486話 ディストピアに帰還!
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「いやー二週間程いなかっただけで、久々な気がするな。ここが俺の街ってことなんだろうな。外にはいくけど、やっぱりここがいいな、何か落ち着く!」
俺の言葉に街を作りに言ったメンバーが、うんうんと大きく頷いている。三幼女とカエデとミリーは、一緒に街を作ったもんな、俺の気持ちが良くわかってくれている気がする。
リンドもわからなくもないが、土木組はどうなんだろうな? いろんな理由で孤児になって、独りで生きないといけない事になったから、安心して住める場所として、ディストピアに愛着を持ってくれてるのかな?
「よし、自分たちの家に帰ろうか! 土木組の家は、ブラウニーたちが管理してくれていると思うけど、掃除しなきゃいけないだろうから、無理はしないようにな」
土木組は元気いっぱいといった様子で、『はーい』と大きな声で返事を返してきた。
俺は技術指導に行く予定のドワーフたちに、炭窯とポンプのつくり方を教えておかないとな。帰り道で資料は準備したから、これで説明すれば問題ないだろう。
一緒に行った他のメンバーは、帰ってきた報告をみんなにしてくると、俺と別れての行動になる。俺はその足で、ドワーフたちの集まっている鍛冶エリアに向かう。
「お~い、メギドに技術指導しに行くのって誰だ?」
鍛冶エリアの受付みたいなところで声をかけると、一人のショタドワーフが出てきた。
「儂と後四人で行くつもりだが、どうかしたかのか?」
「前から言っていたポンプのつくり方を、覚えてもらおうかと思ってな、あと追加依頼で炭窯を作ってもらう事になったから、そっちも覚えてもらう予定だよ」
「ん? ポンプは作り方は知らんから、教えてもらわんと困るが、炭窯なら元から作れるぞ? 鍛造の時にも使うしな、質のいいものを作る自信だってあるさ。というか、あっちに炭窯ならあるぞい」
炭窯は作れるのか、そうなると何でアンソニは知らなかったんだろうな? ドワーフの技術は、一般的じゃない? この世界の武器って……そういえば、鋳造が多いんだっけ? カエデやドワーフの鍛冶ばかり見てきたせいか、鍛造が一般的だと思っていたよ。
「じゃぁ、ポンプの簡単な説明をしようか。みんなを集めてもらっていいかな?」
「了解じゃ、ちょうどいま手が空いたところじゃから、爺共も呼んでこよう」
お前は見た目は子どもでも、所々しゃべり方が爺だぞ! こいつらは長生きだからな~それに見た目で年齢が全く分からん。リンドなんかはうん百歳だしな……おっと、寒気がするのは気のせいか?
ショタドワーフに連れられて、髭だるまドワーフが四人がきた。
「みんなそろったから、簡単にポンプのつくり方を説明するぞ! 細かい構造は、説明しても今はわからないと思うから現物を見ながら、説明していく。あとでサンプルをいくつか渡すから、分解して覚えてくれ。ポンプで重要になるのが、ピストンと水を持ち上げるために使う弁だな。構造的にはこんな感じ」
「ふむ……思ったより簡単じゃな。じゃが、この隙間はどうするのじゃ?」
「ピストンは管の内側より小さく作って、隙間を埋める形で動物の革などを使う形だ。それでピストンを持ち上げると水が一緒に持ち上がって、下げるとピストンのとこにつけた弁から上に水が抜ける形だ」
「この下の弁は必要あるのか?」
「あ~それがないと、持ち上げた水がそのまま戻ってしまうんだ。だから一回下の弁とピストンの間に水をためてから、ピストンを下げるとこっち側に水がたまり、持ち上げられるってことだ」
「なるほどな、そういう構造なのか……他の部分は、確かにそれらしくあれば問題ないようじゃな。これはシュウ殿が以前話していた、てこの原理も利用している感じか?」
「みんなに教えたのとは形が違うけど、てこの原理を利用するぞ。今回は足でこげるように工夫をするから、ちょっと複雑になるかな」
そのまま続けてポンプの手漕ぎの部分を、足で踏む板に連結してこげるようにするタイプの案を、みんなに教えていく。細かい構造は省くが、体重を使えて力のある足を使う利点を説明すると、ドワーフたちは感心して、他の物に取り入れられないかを検討し始めたので、頭を叩いて現実に戻ってきてもらう。
「いくつか作ってみてくれ。一応設計図も置いていくから、ポンプがいくつかできたら連絡をくれ。新しく作った街が上手く稼働するなら、これからの街作りに役立つからよろしく頼むぞ! もし質のいい物が出来れば、あの酒を樽で用意してやるから気合入れろよ!」
そうすると陰で聞いていたドワーフたちまで、雄たけびを上げるかの如く声を出した。ビビるからやめれ! そう言い残して俺は、自分の家に戻っていく。雨が降り始めたな。ここってあんまり雨降らないから珍しいな。
雨が降ってても問題なく、外で本を読めるスペースを準備してある俺は勝ち組! のんびりとした時間を過ごすために、雨音の聞こえる軒下で、座り心地のいい木製の椅子に座ってブッ君を片手に、ホットミルクティーを飲みながら、優雅なひと時を過ごす。
雨音が消えないくらいに、小さな音で音楽もかけている。放牧という名の活動休止にはいったグループのナンバーだ。
「やっぱり紙媒体の文字と、ブッ君だと気分が違うもんだな。移動中はブッ君の方が便利だけど、こうやって落ち着いて読むには、やっぱり紙媒体で読む方がしっくりくるな。まだ時間がありそうだし本をとりに行くか……いや、気分が変わるかもしれないから、ここはDPで呼びだそう! ぽいっとな」
目の前に今ブッ君で呼んでいた本が召喚される。
「のんびりと読みますかな」
ゆったりとした時間を過ごしていると、ハクが飛んできて近くの椅子に着地した。その背中にはニコが乗っていた。何で一緒にいるんだろうと思ったら、ニコがハクの身体を包んで、しばらくすると離れた? 何がしたかったんだ? そうするといきなり俺の所に着地した。
「濡れるからやめ……ろ? 濡れてないな。ニコが吸収したのか、だから連れてきたのか? ってお前もか!」
ハクをなでていると、俺の頭にニコが乗ってきた。懐かしいな、前は移動する時にこんな感じで俺が運んでたもんな。こいつらも寂しかったのかな? 仲間は増えたけど、俺とのスキンシップが減ってるもんな。本を読むのをやめてハクをモフってから、ニコをこねくり回す。何か喜んでいるみたいで良かった。
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