476話 盗賊たちの村での一幕
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「みんな、今日もがんばろ~」
朝食後に今日の簡単な予定を話して、掛け声をしてみた。そうすると全員が「お~!」と元気よく返事を返してきた。嬉しいね、このノリの良さ!
「俺たちは盗賊の退治に行ってくるから、土木組のみんなはリンドの指示をよく聞いて、こっちの作業を進めておいてね。という事でリンド、みんなの事を頼むよ」
続いて従魔達に声をかけようとする前に、俺とミリーの従魔たち、スライム以外が土木組の傍で俺の方をみて、『いってらっしゃい』的な雰囲気を醸し出している。やっぱりお前ら行く気ないのな……
馬車もひかせないといけないし、ウォーホース四頭を連れて行かないとないけないので、こいつらをあしにしよう。
「行ってくるから、後はよろしくね」
調べたところ村の全員が盗賊で、一部の人間が隠れて盗賊をしているわけではなかったようだ。それが分かったのも、俺たちがメギドから帰った後に、メギドで町の追加情報をゲットしてくれたようで、それをアンソニが伝えてくれていたのだ。
俺の前にネル、カエデの前にイリア、ミリーの前にシェリルが乗って最後の一頭にニコたちスライムが張り付いている。五分もしないうちに目標の村へ到着した。俺たちの野営地みたいに石や土の壁ではないが、きちんと木で壁を作っていた。
こんな事ができる労力があるならまともに働けよ。まぁ、壁があるってことは、基本的に門から逃げるってことだよな? でも、隠し扉とかあるのかな? 全員マーキングしているから、マップ先生の圏外まで逃げれなければ、確実に追跡できるから問題ないだろう。
「ニコ、お前たちの襲撃からだ。良くわからないが、こことこっちの大きな家に十五人ずつ人がいるから、二手に分かれて襲撃して無力化してくれ。終わったら残りの盗賊を可能な限り無力化してくれ」
了解の意を込めたのか、触手のような物を伸ばし丸を作ってくれた。
「任せたぞ! 俺たちは北と南にある門の見える位置へ別れよう。俺の方が、シェリルとイリアで、そっちはカエデ、ミリー、ネルでよろしく頼む」
ニコたちが暴れる前に配置についておかないとな。さて、行きますか。
配置についてマップ先生で内部の情報を確認していく。
スライムたちは、針の穴程の隙間があれば移動ができるので、マップ先生を見ていると壁を通り抜けているようにしか見えない。急にマップ先生に映る光点が、慌ただしく動き出した。それと同時に村の中から怒声が聞こえてくる。ニコたちに翻弄されているようだ。
家の外から中の人間に声をかけているのだろう、「どうした、返事をしろ!」といろんな声で聞こえてくる。その間も村の中に響く悲鳴と怒声。何か悪いことしてる気分になるけど、俺らは正義の鉄拳をふるっているのだ、やましい事はなんもない!
五分位で悲鳴が聞こえなくなり、扉を叩く音が鳴り響いている。何で扉が開かないのかといえば、スライムの一匹が開かないように頑張っているからだろう。扉の部分から動いていないスライムが、一匹ずついるからな。
それにしても村から出ようとする人間がいないな、スライムたちはこれからどうするんだろうな?
おっ! 動き出した! 全員がいったん家の外に出たようだ。でも場所的に見える位置にもスライムが出ているのに、盗賊たちに動きがない。見えていないってことか? どこに潜んでいるんだろうな?
扉が開いたみたいで中に入っていく……おぃ! 何で全員で家の中に入るんだよ! 普通に考えて連絡が取れなくなった建物に、全員で入ることしないだろ? いくら自分たちの縄張りでも、もっと気を付けろよ!
全員入ったところで各家一匹ずつスライムが入り口を封鎖した。あ~あ、これで全員戦闘不能になりそうだな。
中に入った盗賊は口々に、「何が起こった!」「起きろ!」等と言っているのが聞こえてくる。何でいちいち大声なのだろうか? 何か理由があるのか? あ~また一人スライムに攻撃されているな。後五分もあれば制圧されそうだ。
「もう出てくる人間はいないだろうから、馬車の準備でもしようか。シェリルは向こうのメンバーを呼んできてくれ。イリアはウォーホースたちを連れてきてくれ、俺は馬車を準備しておくからお願いね」
二人が離れていくのを見送って、俺は準備しておいた馬車を収納のカバンから取り出して、ウォーホースたちにセットするだけの状態にしておく。アンソニにも連絡を入れておかないとな。
一時間もかからないで、残りの盗賊をメギドに連れていける事を伝えて、準備を整えてもらう。
カエデやミリーたちがこちらに来る頃には五分が経過して、意識がある盗賊はおそらく後一人になっていた。もう終わるかなと考えていると、何かが爆発したような音が聞こえる。マップ先生で様子を伺うと、意識のある盗賊が家の外に出ていた。マップ先生をいじってこいつの情報を取得していく。
「なんでこんな奴が、こんなところにいるんだろうな?」
「シュウ、どうかしたの?」
「いやな、多分起きている最後の盗賊がな。なんていうか、レベルやスキルだけを見れば、騎士団の幹部位強い奴がいてな」
「へ~見せて……レベル一五二に剣と盾に色々とスキルを持ってるのね。このレベルでこのスキルなら、フレデリクにいた騎士団長よりきっと上ね。本当に何でこんなところにいるんだろうね?」
「どれだけ強くても、ニコたちには勝てんだろうな。レベルを見てもステータスをみても、一対一で負ける要素がないからな。なんて言っている間に終わったっぽいな。ニコがこっちに向かってきているから、呼びに来てくれるみたいだぞ。みんな手袋をつけて、作業用エプロンも付け忘れないようにね」
みんなの返事を聞きながら俺も準備を始めていく。そうするとニコが俺の胸に体当たり……もとい、飛び込んできたので、キャッチしてなでてやる。
準備が終わったので、ウォーホースに馬車をひいてもらい村の中に入っていく。二つの家の前に馬車を止めて、盗賊たちを家の中から引きずり出しながら、荷物のように馬車に投げ込んでいく。
作業中に目が覚めて騒ぎ出す盗賊もいたが、近くにいる誰かに思いっきり腹を殴られて悶絶している。それにしても臭いな。何日も風呂に入っていないような、鼻の曲がる臭いがする。さっさとメギドに連れて行こう。
馬車を走らせてメギドに向かう。盗賊の上には、ニコたちスライムを配置して、監視をしてもらっている。俺たち六人は馬車の御者の座る場所や、ウォーホースの上にいる。
メギドに到着すると昨日と一緒で、アンソニが準備を終えて待っていた。後は任せて街づくりへ戻る!
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