408話 チビ神からの仕事……
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『ちょっとあなた、そろそろ仕事しなさいよ!』
おっとチビ神の登場だ……
ん? チビ神にそろそろ仕事をしろと言われたが、お前から受けた仕事なんてなんもないぞ? そもそもこっちに干渉しないのが、お前ら神じゃなかったっけ?
『あなた、もう忘れてるわね。何しに帝国へ行ったか覚えてる?』
ん~勇者を懲らしめに、帝国にお灸をすえに?
『あら? 覚えてるじゃない。一つ言えば、勇者は息の根を止めてほしいわね。今回の勇者に関しては、馬鹿女神たちに巻き込まれたとはいえ、色々問題が多い事をしたから排除しておいてほしいのよ。綾乃って子は別だけどね』
確かに毒とかなんとか言って、虐殺してたみたいだもんな。
『それだけじゃないわ。あの勇者たちはステータスもいじっているから、さすがに捨て置けないのよ。あなたが殺せないなら、何かしらの道具をこちらで用意するけどどうする?』
チビ神がいじったステータスを、すいとったりできないのか?
『私が神とは言ってもそこまで万能じゃないのよ。ステータスやスキルは与えるのは簡単なんだけど、一度覚えた物や得た物を奪い取るのは、無理とは言わないけど……割に合わないのよ。それなら殺してから奪った方が、数倍もコストパフォーマンスがいいからね』
ふ~~ん、色々あるんだな。そういえば、勇者を倒した人間にある程度スキル? が引き継がれるんだっけ?
『スキルというよりは……なんていうんだろうね? あなたの妻たちに勇者を殺させれば、あいつらに付与された【????】のスキルを奪う事ができるって事ね! ただ殺させるだけってことはないから、安心して。もしそれでも嫌なら……』
そこは大丈夫だ。欲しい人にあげるって話になってるから、勇者たちを殺すのに何のためらいもない。むしろ、俺が殺されそうになったのに、生きてることに憤りを感じている妻もいるからな。あいつらの処刑はいつでもいいのか?
『いつでもいいけど、可能なら早くしてもらいたいわね。あの馬鹿女神共は、自分たちが悪いのにいつまでも殺さないで、牢屋に入れておくなってグチグチうるさいのよ。だから早く仕事をしてほしかったの』
あいつらを呼び出した、女神共か。チビ神がこれだけ嫌がってるって事は、相当なんだろうな。神同士なのに世知辛いと言っていいのだろうか? 本当に面倒くさいんだな。こいつ自身も俺にとっては、相当面倒くさい奴なんだけどな……
『あなた! 聞こえてるわよ! いえ違うわね、わざと聞こえるように、私に言ってるんでしょ! もぅ信じらんない! 勇者を殺す事は、問題も無さそうだから後は任せたわよ! 早く殺しちゃって!』
おっと、言うこと言ったら消えちまったな。すっかり忘れてたけど、妻たちに勇者のスキルを継承させるって話してたんだよな。誰に継承させるか? ちょっとピーチの所に行って相談するか? 確か今は学校に行ってるんだったっけな?
「よし、三人ともピーチに会いに街の中央に行くよ!」
「「「は~い」」」
返事をするとジャンケンをし始めた。なぜだ? しばらくあいこが続いたと思ったら、イリアが勝ったようだ。小さな声で「肩車」と一言。次に勝ったネルが「右腕」、最後のシェリルが「左腕」と役割を決めたようだ。
「「「と言う事でご主人様、私が(肩車)(右腕)(左腕)ね!」」」
そういう事ね、普通に考えて十歳くらいの娘たちを、肩車と両腕で抱いていたらまず動けんよな。それでも苦無く動けちゃう自分がいるので、駄目って強く言えないんだよな。可愛い妻たちがいけないんだ!
