392話 午後の予定が決まった!
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綾乃が落ち着くには一時間ほどかかった。俺たちはその間、ワイワイと一狩りに行っていた。楽しそうな声を聞かせていれば、早く復活するかなと思って、年少組に提案してゲームを始めたのだ。
一時間ほどして落ち着いて出てきたのは、瞼をはらせた綾乃だったが、「私も早くゲームに参加したい! みんな待っててね!」ともらったポータブルゲーム機を持って、食堂に駆け込んでいった。
おぃおぃ、自分の部屋にこもるんじゃなくて、瞼をはらせた状態で食堂に行くのか? もしかして、食事も時間になったら食べれるからって、食堂に引きこもるんじゃないだろうな?
「元気になったっぽいな。自分の部屋じゃなくて、食堂に居座りを前提とした行動がすごい……戻って来たな」
「えっと、シュウ君だったよね? 充電器がないのと、充電器をさすコンセントが、食堂になかったんですがどうすればいいんですか?」
「説明も聞かずにいくからそうなるんだよ。そのゲーム機は一種の魔道具になってるから近くにいる人や、空中から魔力を吸収して、ゲーム機のエネルギーに変えてくれるすごい物なんだぞ! それだけでずっと起動はさせられないから、自分で意識的に魔力を流せば充電してくれるぞ」
「なにそれ? すごい! みんなもこんなに凄い物くれてありがとね! お姉ちゃん頑張って、みんなに追いつくから!」
嵐のように戻ってきて嵐のように帰っていったな。
「さて、俺らももどろっか」
年少組がゲームをしながら返事をしている。ゲームしながら戻るつもりか?
「こらこら、歩きながらのゲームはダメだぞ。区切りがつくか一時中断してからの移動をしなさい」
全員が「は~~い」と返事をして動きを止めた。全員が区切りつくまで一狩り続けるようだ。十分ほどでクエストが終わったみたいだな。それから綾乃が向かった食堂へ俺たちも入っていく。
食堂の中では綾乃が『うおー』とか『おりゃー』等と声をあげて体を傾けながら、ゲームに集中している。あれだな、レースゲームの時に体を傾けて『曲がれ!』とかいうタイプだろうな。
元気になっているみたいだからいいか。しばらくはゲームに集中しそうだな。いろいろあるから訓練やトレーニングは落ち着くまでは控えよう。
「さて、する事がなくなったな。何かすることないかな?」
「ご主人様がしなきゃいけない事って、基本無いですからね。してみたい事をしてみたらどうですか?」
そんな風に言われて頭をひねってみる。忙しい時は休みたいと思うのに、することが無くなるとすることを探してしまうのはなぜだろう?
日本人気質というやつなのだろうか? この世界に来た時には、何もしなくてもDPを稼げるようになったら、一日中引きこもってゲームや本を読んだりしてやる! と思ってたのに、今は何かすることを探している。
何をしたいか……か、何かモノ作りでもしたいところだな。
「何か作ってみたいけど、何かあるかな? 武器防具や薬品とかじゃなくて、食べ物や調味料とかそっち系をふとやってみたくなった!」
「そうですね。今試作が始まっているのが、お砂糖ですかね。はちみつがあるので、最近はあまり重要視されていなかったのですが、お菓子で砂糖がないと不便なので、ブラウニーたちが一生懸命お菓子にあう砂糖を、色々試作しています。以前使っていた和三盆も、色々試して作っているそうですよ?」
「よし! 和三盆を作ろう! 砂糖を作っているところってどこ? サトウキビを作ってるところは?」
サトウキビを作っているところは、どうやらダンジョン農園のようで、その近くに砂糖工房があるらしい。俺が行けば邪魔になるのだが、俺がそんなことを考える事もなく、一度は作ってみたいと思った和三盆を作る機会をゲットしたので思う存分楽しもう!
しなきゃいけないのは、和三盆を精製するための知識をつけないといけないので、精製する方法の記載されている本をDPで召喚する。俺の行動を見守っていた妻たちは、俺が何かを始めると理解したようで、色々な準備を始めている。シルキーたちにも声をかけているようだった。
準備は任せておけばいいから、俺は本を読み進めよう。
初めに、サトウキビから絞り出した砂糖のエキスを火にかけて、苦味であるアクを取り除く。さらに煮詰めて粘りを出してから、瓶に移して冷やす。こうしてできたのが白下糖で、蜜が含まれているから茶色をしている。
その白下糖から蜜を抜き、木綿の布に包んで重しをつけ蜜を抜く「押し」、水分を加えながら練る「研ぎ」。これを返していくと、蜜が抜けて白くなるようだ。
「ほうほう、和三盆ってこうやって作られてたんだな。和三盆を作っている最中に搾る蜜も甘いんじゃなかったっけ? 何かに使えないかな? そこらへんはシルキーたちに任せれば、何かに使ってくれるだろう。今は誰が和三盆作ってるんだろうな?」
何気なくつぶやいていた俺の疑問に、現れたスカーレットが答えてくれた。
「ご主人様、今砂糖の精製をしているのは、ダンジョン農園の中で働いている十組程の家族ですね」
「ん? ダンジョン農園内に人が住んでるのか? 初めて聞いた気がするな……」
「奴隷の家族で、ご主人様が関与されていない時期に買ってきた家族ですね。小さい子供もいるので、子守り用の魔獣として、キツネを使役しています。
賢い魔獣で子供が好きなようで、すごい助かっているようです。なので、最近では子供の集まる場所には、だいたい配置されていますね。今は大丈夫ですが、暴漢対策のためにLvは、ダンジョンの中であげています」
知らない所で魔獣が頑張っているんだな。まるでペット兼護衛だな。可愛いうえに守ってもらえるとか、最高だよな。キツネの尻尾とか、モフモフ度合いとか最高だね。しっかりブラッシングしてあげているのだろうか? 魔道具のブラシとか作って、何か艶とか出せるようにできるかな?
話がそれた! 本来の目的地に向かうか! いざダンジョン農場へ!
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