479話 最後に失敗
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「張り切って六日目の作業を開始するぞ! 今日の予定は、上段の方の下水を作ろうか。その後に領主館の周りのため池を作って、持ち上げるための、途中のため池も作っていこうか」
俺の掛け声に合わせて六日目の作業が開始される。
地下へ行くための螺旋階段は、問題なく作れていたので、すごい進歩だなと感心したくらいだ。一回見せたことを、しっかりとこなしているあたり、学習力の高さ半端ないな。
問題なく下水を配置する地下も、作ってしまったあたり驚愕に値する。頂上にあるため池にかぶらないように、下水を作っているあたりわかってるな。なんてどうでもいい事を考えて、現実逃避みたいなことをしていた。
午前中に地下の整理は終わり、午後からはため池の作成だな!
「一番上に作ったため池は、特に何の問題もなさそうだね。しっかりとクリエイトゴーレムで補強しているあたりさすがだな! 次は途中のため池を作ろうか!」
次に行こうとすると、土木組からはーいと手を上げて質問してきた。
「ため池作るには、幅が狭すぎると思うのですが、どうするのですか?」
ちょっと硬い口調で俺に質問してくる。
「そうだね、外に作るにはさすがに狭いよね。でもみんなにはこの六日間で穴を掘る方法を教えたよね? それを応用すればできると思うけどどうかな?」
質問に少しのアドバイスを含めて質問で返してみた。
そうすると、う~ん、う~ん、と悩む姿が見られた。眉間にしわが寄って可愛いな……まて! 俺はロリコンじゃないぞ! しばらく悩んでいると、土木組の一人が気付いたようで、手を挙げたので指名してみる。
「えっと、ため池を作る段の壁側を掘ればたくさん水を入れられるため池ができると思います!」
と、俺の考えていた正解を見事にこたえてくれたので、シルキー特性王蜜から作った飴ちゃんをプレゼントする事にした。直接口に入れてもらったのが羨ましいようで、みんなが口を開けてこっちを見ていた。君たち! 鯉じゃないんだから、俺の方を向きながら口をパクパクさせないの!
ご褒美であげたつもりだったけど、収拾がつかなくなったので、答えた子に確認するとみんなで食べたいと言われたので、みんなの口に放り込んでいく。
「みんな午後の作業始めるよ! 今日中にため池全部作るよ! 崩れないように、しっかりと強化しながら掘るんだぞ!」
五人ずつに分かれて、中継地点の三段分のため池を作っていく事になった。この間に一番上にあるため池に、水を生み出す魔道具を作らないとな。
普通に魔道具を作ると、アリスたちみたいに色んな試行錯誤が必要なのだが、俺がクリエイトゴーレムを使って、魔核を作れば……あら不思議! 十分もあれば、完成しちゃうんだよね。
最近気付いたんだけどさ、魔導具って魔核の劣化コピーみたいなものなんだよね。原理は大体一緒だからね。
アリスたちが研究の末に、魔石の魔力を回復する事の出来る魔道具を、作ることに成功して判明した事実なのだ。ただ効率よく行うためには、魔力を直接引き出せる魔石に、クリエイトゴーレムで情報を書き込むのがいいだけなのだ。
アリスたちが作った、魔力を回復する魔道具のおかげで、何となく魔石が魔力をため込んでいる理由の仮説が立てられたのだ。
魔物の体の中で作られた魔力を、魔石が吸収してるからみたいなんだ。長生きすればするほど、同じ種族の他の個体と比べれば、魔石は大きく質のいいものになるらしいから、間違いではないと考えている。
今実験で魔力を生み出す魔核を作って、魔石に魔力が流れ込むようにして、放置しているのがあるので、その結果次第では、仮説が仮説ではなくなると考えている。
実験なので、AからGランクの魔石を七個ずつ準備している。Aランクの魔石に魔力を供給する魔核を、AからGランクで作って、他のランクの魔石でも同じことを行っている。
っと話がそれたな。俺はCランクの水属性の魔物の魔石を一個準備して、魔力を生み出す情報と水を生み出す情報と、魔核が水に沈んだら水を生み出すのを中断する情報を書き込んだ。最後に言葉によるオンオフができるように細工をする。
常に水を生み出されたら、この街が何もしないのに水浸しになるからな。ちなみに水属性の魔物の魔石を使ったのは、水を生み出すのには、同じ属性の魔石を使った方が、消費魔力が少なくて済むからだ。
「おー順調に水があふれ出てくるな。これならすぐにでもいっぱいになりそうだな。飲んでも問題無い水だし、これでひとまず街に巡らせる水の確保は出来たな」
水が満タンまで溜まるのを見届けてから、工事現場へ向かう。一番上から覗くとみんながため池を作っている姿が確認できる。
「みんな頑張ってるな。手分けしてるのかな? 強化と穴掘りとバランスの確認とかそんな感じかな?」
手分けしているのを適当に俺が役割を言ってみたが、何か違う気がするな。
邪魔をしないように上から見ていることにした。しばらくはバタバタするのではないかと思い、見守る方向でいこう!
あ、見ていたら土木組の子たちが、困っている様子が見えた。理由は簡単だった、掘った土をどうすればいいのかわからずに、あたふたしているようだ。俺は慌てて駆け下りていく。
「みんなごめんね。掘った土は今の所使い道がないから、外に捨ててきてほしいかな」
みんなが揃って返事をする。残りの作業はスムーズに進んでいた。ため池を作ってもらったけど、調整は俺がしなきゃいけないんだよね。
「うんうん、みんないい感じにできてるね。気持ちもうちょっと柱が欲しい気がするけど、初めてにしては十分かな。ここら辺に足でこげるポンプを設置して奴隷にやってもらう予定だ。
水を扱う場所なので、身ぎれいにしてもらう必要があるから、下の方に体を綺麗にする所を作らないとな。段差の半ばあたりに、奴隷の住める場所を準備しておくか。力仕事だけじゃなくて、料理もたくさん作れるように、奴隷入れないとな」
ブツブツ言いながら、手早く整地をしていく。柱の足りなそうな所には、アースウォールをイメージで変換して丸い柱を作った。最終調整はポンプが完成してからだな。
ため池の確認が終わったので時間を確認すると、まだ夕食まで二時間程あったので、今日は川まで穴をて行こうかと考えて、皆に声をかける。
「みんな、このため池に水を運び入れる穴を作るよ。大体あっちの方向に向かって一キロメートルちょっと位かな? 穴は俺たちが立てる位の大きさの穴を掘るよ。壁は可能な限り硬く整備してくれ。修復用の魔核は俺が準備するから穴掘りは任せたぞ!」
一番下のため池の側面に穴を掘っていく。
問題なく一キロメートルちょいの穴を開通させたけど、開通させた後が問題だった。開通した瞬間に川の水が一気に流れ込んできたので、慌てて結界を張って水を通さないようにした。
俺も水が流れ込んでくる事を忘れていたので、俺にも責任があるな。問題なく対応して、一キロメートル程の穴を、通ってもどった。
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