の流れは先のエルフと一緒で、チェインで強引に引き寄せられて、盾に強打をされて意識が昏倒して気絶する。マップ先生の情報によると、全部で十五人のエルフがいるそうだ。三人一組が五つかな? そのうち二人は、たった今三人になったか。また盾に殴られて気絶している。
五人目が同じように気絶させられると、三人のエルフが隊形を組み、近接戦を仕掛けてきた。レイリーが急に大きな咆哮をすると、エルフたちの動きが鈍った。
あれってスタングレネードの大音量を、自分の声帯で作り出したことになるのか? スタングレネードは全方位だけど、それに対してレイリーの咆哮は指向性なので、音量が同等であれば、おそらくスタングレネードより咆哮の方が効果が高いだろう。
その隙を逃すほどレイリーは甘くない。剣をしまい、ふらついた奴に近付いて、盾と拳で沈黙させていた。盾もきついけど、あの拳で殴られるのは痛いだろうな。
残り七人か。殴られた奴の口がやばい事になってる。あれって歯がいくつか折れてるな。血を吐いてるし……あ、仰向けのままは拙いな。こそっと近付いて、エイッとな。失礼しました。あのままにしておくと、口の中の血が気道をふさいで、死んでしまうかもしれないから、しょうがないよね。
あれ? レイリーが盾を装備してないぞ。いつの間にか両手が素手になっている。何がしたいんだ?
動きがよくなったな。おっと、魔法を使ってるけど何だ? 攻撃じゃなくて移動に魔法を使ってるのかな? あぁ、近付かれているエルフの顔が引きつってる。体がくの字に折れてその場に転がされた。
木の上からだから……五メートルくらいか? そこから放置したら、普通死ぬんじゃねえか? レベルの存在するこの世界なら、問題ないのか? 頭から落ちたら大変なことになるべ? まぁエリクサーもあるし大丈夫か。
考え事しているうちに、残り四人になってた。
今までの十一人の倒され方が盾で強打、拳で強打の一撃で意識を刈り取ってるためか、残りのエルフが恐慌に陥っている。逃げようにもアンカーのせいで、範囲から出れずにパニックになり、レイリーに殴られ気絶。
「思ったよりあっさり終わったな」
「本物の身体でないのでやはり動きが違いますが、この程度なら何とでもなるようです」
エルフも決して弱いわけじゃないのに、レイリーに簡単に無力化されてるし、あまり強く見えない?
「みんな、手足を縛って一か所に集めようか、怪我してるやつは一応治すからあの薬つかうぞ」
「シュウ君、こんな奴らに貴重な回復剤を使うんですか?」
「一応、今日は仲違いするために来たわけじゃないからな。それにいい実験台だと思えばいいだろ? レイリーに顔を殴られて歯が折れてるやつとか、実験にはもってこいだろ? 多分最後に倒された三人の内二人は肋骨が砕けてるぞ、いい実験材料だ」
ちょっとマッドなセリフを言って悪人っぽく振舞ってみると、三人の妻が「なるほど」と言って、身体が頑丈そうな男のエルフの下に近付いて、すねを踏ん付けて足の骨を折っていた。
俺より危険な奴らがここにいた。レイリーに助けを求めようと、エルフを集めているレイリーの方を見ると、エルフが飛んできた!
歩いて連れてくるのがめんどいので投げたとの事だ。気絶した人間……エルフを投げるとは、普段のレイリーを考えるとありえないな。
それだけ今回の事を怒っているという事か?
歯が折れている奴の口の中に、ドラゴンの血から作ったエリクサーを飲ませる。ポーションの類は、体にふりかけても飲んでも問題は無いのだが、どっちの方法をとってもすぐに体に吸収されるから問題が無いらしい。
なので、寝ている奴の口の中に流し込んでも、窒息死をすることはない。流し込んだ後にエルフの口の中を観察していると……歯が生えてきた。実際に見ると気持ち悪いな。
「歯も部位欠損的な扱いなのかな? 歯は永久歯が生えたら、それ以降に歯は生えてこないのに生えてくるとは……あ、もしかしたらすぐに目を覚ますかもしれないから、縛っておいて。
後は足の骨折したこいつか。ふりかけて使ってみるか、えぇ~曲がっちゃいけない方向に曲がってたのが、いきなりキレイに治るってどうなんだろ?」
「でも、実験としてはよろしかったのではないですか?」
「確かにその通りだな。ライムの目が治った時の物と大して品質は変わらないけど、ここまで効果があるもんなんだな」
色々話をしていると、ぽつぽつと目を覚ますエルフが出てきた。そして第一声!
「俺たちをどうするつもりだ! クソ人間が! っ!」
無言でレイリーに蹴られて、再度意識を刈り取られていた。レイリー強し!
「人間が憎いのは何となくわからんでもないけど、俺をそこら辺の人間と一緒にされるのは遺憾なのである!」
「シュウ、その口調何?」
カエデに突っ込まれてしまった。
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