413話 生ハム製造!(チートあり)
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基本的な生ハムの作り方は、生の豚肉を塩漬けして十日程冷蔵して塩を浸透させる。ここから熟成に入るのだが、湿度とかをしっかりと管理しないと、肉がただ乾燥してしまったり腐ったりしてしまうそうだ。
熟成させるために白カビがついて、その白カビが肉を香りとたんぱく質を分解していくそうだ。熟成期間によってドンドン香りが変わっていく。種類によって熟成期間が違うそうだ。早い物だと十ヶ月、長い物になれば三十ヶ月という長期間熟成させるものがあるそうだ。
パルマハムの中でも王様と言われているクラテッロは、塩漬けする際に一番いい部分だけを切り出して、豚の膀胱に包み肉の乾燥を防ぐそうだ。
白カビがついて十八ヶ月間熟成されたクラテッロは、膀胱を剥いでカビを削ぎ落すまで、ほとんど香りがしないらしい。すべての香りが中に詰まっているので、切った時の断面の香りはすごいとの事だ。
俺が地球にいた頃毎週見ていた、テレビ番組のDVDを召喚してそこから得た知識だ。
俺の所有しているこのダンジョン。DPでどんな風にでも環境を設定することができるので、そういう意味では特に問題ないのだが、日本人の口……俺の口に合う味かと言われれば、よくわからん!
これまたテレビ番組のDVDで得た知識から、日本人の口に合うように塩漬けにしてからダシを擦り込んで、さらにサトウキビから作った砂糖を使って、少し甘く味付けした奴も試してみる事にした。
「俺は自分の口に合いそうな塩漬けだけじゃなく、ダシを使ったタイプの物を作ってみるから、みんなも思い思いにいろんなものにチャレンジしてみてほしい。それと忘れないようにどうやって調理したかは、メモっておいてね。後自分のものだってわかるように!」
シルキーたちはオーソドックスな物を作るようだ。先ずはダンジョン農園の養豚を使ってクラテッロと同じように作るらしい。その方法をそのまま今回のドロップ品のイノシシの肉でも試すそうだ。
俺はまずDVDで見たとおりに、金華豚を使った日本人の口に合う生ハムの作成からだ。
塩は、石垣のミネラル豊富な塩を準備した。一生懸命肉の隙間までしっかりと擦り込んでいく。この過程はいわゆる殺菌である。
この後に昆布やカツオ節からとった濃厚なダシを擦り込み、最後にダンジョン農園で作ったサトウキビから作った、砂糖の元のような物を擦り込んでいくしっかり空気を抜いてビニールで包んでいく。
下準備の終わった肉を、精肉所の地下に作った冷蔵部屋へもっていく。腐敗をしないように、DPでインチキした特別製の部屋だ。他にも白カビが快適に過ごせる部屋等、用途に合わせて地下に色々準備している。
もちろん腐敗防止だけでなく、熟成加速も部屋にかかっている。もう何でもありだな! DPがただただ便利な道具という認識になってるよ。
『他のダンマスはヒィヒィ言って、DPを稼いでいるのに娯楽に使うとは、何て言う贅沢ものですかね。私はDPを無駄使いできるような、ダンマスを召喚したって鼻が高いけど……そろそろお願いだから、まともなダンジョン作って!』
またチビ神が声を送ってきやがった! 俺の楽しい時間を邪魔するな!
さて、今回のメインとなる巨大イノシシのもも肉を使った生ハムの開発だ。
さすがに今まで処理していた豚のもも肉の、数倍も大きなものをそのまま生ハムに加工するのは無理がある。豚の肉で生ハムを作る時と、同じ大きさ位にカットしていく。
一応端切れでどんな味なのか、焼いて食べているが、昔食べた事のあるイノシシの味そのまま? といった感じだろうか。豚とは違うがこれはこれでうまいので、それなりの物が出来上がるのではないか? 若干硬い感じがしたのは、何とかなるのだろうか?
二ブロックの肉を金華豚に行った工程と同じ製法で、ダシを使ったタイプの物を作っている。
他にもヨーグルトを利用してみたり、サトウキビの代わりに肉が柔らかくなると言われている、ハチミツを使ってみたりしている。他にもパイナップルやキウイフルーツなど、肉を柔らかくすると言われているフルーツも使用してみている。
最後にクラテッロと同じ手法で膀胱に包んで、白カビで熟成させる方法も試している。
金華豚の生ハムは肉に浸透させるのに、四ヶ月の冷蔵保存という事だったので、ダシを使った物は全部同じように四ヶ月間(熟成加速部屋では四日)の保存を行う事にした。
どういう状況になるのかわからないが、この部屋で一日保存した物とこの部屋以外で一ヶ月間保存したのと、状況が全く変わらないのであった。
生物には影響がないのだが、食材や菌などは時間が加速するような感じだろうか? だから、キノコをこの部屋で育てると大惨事になる。キノコのかけ合わせ等、色々試すにはかなり便利ではあるだろうな。
雑務をこなしながら十日間が経った。DVD通りであれば、一応完成にはなるのだが出来栄えはどうだろうか? う~~ん、DVDで見た物とは何か違う気がするけど、金華豚は美味い事は美味い! 元がいいからかな。それに、腐敗しない部屋だしな! 失敗は無い!
問題は、イノシシだな。金華豚と同じように作った物を試食する。うん、なんか違う。ただこれはこれで俺は好きだな。生ハムと言われると、素材が違うので何とも言えないけど、美味い感じはするな。もうちょっと熟成させればいいんじゃないかな?
さてさて、次はハチミツやヨーグルト、肉柔らかくなってないじゃん! ハチミツよりサトウキビの甘さの方が美味いな。よくよく調べてみると、ハチミツは肉を柔らかくするというより、焼いたり揚げたり熱を加えた時に硬くなりにくいだけで、肉自体が柔らかくなるわけではないのだ。
ヨーグルトは、美味くない! なんか酸っぱくなってしまって、美味くなかったのだ。生ハムには向いてないな。
フルーツ系は酸味と甘みのバランスが良く、肉が柔らかくなるわけじゃないが、美味かった。もう少し熟成させれば、こちらも美味くなるのではないだろうか? 俺は予想外の結果にガッツポーズをしてしまった。
やはり、もともとが生ハム専用に育てられた肉ではない。しかもイノシシの肉だから、同じ手法でも熟成期間はもっと長くしないといけないんだろうな。食べられない味でもないし十分だな! 元の世界でやったら、悲惨なことになりそうだけどな。
後十日位したら、膀胱に包んだイノシシ肉の生ハムが完成するだろう。どんな味になるんだろうな?
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