348話 ゴーストタウン攻防戦最終ラウンド
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「ムカーッ!! 死ねやクソが!!」
「お前が死ねよ! DTが!」
低次元の醜い言い争いの末に始まった、ゴーストタウン最終戦!
準備する時間があったのは、ノーライフキングも一緒だった。索敵を発動していたのに、現れるまで全くその存在に気付けなかったのだ。周囲からスケルトンジェネラルのさらに上、スケルトンキングが十匹にスカルドッグが十匹も現れたのだ。
死霊魔法で魔物を使役しているのか? スケルトンキングはAランク上位の実力を持つ魔物であり、スカルドッグはBランク上位の実力があるらしい。
俺が作ったダンジョンINダンジョンの亜人と獣系の魔物の混成パーティーの悪夢を思い出すな。
俺はAランク上位の魔物を召喚することはできない。ただ召喚した後にLvを上げて強くする事は可能だ。それとは別に魔法だけで、純粋にそれを作り出す力量に驚愕せざるを得ない。
レギオンはスキルのようなもので生み出すのに対して、魔法で生み出すノーライフキングは同じように見えて違うのだ。スキルによって生み出すことができる強さは、レギオン本人には関係がないのに対し、ノーライフキングは強さに応じて生み出せる魔物の強さが変わるのだ。かつてSランクの魔物を死霊魔法で生み出した個体もいたらしい。
時間をかければAランク上位を生み出せるこの個体は能力的には高いだろう。本体自体も強いが付属品となる魔物も強ければ討伐ランクは高くなるのだ。今回はかなり上位の個体とみていいのかな? だけどSランクを生み出せるわけではなさそうなので、俺たちでも対抗できるだろう。
「ストッパー準備! 近づいてくるスカルドッグをけん制して! 強さから考えれば、それなりのダメージになるはずだ。前衛はスケルトンキングを足止めシュリと俺、リンドはノーライフキングの足止め、行くぞ!」
役割を決めて戦闘が始まる。
先攻はもちろん俺達側だ。ストッパーを構えた年少組の五人がスカルドッグに向けて撃っている。さすがにかわすことはできずヒットした。
体が大きくはじかれ十メートル以上は吹っ飛んだだろうか? ノックバック効果は十分、ダメージは……聖銀によるダメージがそれなりに入っているようだ。神共はどうやって銃器規制かけたんだかな?
ストッパーの活躍によりスカルドッグは、うかつに攻め込めずに近付いたり離れたりしている。その間にスケルトンキングを攻めてもらわないとな。俺はそれまでノーライフキングを押しとどめておかないとな。ちなみに今の俺の装備は、シュリと同じカイトシールドとソードメイスを身に着けている。
まずはシュリの一撃がノーライフキングを襲う。目の前に骨の壁が現れ受け止められてしまう。
距離をとったノーライフキングは、ランス系の魔法を使ってきた。ブーストがかかっており、威力が高くなっているようだ。
火・氷・土・雷の4種類を同時に使用し、少し離れた場所からシュリをいろんな角度からの攻撃をしている。シュリは冷静に対魔結界を使用して全部はじいた。
「なんだと? 防御策に対抗するための並列詠唱なのに、それになんだその魔法は? 四属性が同じようにはじかれるなんて……これならどうだ!【フレイムストーム】」
範囲魔法のファイアストームの上位版、確か火魔法Lv九辺りで覚えるんじゃなかったかな? しかもブーストがかかり、範囲が圧縮されている強化版のフレイムストームを放ったが、シュリは涼しい顔で耐えていた。
実際にはフレイムストームで温められた空気は、それなりに熱いのだが、そこは後衛陣が結界の中の空間を冷やしているようだ、どうやってるんだ?
「馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な!」
「同じこと三回も言うな! ハゲ!」
「うっさい! 黙れDTの敵! それに俺はハゲてな……いや、今は骨だからハゲとか関係ないし!」
「毛はないからハゲでいいんだよ!」
「クソッ! ふーふー、言い争っても仕方がない。それにしてもなぜ防げるんだ? 魔法が得意な俺の天敵とでもいうのか!」
え! そうなの? もしかして、まったく接近戦ができないタイプなのか? だから死霊魔法で作った魔物は前衛ばかりなのか?
「お前って魔法以外ポンコツ? あっ! DTだったら……すまん何でもない!」
「そこまで言ったら最後まで言えよ! クソー! それならこれならどうだ!」
杖を持っていない手に黒く光も吸い込むような剣状の物が現れた。それをシュリに向かって振り下ろす! 対魔結界は破られてしまったが、カイトシールドで受け止めると、簡単にはじくことができたようだ。
「ば、か、なっ!」
「そっか、本当に魔法と……以外はポンコツなんだな。これならわざわざ、昨日準備する必要もなかったな。それにせっかく準備した武器も過剰すぎたっぽいな」
「私がノーライフキングになった際にゲットしたユニークスキル【ダークマターソード】はじかれるなんて……アダマンタイトですら傷つけることができる、最強の攻撃が」
アダマンタイトに傷をつけることができるって、聖銀の効果ではじけたってことか? もし聖銀の粉末を混ぜたアダマンタイトをコーティングしてなかったら、今頃シュリの腕は切られてたかもしれないってことか? 昨日準備しておいてよかった。何もない風を装い話を続ける。
「こいつをいったん黙らせよう。シュリ、リンド行くよ!」
「攻撃が通じなくとも私には魔法は効かない! その上ノーライフキングはアストラル系に近い魔物だから物理耐性にも強い! したがってお前の得意とする付与の攻撃も効きにk、プギャーッ……何でこんなに痛いんだ?」
本当に準備していてよかった。、もし準備してなかったら、ダメージを食らわないにしても倒すのがかなり大変だったはずだ。
「答え合わせをしようか、ノーライフキングで物理耐性が高く、生前の能力を引き継いで魔法耐性も高いのに、なぜダメージが与えられるかといえば、物理でも魔法でもない攻撃がお前にダメージを与えているからだよ!」
「っ?? そんな攻撃あるわけないだろう! アンデッドの弱点である光魔法でも、ほとんどダメージを負わないのにダメージが通るはずがない!」
「残念、俺らの攻撃は光魔法付与ではなく、聖属性の物質による攻撃ということだよ」
「????」
「わからないのも無理はないか。魔法に聖属性なんてないんだよ、だから聖銀の持っている特殊性によってダメージを与えているはずだ。ということで実験をしてやろう!」
素早くノーライフキングの懐に入り殴打する。もちろん【聖拳】を発動してからだ。
「うがっ」
「これで実証されたな。聖属性は魔法でも物理でもないからその属性攻撃は防げないってことだな。便利だけど、お前のような相手のためにあるようなスキルだな!」
それにしてもこいつと戦う前にこの武器とスキルが手に入ったのは運がいいな……ん? 運がいい? あっ!これってもしかして、運三セットのおかげじゃね? ひっさびさに活躍したスキルだ、あまり出番がなかったから忘れかけてたよ!
「向こうの掃除ももうすぐ終わるみたいだし、ここからは話し合いと行きましょうか」
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