433話 乗っ取り計画始動
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魔改造された家の中を見て、俺は満足気に頷く。購入した家は、治安のいい一等地といっても過言ではない、大通りに面した場所だ。
偶然なのか隣の家が、迷賊のアジトとしてダンジョンに続く通路のあった家だった。大きい家だったこともあり、高かったが俺たちは即金で購入している。商会から入ってくる、死蔵しているお金を使った感じだ。
この街を手に入れた後なら、この隣の家も俺の物にして問題ないはずだから領主館は、派遣する誰かに使わせよう。ここは別荘として、レッドドラゴンを狩る拠点となってもらおう。それとも、レッドドラゴン狩りに専用にパーティーを作るか?
今回のレッドドラゴンの装備を使って防具を作れば、炎耐性は完璧だろう。でも、魔力ブレスは厳しいか? 魔力防御も上がるしいけるか? おっといけねえ、また思考がそれちまったな。何にするにしても、グリエルたちに相談しないとな。
話しを通すために、魔導無線機で相手を呼び出す。
「ん? シュウ様ですか?」
おぉ? いきなりグリエルがとったようだ。今は執務室にいるってことかな?
「グリエルか? ちょうどよかった。相談というか今から、ダンジョンのある街の領主を引きずり落して、奪うつもりなんだけど、領主が出来そうな人材っているか?」
「はぁ? 街を乗っ取る? どういうことですか?」
「話を端折りすぎたか。ダンジョンに盗賊がいて、その盗賊の黒幕が領主だったみたいなんだ。だから奪ってしまおうかな? で、ミリーの考えだと帝国が強権を発動して奪いに来るだろうから、抵抗して倒せば国を内乱状態にできるかもってことで、この街を切り取っちゃおうかなって思ってな。
ついでなんだけど、ダンジョンのボスがレッドドラゴンだったから、おさえておきたいなって思ってね」
「相変わらずぶっ飛んでますね。街を奪うっていうのも普通なら、荒唐無稽な話なんですが、実際に四つの街を奪っていますしね。レッドドラゴンのために、街を奪うってことですよね? あきれてものが言えないです。
倒せること自体が異常なのに、それを何度も倒そうだなんて。何となく話は分かりました。おそらくですが、帝国はその街だけなら強権を発動しないと思います」
「どういうことだ?」
「シュウ様はお忘れかもしれませんが、帝国の帝都に攻め入って城を落としているのですよ? そんな人間の治めている街を、攻めようなんて思わないです。私の勘ですが、ディストピアの飛び地として承認されるんじゃないですかね? 周辺の街まで手中に入れれば、皇帝でも家臣を抑えられないでしょうけど」
「そんなもんか? 飛び地になるなら、地下道を掘って街の周辺に、ちょっとした壁を作ってもいいよな。で、ここ攻め落とした後、治めれそうな人材はいるか?」
「すいません、そういった話でしたね。半年前程に買った奴隷の中に、私と同じ境遇の人間が五人いて特別教育しています。シュウ様も許可出してくださった、あの奴隷たちですが覚えていますか?」
「うん、から返事してたと思う。俺は覚えていない!」
「ですよね。街を収められるくらいには、優秀な人材は今のとこ五人ですね。同じような境遇の人間が最近三名いましたので、教育している最中です。
シュウ様が設置してくださったパソコンを、そっちの街にも設置して繋げてくださるのであれば、会話もできますしすぐに相談もできますので、何の問題もありませんね。周辺を警護する人材は、準備できますか?」
「ん~レベル一〇〇位の奴隷とかだったら、すぐに準備できるかな? 人材を選ぶ必要はあるけど、後はいつも通りリビングアーマーと、人造ゴーレムがいれば十分じゃないか?」
「準備していただけるのであれば、問題ないです。方法も任せますので、よろしくお願いします。いつまでに準備をしておけばいいですか?」
「準備が出来たらすぐに来てもらいたい。どれだけ時間かかるか分からないけど、早めにいてほしい。今通路作ったから、俺の家にある馬車を使ってこっちに送ってくれ」
「了解しました。準備を始めさせます」
街乗っ取りの計画を建て始める。今回はスカルズとケモ耳三人に頑張ってもらう予定なので、仕事を与えておこう。会議室(仮)という名の食堂に、スカルズたちを呼んでもらう。
「みんな、待たせたね。領主を攻めようと思うけど、きちんとした証拠が領主館から出てほしいから、忍び込んでもらって、探してもらっていいかい? 証拠が出れば、みんなの自由に攻められるぞ」
俺の言葉を聞いたスカルズのメンバーと、ケモ耳三人娘はやる気満々の顔をして、了解の意を示した。
このメンバーのパワードスーツには、吸音機能まで魔核で付与しているので潜入工作でも、何の問題もないだろう。特にスカルズは裏の仕事をするようになって、まるで暗殺者のような神出鬼没な動きをするようになっている。
絶対に証拠を見つけてやると息巻いてでていく。今から寝るそうだ。潜入は夜に行うとの事だ。俺は彼女たちが頑張れるように、ブラウニーたちに出撃前に食べる料理を、みんなの好物にしてもらうよう頼んでおいた。
さて俺は皇帝に手紙を書こう。この街の領主のしたことをつらつら書いて、今から証拠を見つけて出たら潰す旨を書いておく。領主の不法行為に巻き込まれたので、この街は俺がいただく事、文句があるなら相手になるからかかってこい、と最後に書いておいた。
この手紙の内容はグリエルの指示を受けた通りに書いたものだ。戦闘をして実際に勝っているので、下手に出るのは絶対に良くない。強気で書いてください、と言われたのでめっちゃ上から書いて、これでいいのかと思う程強気な内容だ。
グリエルに言わせれば、本当に攻めてくれば、それこそ国盗りをしてそのまま内乱に持ち込めば、切り取れる部分が多くなりますよ……と。
グリエルの下には、現在五人優秀な部下がいて、さらに三人追加されてるから、街が増えても問題ないようだ。護衛のメンバーを、早めに揃えておかないといけないかな?
他の街に偵察に行っている鬼人に、良さそうな奴隷がいたら購入して、ディストピアに送るように指示をしておいた。判断基準は、戦闘できるできないではなく、素直であることを中心に選んでもらおうと思っている。
ある程度人数が揃えば、メイドか執事の訓練が始まって、その後に戦闘訓練が施されるだろう。これはシルキーたちのこだわりであり、奉仕の仕事ができない人間が、戦闘でいい仕事なんてできるわけもないと、よくわからない理屈をこねているため、このようになっている。
早く明日にならんかな? スカルズたちの情報待ちになるから、今日はこれ以上何もすることは無かったりする。のんびりとした午後を過ごそうかな。
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