451話 壁、作成開始!
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なんやかんやしていたら、特使が帝都に帰る前日になっていた。
その間にレッドドラゴンの定期討伐予定の、七人の装備も完成していた。見た目はほぼ統一されている。魔法と弓を使う元Sシングルのケモ耳娘の装備は若干違うが、統一されたデザインなので間違えようはないだろう。
他にも、世界樹の枝を使った杖が、予想以上に高性能だったので、俺の妻の魔法使い組の分も準備している。俺の分がなかったので、世界樹にお願いしに行ったら、他の世界樹の枝とは比べ物にならないくらい存在感を放っていた枝が落ちてきた。
しかも、宝石を埋め込める場所が三つ準備されていたものだ。俺はブースト、集束、拡散に特化したAランクの魔石で、魔核を作りセットしている。
この杖を誰かに実験してもらおうとしたのだが、誰も上手く使えなかったので、俺が使ってみるとすんなり使えたのだ。意図せずして使用者固定されてしまったようだ。
妻たちの世界樹の杖も同じように、使用者固定されている。認めた者にしか使えないってことか、もし何かあって盗まれても、問題ないな。ただこの杖は盗まれても、本当に問題がなかったことが後に判明する。
スカルズのメンバーとケモ耳三人娘の装備も完成したし、一緒に連れて行こうか。そろそろレッドドラゴンがリポップするはずだからな。その事を話したら、少し気負った感じで返事を返されたので、リラックスするように声掛けをする。
この前帰って来たみたいに、夜に出発する事を伝えると、慣れないせいか多少の混乱もあったようだが、落ち着いて自分たちの寝る客車へ入っていった。
朝起きればそこは! 景色のいいどこかではなく、メギドのホームだった。今はそこにしか通じてないから、当たり前だよね。待ってたのは美女ではなく、おっさんのアンソニだ。何かお尻をどつかれたのだが何故だ?
「シュウ様、お待ちしてました。特使の方たちは、朝食後に少し休憩したら出発する予定です」
「了解。それに同行して壁の建設地まで行くか! そこで一気に作っていいのか?」
「そうですね。最低でもこれだけ出来る! と思わせる方向で力を見せつけてもらえればと思います。今回の特使の方たちは、こちらの事を侮ってはいませんでしたが、他の人間にはわからない事だと思いますし、短時間でこれだけの物を作れるという、威嚇にもなると思います」
「そういうもんか。今回はダンマスのスキルじゃなくて、魔法で作ればいいかな?」
「そうですね。そうしていただけると、こちらの苦労が多少減ると思います」
「うい~、ちょっとどういう風にするか検討してみるわ」
街道には扉を設けないといけないし、兵士が駐留できる施設も作らないといけないからな。兵士の詰め所は、ログハウスチックにするか? これなら簡単に作ってると思われるからな。後で暇してるドワーフたちに、仕事を与えてやるか。きっちり作ってもらえたら、美味い酒とつまみでも出してやるかな。
「しばらく、上の屋敷でお待ちください。こちらで準備しておきますので」
階段を上るのが嫌だったので、エレベーターを使って地上に戻る。アンソニに呼ばれるまでは、のんびりと朝食を食べよう。今日の飲み物は牛乳で紅茶を煮だしたミルクティーだ!
飲み物は甘くしないで、シュガーとバターを塗ってトーストした、シュガバタトーストだ! そのまんまの名前だけど、思いつかなかったのでそう呼んでいる。他にも、おかずパンのようなものをいくつか食べた。
休憩していると、アンソニが呼びに来た。
「そろそろ出発するみたいなので、準備をお願いします」
準備はできていたので、準備してもらっていた馬車に乗り込む。ちなみに馬車に使うウォーホースは、貨物車に乗せたわけではなく、自分で走ってきている。乗せようと思っても嫌がったので、後で自分で走ってこいと言ったら三時間遅れくらいで出発してきたのに、メギドに到着する前に追いつかれていた。
特使たちと挨拶をかわし、俺たちが途中まで同行する旨を伝える。
初めは何でついてくるのかと思っていたようだが、壁を作る所を見せて次に来た時に、驚かせないようにという配慮という名の威圧行為だ。
この特使たちは全員で十人と護衛が二十名ついてきているが、護衛の中の半数以上は、俺の事をなめている様子が見えるので、ちょうどいいだろう。特使たちが俺たちをなめていなくてよかったわ。
ゆっくりとしたペースで二時間ほど進むと目標地点に来たので、どういう風に作業するかを見せつける。俺は新しく作った世界樹の杖を取り出してイメージしていく。街道の幅がだいたい馬車四台並んで通れる幅があるので、その部分は扉がつけれるように穴をあけて……【グランドウォール】
グランドウォールは、アースウォールの上位魔法で、城壁のような強固な壁を作る魔法だ。
一応DPで作れる城壁をイメージして作っている。この後の作業は、DPで壁を作って破棄してから、クリエイトゴーレムを使って、制御下に置いていく形だ。壊されたり風化しないように、魔核を大量に埋め込む予定だ。
一瞬で出来た壁は高さ十メートル、長さ約一キロメートル程。俺もちょっとこのサイズには、ビビっている。俺の予定では、高さは十メートルだったのだが、長さは良くて三〇〇メートル位の予定だったので、自分でも驚くしかなかった。
世界樹の杖が、自分の意志を持っているのじゃないかと、思ってしまったほどだ。
俺をなめていた連中は、今にも腰を抜かしそうな顔で壁を見ていた。特使団の中で、一人だけ落ち着いている奴がいた。トップのおっちゃんだ。さりげなく俺に見えるように親指を立てている。一応お前たちの国を切り取った張本人なんだけどな。喜んでくれているようなので、大丈夫か?
「一応ですが、こんな感じで壁を作らせてもらって、街道には扉を設けさせていただきます。できるならそちらの国からも、自分たちの国に入る審査をする門番を出してくださいね。事前に話したように、こっちはこっちで準備する予定なのでよろしく」
「言いたいことはわかるが、さすがにこの位置に常に人を派遣するのは難しいと思うので、実質そちらが管理する形になると思われます」
「そっちがそれでいいなら、問題はないと思うけどアンソニ、そこらへんどうなの?」
「二つの国が門番を置くのは、互いに監視するためですからね。帝国が問題ないのであればそれでいいかと」
「だってさ、人がこれそうならよろしくね」
「貴様! さっきから帝国の特使に向かって失礼だr……プベラァ」
急に出てきた護衛の兵士が、隊長っぽい人に蹴飛ばされて吹っ飛ばされていた。この隊長ぽい人は、俺の事をなめている様子はなかった人物だ。
「私の管理していた者の暴言失礼いたしました。今ここで首を刎ねさせていただきます」
はぁ? さすがにいきなりここで刎ねるのは、やめて頂きたい。何人も殺してはいるが、ここで首を刎ねられるのを見ても、夢見が悪くなるだけだし。
「ちょっと待て、俺の目の前で血生臭い事をするな。処分はそっちに任すから、やるなら俺たちのみえないところでやれ」
「申し訳ございませんでした!」
頭を下げで隊長っぽい人がうめいている兵士を引きずり、馬車に投げ込む。特使のリーダーに再度頭を下げられ二・三会話をすると帝都に帰っていくようだ。
さて、俺は壁を作る作業に入るかな。
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