345話 ゴーストタウン攻防戦5ラウンド
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部屋の中心には地面に足の埋まっているスカルレギオンがいた。悲惨な光景ではあるが、次の瞬間に足を引き抜き地面に上ってきた。声帯もなければ肺もないのにどうやってか、怒号を上げている。
「ゾンビ系はともかく、スケルトン系ってどうやって声出してるんだろうな」
素朴な疑問を口にすると、
「ご主人様! そんなことを考えるのは後ですよ! みんな行きますよ、シュリ! あいつの相手は任せますからね!」
ピーチに怒られてしまった。さっき油断しないって言ったのに緊張感のない奴だな俺って。
気を引き締めてスカルレギオンを見ながら走る。途中でドンドン沸いてくる雑魚を無視して突っ走る。
先制の一撃はシュリのソードメイスによる一撃だ。ゾンビ系もそうなのだがアンデッド系には、刃物より鈍器の方が有効らしくシュリは装備を交換していた。
俺も棍の長いタイプに変えようかと思ったが、俺の大薙刀は切り裂くというより押し切るタイプなので、クレイモアのような大剣と同じ武器の性質なので、武器の変更はしていない。
横殴りのシュリの攻撃を難なくはじき、隙ができたメイスを持っている側の脇腹を狙い、スカルレギオンの質の高そうな剣。見た感じカットラスを大きくしたような剣を振りぬこうとしていた。
シュリは体をひねり盾できっちりと受け止めるが、体勢が不安定であったためか、堪え切れずに地面を削りながらはじかれた。
追撃をかけようとしていた本体の死角から突っ込んできた、リンドのウォーハンマーが当たる寸前に気配を察したのか、死角を確認しないままその場所から離脱されて、リンドはキレイに空振りをした。
体勢を立て直したシュリが離脱した本体に向かって、シールドチャージで突っ込んでいく。それに気付いた本体も同じくシールドチャージで対抗してきた。
ステータスの差もあり、シュリは予想通り押し返されてしまったが体勢は崩れていない。そのままチェインを発動して強引に引っ張りながら盾に押し当てていく。
止まったところに今度は、ミリーの棍棒による連突きが放たれた。身動きがとり辛い状況にもかかわらず、半分は交わして見せ残りのほとんどは空いている剣ではじかれた。まともに当たったのはニ発というところだろうか?
シュリが距離をとろうと下がると、そのまま強引に距離を縮めてきた本体は、剣をしたから一気に切り上げた。
受け止めたシュリにダメージはないが、体が浮き上がってしまう。本体はそのまま後衛に突っ込もうとしていたため、リンドが慌てて間に入るが同じように打ち上げられてしまう。
俺は雷属性を全身に付与してスピード重視で進攻を止めるために、本体と同じように一気に切り上げる攻撃をした。回避は間に合わないと判断した本体は盾で受け止めた。俺の思惑通り体が浮き上がり進攻を止めることができた。
空中に浮かんでいる本体を、シュリとリンドがチェインで強引に引き寄せて固定させた。それに合わせて後衛陣から魔法と矢が飛んできている。火魔法と聖銀の矢が、本体に突き刺さり悲鳴をあげた。
体は骨だけど焼かれ、矢は頭に突き刺さったが魔物として存在を消滅させることはできなかった。スケルトン系の弱点は頭ではなく、骨のどこかに埋まっている魔石なので、頭が取れても問題なく動き続けるのだ。だけど、ダメージを食らわないわけではないので、有効打にはなっているようだ。
急にチェインで固定していたニ人の足が滑り出し、本体に引き寄せられていく。シュリとリンドが使ったチェインを逆に利用して引き寄せていたのだ。
慌ててニ人がチェインを解除するが、体勢を崩してしまったリンドへ本体が足を進めていた。俺は魔法が飛んできていたので、距離をとったのがあだとなり間に合わない。無意識のうちにピースを取り出し撃っていた。
ダメージは全くなかったが、入ってた弾がアダマンタイト製の重く硬い弾丸であったため動きを止めさせることに成功した。秒間ニ十発の秒速ニニ〇〇メートルの速度で当たれば嫌でも止まるか。骨なので半分以上は当たらずに、通り抜けてるけどな。
「リンド離れて!」
リンドに声をかけながら俺は、弾をリロードした。ダメージを与えられなくても、止められることが分かったのだ、使わない手はないだろう。
本体は憎々しく俺の方を見ている。スケルトン系の目ってどこにあるんだろうな?なんて考えていたら後ろから蹴られてしまった。俺の心読むのは止めてくださいピーチさん!
今の所攻め切れていない以上何か手立てを考えないといけないな。どうつながってるか知らないが、腕の一本や足の一本をとることができれば、こっちが圧倒的に有利になるはずだ。
本体と対峙しているメンバーで、ツーマンセルを組みお互いをフォローしあえる体制を整えた。一人が攻撃する時はもう一人が防御するようにしたのだ。相手の方が明らかに強いのだから、こちらは連携で何とかするしかない。必然とそういう方法をとらざるを得ないよね。
ここからは持久戦だった。まわりに湧いてくる雑魚は本体と戦っているメンバー以外に排除してもらい、余裕があれば本体の攻撃にも参加してもらっている。
戦い始めてニ時間が経った頃、リリーとチェルシーが攻めていた時の事だ。急に本体の動きが変わった。白かった本体の骨が赤く染まり、動きが早くなったのだ!
元から俺たちより早く動いていた本体が、さらに加速をしたのだ。予想外の負傷をしてしまっていた。リリーは攻撃を盾で受け止めたが、左腕が攻撃の威力を受けきれずに骨折してしまったし、チェルシーは左太ももと左肩を深く切られてしまっていた。
その光景を見ていた俺は、頭に血が上ってしまい全魔力を食いつぶす勢いで、肉体活性と体の動きを早くする雷付与を行って突貫していた。
一刻もリリーとチェルシーから本体を引き離さなくてはいけないと思い、武器を振るっていた。
初めは上段からの振り下ろしだったか? 勢いと体重の乗った攻撃だったが本体は盾で受け止めていた。今までとは違い、若干だが体勢が崩れたのだ。
そのタイミングを逃さないように、俺の攻撃が続く。時には武器の重さと遠心力を使い、大ぶりで重い一撃を放ったり、剣の間合いの内側に入りゼロ距離で柄で足を払ったり、火付与を行った拳でそのまま殴りつけたりと手を止めずに攻撃し続けた。
本体にもダメージをかなり与えたが、俺の魔力が先に尽きてしまいそこで俺の意識が途切れた。
目が覚めて俺が生きているという事は、勝ったのだろう。俺の意識が飛んだ後は聞いた話だが、それほど時間がかからずに戦闘は終わったらしい。
俺が与えたダメージで本体は、ほぼ瀕死となっていた。そこへシェリルが突っ込んできて、思いっ切り殴りつけたら倒れてドロップ品に変わったようだ。思いっ切り殴ったといっても浸透勁を使っており、骨にも効果があったためダメージを与えられたようだ。
俺が気絶している間に、リリーとチェルシーの治療は済んでおり傷痕は残らなかったようだ。よかったよかった。
それにしても、ゲームによくあるHPの残りが少なくなると狂暴化するあれが、現実にあるとはな……ったくガン〇ムじゃねえんだから、赤くなって早くなるとかやめてほしいわ! トラ〇ザムじゃあるまいし!
どうせなら最初っから赤い状態で早く動けよ! 俺は赤〇彗星派なんだよ! 親父の世代のアニメで親父のコレクションの中にあったやつだ。
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