472話 新しい街の構想完了
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「ん~アンソニの図面は完璧なんだけど、このシステムはさすがに魔道具で作るのは良くないかな? 確かに、クリエイトゴーレムを使えば、壊れないように作ることはできるけど、クリエイトゴーレムの恩恵を、ここの街にもっていうのはちょっとな……」
庭にあるお気に入りの革のソファーに深く座って、図面を見ながら独り言を言っている。
「ってことは、これに代用できる魔道具を作れる人間がいるか探すか?」
俺が悩んでいるのは、ディストピアのように俺の家を中心に、水を街の中に巡らせるシステムなのだが。もともと平面な所に土を盛って、領主館と水源を街の一番上に作るのだが、普通に考えて川は髙い所から低いとこに流れるのに、水源が上にあるので、水を持ち上げる行動が必要なのだ。
アンソニは、その行動を俺のクリエイトゴーレムに頼る形にするようだったので、クリエイトゴーレムに頼らない、代替案がないかと頭を悩ませていた。
この世界にはスクリューみたいな物はないから、スクリューを使ったポンプは無理だろ。そう考えると、押し上げ式ポンプみたいなのがいいのかな? これを魔道具で代替するのは、難しい気がするんだよな。
この世界の魔道具基本的に、魔石や魔力を注ぎ込んで何かを出す、という点が中心になってるから、熱を出す・炎を出す・水を出す・光を出すといったことに特化している物が多い。
熟練の魔導具工作技師になれば、モーターの様な物を作ったりできるのだが、そんなものを作るより、高性能の戦闘に使える魔道具や、武器や防具に特殊効果を付ける方が、お金になるので作る人間がほとんどいないようだ。
「そう考えるとかなり金がかかるし、メンテナンスを考えるとかなり面倒になるよな。どうしたもんだか?」
ブツブツ独り言を言っていると、ガリアが声をかけてきた。
「シュウ様、どうかなさいましたか?」
「メギドの近くにある森付近に、街を作るっていう話をしてただろ? その街の図面をもらったから、色々考えていたんだけど、どうしようかなってね」
「ちょうどよかったです。今その事でお話ししようかと思いまして、ちなみにシュウ様が悩んでるのはどこらへんですか?」
「川からその街まで水路を通すのは、俺も考えてたしアンソニの図面にもあった事なんだけど、アンソニの図面だと、ディストピアみたいに俺の家を街の頂点にして、そこから水が流れるようになってるんだよね。
ただ街まで引いた水を領主館の近くのため池まで、持ち上げるのが俺の魔道具頼みだったから、それはどうなんだろうと思って、代替案がないか考えてたとこなんだわ」
「シュウ様もそこがネックになっているんですか。私も同じ所でどうなのかと思う場所があったので、相談に来たんですよ。ディストピアみたいな領主館が頂点っていうのは、難しいんじゃないかと思って、平面で同じような事が出来ないか聞きに来たんです」
「平面だと難しいんじゃないかな? 領主館からまわりに水が回るようにするとなると、段差を作るか俺が魔道具で何しない限り、無理だと思うけど……地球方式の水道なんて、通せるわけないしな」
「そうですね、シュウ様のクリエイトゴーレムを中心に考えると、何かあった時に対処できるのが、シュウ様だけになってしまうってことですからね。土台作りは任せたとしても、その後のメンテナンスにも、シュウ様のお力が必要になるのは許容できませんね」
「という事で、ポンプを使って水を上げようかと思ったんだけど、魔道具でこれを再現できる技術者って、希少だと思うからどうなんだろうってな。占有してめっちゃ金がかかるのも意味がないからな」
「ポンプって言うと、どんなものですか?」
ガリアはポンプを知らないようで、ポンプの概要を説明する。
「ふむふむ、その押し上げ式ポンプは、人力でも可能ってことですか?」
「人力でも可能というより、は人力が基本的にメインだったんだよね。余った水はスライムプールを通って、下のため池に戻るようにして、水車を使えば少しはエネルギーとして回収できるけどな」
「人力を使う前提であるならば、奴隷を購入してそれを仕事にさせればいいのではないでしょうか?」
「奴隷か……そういう使い方があるのか。人が確保できるなら、足踏み式で出来る奴があれば、ポンプの数を用意すれば、結構な水を持ち上げられるか? 流す水の量は領主館で調整すれば、問題ないだろうしな。どう思う?」
「そうですね。その方法が可能であるなら、メンテナンスの部分だけ、何とかなれば問題ないと思います」
「そっか、押し上げ式ポンプの原理は簡単だから、そこら辺のドワーフを捕まえて少し話すれば、すぐに分かるはずだぞ。ポンプに使う管もメインになるところ以外は、隙間がなければ何の問題もないくらい簡単なものだよ。それより気になったんだけど、この世界ってろ過ってあるのか?」
「ろ過ですか? 製薬とかに使う技術ですよね?」
「あ~概念はあるんだ。水をろ過するっていうのは、意味が分からないか?」
「水なんてろ過しても、意味ないですよね?」
「やっぱりそういう認識か。質問なんだけど、川の水を飲めるように処理はするのか?」
「シュウ様、さすがに川の水を、そのまま飲む事はしませんよ」
「じゃぁ、どうするんだ?」
「ため池に水を浄化する魔道具を入れるんですよ」
「そういう事か。飲める水は、ため池に浄化する魔道具を入れるか、井戸水か、魔道具で水を作り出すかってところか?」
「そうですね。水を浄化する魔道具は、昔から必要にかられて魔導具工作技師たちが頑張って改良し、駆け出しに毛が生えた程度の実力でも、ある程度品質のいい魔道具がつくれるようになっているので、比較的安価に手に入りますよ。
水を作り出す魔道具は魔力を多く使うので、魔力に余裕のある人間か、魔石をある程度確保できる人たちしか使わないですね。どちらにしても、シュウ様の作る魔道具と比べると、雲泥の差がありますけどね」
「そう考えると、アリス達が作った水を作り出す魔道具って結構すごいのか?」
「従来の物に比べれば効率はいいですがそれでも、必要量を生み出す事を考えると魔力に余裕があるか、魔石を使わないと難しいですよ。あれがずっと動いていられるのは、シュウ様の魔核のおかげです」
「あ~俺が作った魔核で動いてるんだっけ、忘れてたわ。新しく作る街は、ポンプの部分以外は、アンソニの図面通りでいいってことか?」
「そうですね。水の部分が解決できるのであれば、それで問題ないかと思います。押し上げ式のポンプは、早めに作成に入りましょうか?」
「そうだな、ポンプは数が必要になるから、ドンドン作ってもらわないといけないんだよな。早めに移住できるようにして、鍛冶の人間を先に送り出す方がいいか?
始めは俺の魔道具に頼ることになるけど、ポンプが必要数完成して人員が集まったら、俺の魔道具どけて浄化の魔道具を突っ込んどけばいいと思う」
「そうしますか? 奴隷の方は多分すぐ集まりますので、どれだけ必要になるかですね」
スクリューが開発されたら、木材を燃やして蒸気機関が作れるようになるけどさすがに、俺が主導でこれ以上の技術革新は微妙だよな。勇者として召喚された人間が、スクリューを作っていないのが、不思議なんだけどな。
ポンプも見ないな、なんでだ? ダンマスが技術を伝えにくいのはわかるけど、勇者なら……ってこの世界の勇者は、称号であって人に望まれて召喚された人ではないし、俺TUEEEを体現したアホ共がおおいから、開発はやってないのかな?
俺には関係ないし、気にするだけ無駄か! さて土木組はどこまで出来るかな?
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