328話 新たな兵器
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鬼人族が探索を初めて十日が経った。雲の調査をしてから一週間が経っている。
謎の雲の方は初めの三日間は、鬼人族が起きた状態で監視をしてもらっているが、まったく動いていなかった。とどまっているから何かがあるわけでもなかった。
ただ後半の寝るように指示した四日間のうち三日は雲が移動していたのだ。雲が動くか動かないかの基準はわからないが、誰も見てないことが動く条件ではないかと監視室で結論付けていた。
残りの八組は順調に街を探索していたが、今の所生きた人も死体も見つかっていない。一つの街に生きた人間や死体が一つもない時点で異常なのだが、現状九つの街を調べて同じ状況なのだ。ただただ不気味な印象しかない。人間はいないが魔物はいるようで何度か戦闘をしているようだ。
今まで見つかった九つの街の半数四つには、巨大な球状の物体にに押しつぶされたようなクレーターができていた。街の中心の領主の館のあったと思われる場所だ。
現状分かった事は、
一、雲に近付くと体の動きが何かによって阻害される。
ニ、雲の中心から約五キロメートル離れた所に幻影結界(仮)がはられている。
三、上空の雲の中心にクリスタル状の何かと、その周囲を球状の何かが回っている。
四、雲は誰かが見ていると移動しないが、誰も見ていないと移動する。(仮定)
五、街はどこも同じ状態で、上から何かに押しつぶされている。
六、街の瓦礫が少ないのは何かの力によって、圧縮されている可能性がある。
七、見つかった半数の街の中心地に、大きな球状の何かに押し固められたクレーターがある。
うん、まったく意味が分からん! 監視室のスプリガンも妻たちも専属ブラウニーたちも意味が分からない、と首をかしげるしかできなかった。
一週間雲を観察して、現状ではあの雲は動きを阻害するだけで他に体に影響のあることはされていないので、ひとまず放置でいいだろう。
もし仮定したように雲が街を潰していたのなら、何かしらの原因がある可能性があるので、鬼人たちには一応見える方向だけは報告してもらうように伝えている。
問題は街があんな状況になった事より、生きた人間も死体も一切ない事だろう。生きている人間はどこに行ったのか、死体はどこに片付けられたのか? 魔物に食べられたわけでもないだろうし、スライムに食べられたわけでもないはずだ。
魔物なら食い散らかした破片があるだろうし、スライムなら衣服は溶かせない種類が多いはずだからな。
「鬼人族には、しばらく街を探してもらうことは継続するけど、今の所怪しいのは雲の中のあのクリスタルと4つの球体だよな。銃を使ってだったら打ち抜ける距離だと思うけど、当たるかは撃ってみないとわからない、どのくらいの距離離れてるか分からないし」
「そういえばシュウ、あの雲の中心にあるクリスタルってダンジョンコアに似てない?」
俺の中でモヤモヤしていたものが解決される一言がカエデの口から出た。
「ダンジョンコア? 最近見てないから思い出せないんだけど、なんか見覚えがあるって思ったのはそのせいかな? まぁ召喚してみればわかるか、ポチっとな、ん~確かに似てるけど何か違う? 雲の方のクリスタルは何か縦長なんだよな。でも似てることは似ているな。周りの球体は意味不明だけどな」
「ご主人様、ダンジョンコアってダンジョンを作るために必要なやつだよね?」
「ん~シェリルの認識も間違ってないだけど、厳密にいうとダンジョンを起動するためのキーって感じかな」
「そうなんだ! そのダンジョンのキーになってるコアがあそこにあるってことは、あの雲はダンジョンなの?」
「ん!? もしあれがコアなら雲はダンジョンになるのか? でもそうだとすると、動くダンジョン? でもダンジョンコアって設置したのを動かすと、ダンジョンが一時停止するんだよな。どうやって動いてるんだろ?」
「シュウ、私がダンジョンコアに似ているって言っておいてあれだけど、まだダンジョンって決まったわけじゃないわよ」
「もしダンジョンコアなら、あそこまで行ければ奪取できるんだけどな。ワイバーンに乗ってあそこまで行っても平気なのだろうか?」
「「「「「ダメ!」」」」」
いろんな方向から否定の声が飛んできた。でも俺、今ならみんなが何考えてダメって言ったかわかる! ここであいまいにしておくと絶対に自分で行くから、ここは言っておかないとってことで俺にダメといったのだ。だって、ここであいまいな返事だったら、なんやかんやいっていくつもりだったからな!
「まぁ俺がいけないんだったら、あのクリスタル? ダンジョンコア? は壊すしかないよな。ってことで、ちょっとアンチマテリアルライフルの改造をしてくる!」
何人か俺を止めようとしていたが、P90以外の銃もそろそろいじってみたかったから、誰かが何か言う前に工房へ走って行った。
しばらくしたら誰かついてくるだろっ! っておい! 急に体が動かなくなった、どういうことだと思って後ろを振り向くと、シュリから鎖のようなものが伸びていた。これってチェインのスキルだよな、俺の進行を止めるためにスキルを発動させていたようだ。
「ご主人様、改造してはいけないとは言いませんが、少し落ち着いて行動してください!」
シュリに止められて両足にシェリルとネル、背中にイリア両腕をメルフィとサーシャがくっついている。何だこの状況? 年少組がくっついてれば無茶をしないっていうピーチあたりの判断か?
「銃を改造するのはわかりました。付き添いを付けますので少々お待ちください」
ピーチはそう言うと、魔道具作りになるだろうとつぶやくと、アリスとライムが今回の付き添いに選ばれていた。
「ニ人ともご主人様が暴走しないように注意してくださいね。ご主人様、何かあったら連絡を入れますのでよろしくお願いしますね」
よくわからないけど念を押された感じだ。よし許可も出たしアンチマテリアルライフルの改造を思いっきりするか!
ん~、ヘカートⅡも捨てがたいけど、フォルム的にはOSV-96が好きだからそっちにしよう。とりあえずニ丁召喚する。片方は分解してパーツを作るための見本になってもらう用、もう片方は組み立て方を練習する道具として使う予定だ。
分解して同じ物を作る単調なお仕事である。硬度と粘性を高めるためにミスリル合金をメインに使って、アダマンコーティング仕上げである。分解するのは説明書もあったので予想以上に簡単にできたが、組み立ては五倍くらいの時間がかかってしまった。
今回OSVカスタムは、ピースと同じように撃ち出す銃弾に付与する風魔法。衝撃を抑えるために銃弾を打ち出す部分に、土魔法で衝撃吸収ができるようにカスタムしている。
衝撃吸収が土魔法だったのはよくわからなかったが、そういうものだと思い付与している。今日はもう夕食の時間を過ぎていてさっきからせっつかれているので、試射は明日だな。
今日の夕飯何かな?
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