438話 乗っ取った後の作業開始
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ガリアは俺と話し終わると、この後に必要な事をアンソニと話し合って決めていくようだ。
することが無くなった俺は、街の散策に出る事にした。どんな街なのかが気になったのでお忍び? で行くことに決めたのだ。
領主が交代したことが知れ渡っていたが、大きな混乱は無いようだった。グリエルに言われた通りに宣言したのだ。
『領主は交代した。今までの街の運営とは変わるが、年に一度の税金を納める必要がなくなる代わりに、物を売り買いする際に税金をかける、稼いだ分には税がかからないから、稼いだ分だけ自分で使えるようにする』
税をとる際に、ほとんどの街でとられている方法は、稼いだ分から何パーセントとかでなく、前の年に稼いだ分に対するパーセントで徴税されるため、収入隠しや稼げなかったことで税金を払えず、奴隷落ち等がよくあるそうだ。
救済措置はあるそうだが、奴隷落ちになる人の数が結構な数になるので、きちんと機能していないのだろう。
街の活気は悪くないかな? やっぱり臭いが気になるな。この世界では当たり前なんだろうか? 王都に行った時も、皇都に行った時も、聖都に行った時も、場所によっては臭かったしな。街の中にトイレっていうのは、普通ないってことだよな。
インフラ整備はするか。疫病とかで死なれても困るしな。もし亡くなった人がいた場合は、迅速に対応しないと病気をふりまくから、気を付けないと。
他の街に比べてスラムの人間が少なかったので、どうしてか確認をした所、街の運営資金の足しにするために、兵士と一緒にダンジョンに潜らせて、パワーレベリングを行ってから売り払っていたそうだ。
この街にダンジョンがあることは知られていたので、特に疑問も持たれずに高値で買い取ってもらっていたとの事だ。
グレッグのスラムはほとんどなくなったが、ミューズのスラムは一向に小さくならない。理由は簡単なんだけどね。今まで亜人と呼んで、こき使ってきた人間がいなくなったため、自分で働けなくなったやつらが、恩恵を受けようとミューズに来るのだ。
そんな奴らは、獣人が普通に街の中にいれば、からんでトラブルになってスラムに溜まっていくのだ。ミューズに入る前に、差別はするなって念を押して入れてるのにな……これだから宗教っていうのは嫌いだ。
屋台で買い食いなんかもしてみたけど、あまりおいしいものではなかったので、ここで見るものはもうないだろう。気になる物があれば、アンソニに知らせてもらえばいいかな? お付きのメンバーも、目新しい物が見つからなかったので、テンションが落ちているから家に帰ることにしよう。
マップ先生を見ていると、高速で移動している俺の眷属や部下にあたる青光点が目に入った。空中でも支配領域の上なら表示してくれるんだな。
ワイバーンを探した時も飛んでるのを発見してたっけ? 確かあいつは、帝都の皇帝に手紙をもたせて遣いに出した魔物だな。戻って来たってことは、返信が帰って来たってことでいいんだよな。
家に着くと遣いに出していた魔物から、手紙を受け取ったブラウニーが俺に手紙を持ってきた。
「えっと、ふむふむ……要約すれば、『この街は自由にしていいから、周りに手を出すのはやめてください』みたいな感じか。この街に外交特使みたいな人間が、派遣されてくるみたいだな。ガリア! いるか?」
遠くからガリアの返事をする声が聞こえる。その後に廊下を走る音が聞こえてきた。
「ハァハァ、シュウ様どうしましたか?」
「皇帝から返信が返ってきて、この街は自由にしていいそうだ。他の街には手を出さないでほしいみたいだ。向こうが攻めてこなければ、何もする気はないけど、攻めてきたらしょうがないよな? っと話が脱線した。外交特使が帝国から派遣されるみたいだけど、そいつらの宿ってどうするべきだ?」
「そうですね、ある程度重要な街の機関と同じ敷地内に、別棟を建てるのが一般的ですね。理由としては、自分たちで用意させると、街で何をされるか分からないですし、ある程度重要な機関と同じ敷地内なので、しっかりと荷物や出入りをする人間を調べられるということです」
ふ~ん、意外に考えられているんだな。思った以上だな。
「じゃぁ、領主館と同じ敷地は拙いか?」
「さすがに領主館はよろしくないです。この街にもそういった人間を、集めておけるようなエリアがあるので、そこに入れておけば問題ないと思います。文句を言うようでしたら、送り返して抗議文を皇帝に出せば問題ないですね」
「了解。そこらへんはガリアにお願いするわ。俺がこれ以上指示出す事はないよな?」
「特使がいつ頃到着するか知りませんが、初めの話し合いの時には、いてもらいたいですね。そこでアンソニに全権委任する旨と、武力による侵略に対抗する方針などを、明確にして宣言してください」
「ん? 今までにそんなことした覚えないぞ?」
「今までは良かったのですが、立地条件的にしないと、トラブルのもとになるかと思います」
「そういうもんか? まぁいっか、そいつらもマップ先生で位置は把握できるから、それに合わせてこの街にきておけば問題ないな? この街ってどこまでが領地になるんだ?」
「どこまでと言いますと?」
「街の外の領域? って言えばいいのか、そこはどこまでがこの街の領土なんだ?」
「どこまでという事は無いですが、およそ十キロメートル位ではないでしょうか? 別に管理できるなら広げても問題ないのですが、塀を立てる事はできませんから、管理は難しくなります。
実効支配できるのは、視認できる範囲って感じですかね? 城壁に高い尖塔みたいなのがありますよね? あれが遠くを見るための設備みたいなものです」
「じゃぁ、塀を立てて俺の領土だ! と主張するのはありってことか? ちょっと東側に魔物の領域があるからそこまではもらいたいところだな。その森は獣系の魔物もいるし、肉の供給源になってるっぽいからな」
「そこらへんは、特使が来た時にアンソニから話をさせておきます。魔物領域近くに、城壁に囲まれた街を作って、安全に休める事が分かれば、冒険者がやってきて勝手に、肉を売って行ってくれると思いますね」
「そんなもんか? 城壁を立てたり街をつくる時に協力すればいいか」
「そうしていただけると助かるのですが、可能であれば新しく土木系の仕事ができる部隊があると、助かりますね。工事があるたびに、シュウ様たちに頼るのは心苦しいのですから」
「ん~検討しておく、城壁に関しては今のところ、クリエイトゴーレムで修復機能も付けているからな。あの魔法だと育てるのが難しいんだよな」
俺の服を引っ張る感覚があり視線を落とすと、ネルが俺の服を引っ張っていた。どうしたんだろ?
「えっとね、学校のお友達が助けてくれたお兄……じゃなくて、ご主人様に恩返ししたいって、よく聞くんだけど、何でもできちゃうからって、みんな悩んでたの! その子たちに魔法教えてみたらどう?」
「そうなのか? 学校のお友達ってことは、低学年組ってことかな? 早すぎないかな?」
「奴隷だったら六歳も過ぎれば働かされるから、勉強できるディストピアは、いい場所なの! それにみんな、親を亡くした子たちなの……」
そっか親のいない孤児院の子か……たくましいな。
「それなら、その方向で検討しよっか。念のため、その子たちの意志を確認しておかないとな」
幼女三人組が喜んでいるようなので、本当に役に立ちたいと思っている子たちなのだろう。
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