499話 研究用ダンジョン!
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さぁ、憑依してダンジョンライフを楽しもうか! あ、今までもダンマスとしての仕事をしてきたのに! とかいう突っ込みは受け付けるつもりはない!
ベッドに寝て準備したドッペルゲンガーに、意識を憑依させる。
「おぉ、こんな感じなのか。小説にあるダイブ型のオンラインゲームもこんな感じになるのかな? 思ったより違和感がない気がするんだが……ないに越した事は無いからそれでいいか」
周りを見ると、俺が作ったNPCたちが、準備運動みたいなことをしていた。
一人目は、僧侶みたいな恰好をして盾に鈍器を手に持っている。見た目が破戒僧みたいになってるわ。ちなみに男だ。
二人目は、背中に弓を背負って腰の左右に短剣をさしている。何となく俺のイメージのエルフっぽくしてみたけど、思ったよりしっくり来てるな。こいつも男。
三人目は、尖り帽子にマント、杖、どう見ても魔女っ娘だな。娘と言っているのでこいつは女だ。男の娘ではない!
そして俺は、片手剣に盾、まぁタンクだ。
全員駆け出し冒険者になるので、装備はやすっちい物しか装備できていない。
「駆け出し用のダンジョンに行って、連携を確認するか」
四人で固まって駆け出し用のダンジョンの場所まで……場所が分からなかったので、案内板を探してダンジョンへ向かった。
初めて遭遇した魔物はゴブリンだった。あれ? 動き早く感じるんだが……いかん! レベルが低いから、相手の動きについていけてないのか!
ゴブリンに向かって盾を構えて、タックルをかます。体勢すら崩せなかったが、俺に意識を向ける事は出来た。あ、ヘイトを稼ぐスキルまだ覚えてないぞ! 確か、挑発は……自分の出した声に、意思や魔力を乗せるんだったっけ?
「かかってこいや!」
半分不発したが半分は成功したようで、ゴブリンの醜い顔が俺の顔を捕えて離さない感じになっている。ゴブリンってこんな顔だったっけ?
棍棒を俺に向かって振り回してくる。それを盾でうけたり剣で逸らしたりしながら攻撃を加えていく。
魔女っ娘が魔法を唱え始めると、ゴブリンの視線が俺からそれたため、まだ習得できていない挑発をかけながら盾で殴りつける。意識を俺に向けさせてから、魔女っ娘から「離れて」と、指示が出たので距離をとる。そこにファイアバレットが撃ち込まれ、さらに矢による追撃が入った。
憑依してから初めての戦闘が終了した。思ったより強く感じるのは、気のせいだろうか? 能力向上スキルがないと、こんな感じなのだろうか?
ダンジョンの中を進んでいき、ゴブリンを探して歩き回る。
「ここら辺は、ゴブリンが一匹ずつ配置されているようだな。しばらくはここで連携を確認しようか」
NPCは言葉を発しないが、俺の言葉に頷いている。
十匹くらいを倒して、ドロップした物を拾っていく。荷物持ちは今の所、破戒僧がやっている。いつになったら、収納系のアイテムが手に入るかな? それが手に入るまでは、何度もダンジョンから出ないと、換金できないよな。
五匹目あたりで挑発がしっかりと発動して、スキルとして覚える事が出来た。これでヘイトは安定するが、盾が木の盾なのですでにボロボロになってしまっている。どうしたもんだかな? レベルが上がらないと……違うな筋力が上がらないと、重たい盾は持てないからな。まずはレベルを上げないと。
四時間ほどかけて、リポップするゴブリンたちを倒しながら過ごした。そのおかげでレベルが十から十四まで上がった。やはりダンジョンの効果は高いな。
大量にゲットした、ゴブリンの耳やゴブリンの睾丸等をもってダンジョンの街に戻る。
ドロップ品を売ったお金で、俺たちは装備を整えることになった。武器に関しては今のままでいいが、防具、特に盾は重要なので、俺と破戒僧の盾がサイズは少し小さくなったが、重さの増した鉄の盾を装備することになった。
余ったお金で、折れてしまった矢を購入し、そこでもお金が余ったので、皮の鎧が新調された。時間的にそろそろ夕飯になるので、今日の憑依は終わりだな。意識を戻すようなイメージで、憑依を解除する。
「やっぱり、動きが違うな」
体を起こして動きを確認すると、そんな言葉が出てきてしまった。体のつくりなどは全く一緒で、同じサイズになっているが、ステータスの補助を受けていないからか、動き方に差異があるようだ。
憑依に関しては、朝食後の八時から昼食前の十一時三十分までの三時間三十分と、昼食後の十三時半から夕食前の十八時までの四時間三十分が、俺に与えられたダンジョンを遊b……もとい研究する事の出来る時間だ。
奇しくも、日本における一般的な労働時間だった。土日は禁止されてしまったので、完全週休二日制のホワイトな仕事? 自営みたいなもんだから関係ないか。正直休んだって誰かに影響が出るわけでもない、完全に内側で完結するものだからな。
汗はかいていないが体がべとべとするな、汗が乾いたのかもしれない。このまま行っても怒られるかもしれないから、シャワー位は浴びて食堂に行くか。この部屋の隣にシャワー室を作るべきだな。この部屋も俺の地下にある趣味部屋の隣に作ってるから、スペースに余裕があるし作ってしまおう。
作ったシャワー室を使って汗を流した。
今日の体験を夕食時に、みんなに話すと羨ましそうにしていたので、時間に都合をつけてあのダンジョンに行くんだろうな。多分、時間の都合のつけやすい年少組が、俺を抜いていきそうな気がするけど、競い合うものじゃないし関係ないな。
人が増えれば、装備の交換もできるだろうし、オンラインゲームみたいな感覚だ。この世界も見方を変えれば、デスゲーム式オンラインゲームと言えなくもないもんな。レベルやスキルなんてものがあるせいで、そう思っちまうのかな?
日本でも戦国時代なら、デスゲームみたいなもんか?
しばらくはすることがないので、ダンジョンの研究をしながら、ダンジョンバトルの様子を見ていく事しかないかな? 仕事と言っていいのか分からないが、することができたので俺の心の中ではホクホクだ。
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