三人をそれぞれの場所にセットしてから、街の中央に向かって歩いていく。俺の左右にはクロとギン、その上にコウとソウが乗っていて、スライムたちは何が楽しいのか、俺の後ろに一列に並んでついてきている。おばちゃんやおじちゃんたちに、微笑ましい顔で見られながら進んでいく。若干恥ずかしいな。
学校に着いたのでピーチを呼んでもらうと、ちょうど授業の時間じゃなかったようですぐに表れた。
「ご主人様どうなさいました?」
「あぁ、帝国でとらえた三人の勇者いただろ? そいつらをそろそろどうにかしてくれって、チビ神にせっつかれてね。誰に勇者のスキルを引き継いでもらおうか悩んでたんだ。参考にしたいからピーチの意見聞かせてくれ」
「あれ? ご主人様に伝えてないはずは……? シェリル、ネル、イリア、前に伝えるように言ったの覚えてますか? 失敗しましたね。眠そうだったから、覚えてないみたいですね。
てっきりご主人様が私たちに殺させるのが嫌で、放置させているのかと思っていました。私たちが決めたものでよければ、すでに誰に力を授けるか決まっていますが、聞かれますか?」
「お? みんなで決めたのがあるんだ? 誰にやらせるつもりだったんだ?」
「私たちとしてはご主人様といる時間の長い、この三人にスキルを継承させようと思っていましたが、ご主人様が殺させたくないというのであれば、違うメンバーにしますが、どうなさいますか?」
「三人はどう思ってるんだ? 歳を考えるとどうかと思うけど、三人が自分の意志で決めるのであれば、かまわないんだが、そこらへんどうなんだ?」
三人は頭にハテナマークを浮かばして、俺たちの顔を覗き込んでいた。
「三人とも、ご主人様を殺そうとした勇者は、覚えていますね? あの勇者の処刑をしなくてはいけないのですが、勇者を殺すと勇者の持っていた一部のスキルが継承できるのです。
で、今回の勇者は、タンク・魔法・斥候に特化したスキルを継承できることが確認されているので、あなたたち三人に継承してもらおうと思っているのですが、殺しは嫌ですか?」
「ご主人様を殺そうとした人たち?」
「そうですよネル、そいつを殺すことによって、ネルたちの能力が上がるらしいのです。だから、ご主人様の近くにいる三人に継承してもらいたいと、私たちは考えているんです。どうですか?」
「スキルが継承できなくても、ご主人様を殺そうとした奴らなんかぶっ殺すのです!」
「シェリル! 言葉遣いが悪いですよ!」
「っ! ごめんなさい。私が継承していいなら私が処刑する!」
シェリルの言葉に続いて、イリアもネルも同意見の様だ。
「では、シェリルがタンクの勇者、イリアが魔法使いの勇者、ネルが斥候の勇者です。いいですね?」
色々思う事はあるが、妻たちみんなで決めて三人が了承したので、俺は口を挟まないようにしよう。でも、俺のために殺させるんだ、罪位は背負わせてくれよな。命の軽い世界でこんな考えも、バカバカしいかもしれないけどな。そのまま、勇者たちの監禁されている場所へ五人で向かう。
処刑される事を悟った勇者たちは、罵詈雑言を飛ばしてくる。
「色々言うのは自由だけど、俺を殺そうとしたのは事実だろ? 殺されてもしょうがないよな」
「クソが! てめえさえいなければ、俺はこんな所に来ることもなかったんだ! てめえが死ね!」
「お前は、こんな子供に俺たちを殺させようとして、恥ずかしくないのか?」
「どの口が言うんだ? この子たちより年下の子を洗脳して、俺を暗殺させようとしていたくせによく言うな。運がなかったと思ってくれ、俺もここに強制的に連れてこられたくちだからな。こっち側に召喚されなかったことを呪ってから死ね! 俺の事をいくら呪ってもいいから、俺たちの糧になってくれや」
俺のセリフに合わせて死刑が執行された。三幼女は何のためらいもなく、殺してしまうもんなんだな。
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