266話 ドワーフの戦士たちをたきつけてみた
アクセスありがとうございます。
ハリアーとかいう男の話をよく聞くと、妻と生まれたばかりの子供を人質に取られているため逆らう事が出来なかったようだ。
あの集団の中で一番強かったのがハリアーなのだ。そのレベルは一五〇を超えていた。会う際に一番注意してたのは実はこいつだったのだが、一番無害だったな。いくら強くても人質を取られてたらどうにもならない事もあるか。
もちろん人質に取ったのは三男の男だとの事。え? 何がもちろんなの? と思ったが、三男はハリアーではなく自分主導で戦争が起こった事にしたかったそうだ。そのために人質を取ったらしい。
なんか聞いていてよくわからなくなる内容だった。俺はてっきり男爵が人質を取ってハリアーに戦争を起こさせるように、誘導するために三男を兵士としてつけたのだと思っていたのに、すぐに出鼻をくじかれた感じだ。もうね頭の痛くなるバカさ加減だな。
ハリアー自身はせっかく騎士団の中隊長クラスまで上り詰めて、大隊長になるための仕事を受けたと思えば、隣町のグレッグの刀がほしいから戦争をすると言い出したそうだ。その先鋒として自分が送り込まれた。ここまではまだよかったようだが、三男に家族を人質に取られて何かがすうっと体から抜けたそうだ。
その後は男爵や三男に怒りしか覚えなかったらしい。なんとなく言いたいことはわかった。とりあえず悪い人間ではないとカエデが判断したので、家族を助けたらグレッグに移住するように勧誘した。家族が助かるのならとすぐに承諾したよ。
となると三男を拷問にかけて情報を引き出すか。マップ先生を使えば問題なく探せるが、ポーズも必要なので拷問も必要かな? どうせなら憂さ晴らしのためにハリアー君に拷問させるのもいいかもしれないな。どこまで拷問に耐えるのかな~
簡単にゲロった。拷問が始まってものの数十秒で家族の居場所を吐いたのだ。あまりにもあっさりと吐いたので嘘じゃないかと思うほどだった。でもマップ先生で検索すると確かにハリアーの言った条件の人がそこにいるのだから間違いない。
でもね、ハリアーはそれを信じなかったから一時間ほど拷問を続けていたよ、それでも三男がそれ以外の場所を言わなかったから次第に本当だと思い始めて拷問は終わったね。
さて次に問題になるのはどうやって助けるかだよな。ハリアー君が街に戻るのはかなりまずいのだ。という事はこちらで助けたいところではあるが、囚われている母子を拉致する俺たちって、さらわれる本人たちからしたらどうしようもなく怖い存在だよな?
鬼人たちにはいかせられないしどうしようかな? 色々考えていると裾を引っ張られる感覚で我に返る。ネルが強い意志のこもった眼をして
「ご主人様、私たちが行けば問題ない」
さらったのが俺みたいな男なら不安にもあるかもしれないけど、三幼女のいる娘たちが連れに行けば、攫われたと思うより、助けられたって感じになるのだろうか? 少なくとも男が行くよりは大人しくついてきてくれる気がするな。
ハリアー君の奥さんと子供が囚われている場所は何の変哲もない一軒家だけど、その地下に監禁されているようだ。無駄に戦闘する必要がない事は助かるけど、どう連れ出すか悩んでたところでイリアの提案だ。
「ところでご主人様、ネルの案も悪くありませんが、街の外から穴を掘ってご家族の所までつなげれば、ハリアーさんを連れて行っても問題ないと思いますよ」
ピーチはネルの頭をなでながらそう助言してきた。
「そっか! 街の中に入らないといけないけど、わざわざ門から入る必要はないんだね。ピーチお姉ちゃん頭いいです!」
ネルが感心したように声を出していた。確かに街に入らなきゃとは思ってたけど門を通る必要なんて全くなかったんだよな。ちなみヴローツマイン・グレッグ・ミューズは地下から侵入するためには、五十メートル程掘り下げなくては街に侵入できないようになっている。
ディストピアに至っては、ダンジョン農園の事もあるため一キロメートル程掘らないと侵入できない。何せダンジョン化して外壁を固い岩に変更してあるのだ。魔法でダンジョンの壁に穴をあけるのはできなくないが、やるだけ時間の無駄になるだろう。俺でも穴開けて維持するのにはそれなりに苦労するのだ。
それにしてもお姉ちゃんって呼んでるのか? 他の娘達はなんて呼び合ってるんだろうな? さん付けや呼び捨てか?
おっといかんいかん、考えがそれてしまった。
「確かにピーチの言うとおりだな、ハリアーを連れていけるなら問題はすぐに解決できるだろう。おそらく大丈夫だとは思うけどハリアーが裏切った場合は、どうにかできるわけもないか。
一応、気を抜かないようにだけお願いね。後リンド、グリエルに戦争があるから、ヴローツマインから引っ張ってきた兵士に準備するように伝えて。各通路の出入り口は鬼人たちに引き継ぐようにってね」
「シュウ? なんでヴローツマインからの兵士なのじゃ?」
「え? ドワーフの作った刀が火種になってるからな。これがただ購入する注文するとかなら別にかまわないけど、明らかに刀を作ったドワーフを狙ってるんだよ?
それを伝えれば兵士たちも黙ってないでしょ? 別に俺たちだけで終わらせてもいいけど、今後舐められないようにすることを考えれば、ドワーフを中心に叩きのめしたほうがいいと思ったんだけどどうかな?」
リンドは好戦的な笑みを浮かべて、
「それは確かにそのとおりね、グリエルに伝言するとしよう。ドワーフの誇りを奪う行為に近い、こんなことを黙ってみているのかと」
普段は温厚で酒と美味いものがあれば基本的に他の事を気にしない質だが、作ったものをほめてもらうのは嬉しいがそれを囲い込んで独占される事には忌避を覚えているようだ。
老ドワーフたちは運営に携わってもらう見返りとして、専用の工房と火精霊の住んでいる炉を与えているのだ。どっちにも得があるから何も文句も言わないし、うまい酒に食い物もブラウニーたちが提供しているから色々協力もしてくれるのだ。
それに対して今回の事は、私利私欲のために戦争を起こして刀を作った者を抱え込もうとしているのだ!こういったタイプはドワーフが嫌いなタイプだから、炊きつけてみたら見事に成功した。
ドワーフは精霊種であるため人間とは若干違うのだ。魔法適正は低めだがとにかく力強くタフなのである。ステータスを見ればわかるのだが、体力と力は同レベルの人間に比べて倍近いが他のステータスは半分ほどしかない。
カエデは? と思ったがあいつは肉体的にはほぼ人間だからステータスはドワーフのそれとは違うようだ。
そうこう言っている間に馬車の準備ができていた。今回は大人数で行く必要もないので、俺の見張り役としてシュリとピーチ、ハリアーの妻と子供のために三幼女とハリアー、念のためにライムがついてくることとなった。
馬車は二台、一つは俺用、もう一つはハリアーとその家族用だ。何で俺まで行くのかといえば、俺が行くといったからだ。危険もないので今回は特に何を言われることもなく参加することができた。残った娘達には食事を準備しておいてもらおう。消化のいいものも一応頼んでおいた。
すぐ戻ることになるが、帝国に初めて足を踏み入れる事になった。
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




