279話 アンデッド発見
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ヴローツマインに向かうメンバーにリンドも同行することになった。俺の妻になってディストピアに移住したとはいえ、何百年もギルドマスターを務めていただけあり、顔が広いし融通がきくから助かる。
俺がヴローツマインの実質的な支配者であったとしても、それを知っているのは上層部でもごく一部だからな。妻の威光を借りるのはあれだけど、つかえるものは使うべきだよな、リンドたのむで!
今は地下通路(俺の身内専用)の中を走っている。何をしているかと言えば、最近ブルーレイで販売開始になったゲームから始まったデスゲームの続編の映画を二〇〇型の液晶テレビに映し出して、サウンドも特製の物を使ってみんなでソファーや床の上に座ってみている。
俺がソファーの中心で俺の股の間を誰が座るかでもめたがジャンケンでキリエが勝ち取って、俺の股の間に座って俺に体重を預けている。他のメンバーは思い思いに俺の横だったり、後ろだったり足下だったりに座っている。
映画が終わると、あのようなゲームをしてみたいと騒ぎ出すが今の技術では厳しいと何とか言いくるめて落ち着かせた。魔法とクリエイトゴーレム等を使えば、もしかしたらできるかもしれないけど、レトロなゲームも悪くないからまずはそっちからだ。
ディストピアから出てくる際に聖国の騎士奴隷たちを買った、鉱山関係の偉い人に連絡を取って出てきたので、聖国の騎士たちとはスムーズに話ができるようになったが、アンデッドのいる場所があることは聞いているが正確な場所を知っている者が全くいなかったのだ。
期待外れもいいとこだと思ったが、念のため神官系の者たちにも話を聞くとすぐにどこにあるか判明した。なぜかと思ったら、アンデッド特効の魔法がある人間にしか教えていないとの事だった。その魔法を使えるのは基本的に神官系の者たちだけだったようだ。
場所的には、聖都から西の方に進んだ近くに街のない森の中だとの事だった。その森は壁でおおわれており、教皇の許可なしで入ってはいけない場所と言う事で、いろんな噂はあったが正確な情報を持っている者がおらず、近付けば帰ってこれない場所であったためアンタッチャブルと呼ばれている地域だったようだ。
話を総合するとダンジョンではなく、フィールドタイプの魔物の沸く場所のようだ。アンデッドの中にはレイスのように壁を通り抜けるタイプの魔物も多いので、休憩をどうしようか悩みどころである。
森であるため木からとか地面からの奇襲があったらメンドクサイ事になるだろな。対策ができるまではさすがに行くのは止めておいた方がいいかな?
せっかく情報が手に入ったのに残念だ。神官たちも行く時は十人以上で行って夜も交代で番に当たるとの事だった。神官だから便利な魔法があるのかと思ったら、数で補っているとは。
結界の調整をすれば何とかなりそうな気はするが、確証がないのにアンデッドの森に行くわけにはいかないよな。きちんと対策ができたら行ってみる事にしよう、帰ったら対策開発を始めるのはいいけど他には何しようかな?
こっちに来た時は、もっとのんびりしていた気がするけど、最近は暇があるとなんか落ち着かないんだよな……日本人の性なのかな?
お腹がすいたのでヴローツマインの拠点に戻って、神の雫から色々と食事を運んでもらった。試作品も何個かあるようで評価してほしいとのことだった。
試作品はディストピアから取り寄せた、牛乳を使ったチーズや肉ダンジョンでドロップされた肉を使った保存食の様なものだった。長持ちする食料の開発だろうか?
チーズは、パルミジャーノレッジャーノチーズみたいなものだった。地球でもイタリア、パルマの限られた地域でしか生産されていない、チーズの王様とも呼ばれることのあるものだ。
特殊なのはこの地域でしか許されていない生産法にある。普通のチーズは一度殺菌してから乳酸菌を入れて発酵させるのに対し、パルミジャーノレッジャーノチーズは、牛乳を殺菌しないでもともと持っている乳酸菌を使って発酵させるのだ。
餌や育成法の決まった牛からとれた牛乳のみを使っていることを除けば他でも作れると思われるが、チーズを作る際に法律で殺菌をしなければならないと、決まっているため他の地域では生産不可能なのである。
伝統的なチーズであることから特例的に、殺菌をせずに生産することが許されているのがパルミジャーノレッジャーノチーズなのである。
まぁ今俺がいる世界でそんな法律はあるわけないので、シルキーやブラウニーたちが試行錯誤して作ったのだろう。それにしても熟成加速部屋があるとはいえ、ここまでの味を出すのはさすがとしか言えないだろう。
他にも牛乳を美味しくするために餌にもこだわっているのだろう、チーズ自体の濃厚なうま味も鼻から抜ける重厚な香りも普段食べているチーズとは別次元の物だった。
肉の方は、見た感じ燻製肉かと思いきやこれも熟成に力を入れたものだった。うま味を増すための手法を取り入れた食材たちなのだろう。
次に出てきたのは生ハムだった。話を聞くとこれもパルマのクラテッロを模して作った生ハムとの事だ。
今回はやけにパルマを推すなって思ったら、満○青○レストランのDVDを見て、興味がわいたから作ってみたとの事だった。そういえば、初の海外ロケスペシャルで、この二つが取り上げられていたのを思い出した。
それにしても、あの番組から情報を得て本などから知識を探して、作成したにしてはクオリティーが高いな。ここら辺も何かの生産スキルが働いているのだろうか?
ただでさえ神の雫の料理は高級品で結構な値段がするのに、さらにこのチーズや生ハムを使った料理はもっと高額になるだろう。それでも酒のつまみとして、食べることは止められないであろうヴローツマインのドワーフって、本当に金持ちなんだな。
よく食べよく飲むドワーフだから一食の値段がすごいことになるのだ。フレデリクのお金の価値でいえば四人家族が一週間普通に過ごせる金額を一食の食事で使うのだから、馬鹿にならない金額だとわかるだろう。そんな飲み食いも、鍛冶仕事をしていない夕食に限るんだけどね。
それにしても美味かったな、パルミジャーノレッジャーノチーズモドキは使える料理が多いので、いくつかもらっていこうとしたら、完成品ではないので俺に渡すことはできない、とピシャリと言われてしまった。
完成品になったらすぐに持ってくるようにいっておく。今日はもう移動するのが面倒だったのでヴローツマインの家に泊まることにした。
ただ寝るまでにまだまだ時間があったので今日は、アニメをがっつり見る事にした。今回見るアニメは、ゲームのキャラクターのまま転移してしまったダークファンタジーだ。俺は密かにセカンドシーズンがやらないか期待しているんだけどね。
全部一気に見てしまった……二十四時を回ってしまっていた。明日の朝は寝坊しようと心に決めてみんなでベッドに入った。
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