264話 久々のグレッグ
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帝国の偉い人が来て、領主代行では話にならないとの事で久しぶりに中立都市グレッグに来た。
町並みは特に大きく変わっていないが、街の中のニオイは殆どなくなっていた。ディストピア・ヴローツマイン・グレッグ・ミューズにはフレデリクで実験した地下下水を導入させたので、街中で糞尿を垂れ流す人間は減っていた。
そう! 減っていただけなのだ! 完全になくならないのは、外部からの人の出入りがあるためだ。その者たちは家の影や壺などにして外に放置するため、街に入る前に何度も説明して発見したら罰金、常習犯なら奴隷落ちもあると話しているのに未だに一日十人近くは逮捕されて罰金を払わされているようだ。
この世界にトイレという概念は殆どないのだろうな。
ちなみにこの街の地下下水を作ったのは俺たちではない。俺は最後に壁とかの補強のためにクリエイトゴーレムを使って自動修復できるように魔核も埋め込んだが、この穴を掘ったのは街の魔法使いたちだ。初めはなんでこんなことをするのかと見向きもされなかった。
報酬を上げると飛びついてくる冒険者が増えたのだ。魔法使いたちは設計図通りに穴を掘って柱を作る。掘った土は力の有り余っている前衛中衛職の冒険者たちが運び出す。後衛職や斥候の冒険者たちは、運んだ土をおろす場所の警備と索敵をする。
パーティー全員で参加できる上に報酬をそこそこよくしたので、駆け出しの冒険者たちだけでなく熟練の冒険者も参加してくれたのだ。
魔法使いに関しては、報酬を出来高払いである程度高くした事もあり、一般の土魔法の使える街人が一時間ほど来て魔法をできるだけ使って、報酬をもらって帰るみたいな形で参加してくれたのだ。当初は半年以上かかると思ってた作業が半分以下の三ヶ月ほどで完成した。
ここで払われた報酬はもちろん俺のポケットマネーだ。この街の人たちにはトイレの必要性が理解できていないので、税金から使うのは良くないと判断して俺の財布から出すことにしたのだ。後々トイレの重要性が分かったら管理費は税金から出るようにするそうだ。清潔な街が一番だよね。
おっといけない、街の景色を見てのんびりと歩いている場合ではなかった。領主代行が困ってるからという事で俺が出向くことになったんだったな。領主館に急ぐか。
一応帝国側の兵力を確認しているが、今回来た偉い人についてきた十六人の兵士以外はいないようだった。ただこの兵士達が全員レベル一〇〇を超えているので、結構偉い人が来ているのでは? と思っている。
最近レベルの高い人を多くみているせいか、レベル一〇〇って弱くない? って思う自分がいるが、この世界の一般人からすればレベル一〇〇の人間がいれば、三〇〇人規模の衛星村なら、簡単に全滅させられる実力はあるのだ。決して弱いわけでは無い。
領主館について領主代行に話を聞こうとしたが、代行にはほとんど何も話さずに俺を待っていたらしい。いつ来るか分からないと言っているにもかかわらず、部屋で待つとの一点張りで困っているとの事だった。何が目的なのやら? さっさとめんどくさい事は終わらせよう!
「失礼します。中立都市グレッグの領主シュウです。なにやら用事があるとの事で代行から話を聞きましたが、いきなり来られて何の用でしょうか?」
少し嫌味を込めて帝国の偉い人に声をかけと、後ろにいた兵士の一人が、
「貴様! こんなところで長い時間待たせたハリアー様に謝罪はないのか!」
「そういわれましても、突然何の連絡もなく来られて、俺はディストピアから呼び出されてわざわざここまで来たんですよ? それに自分でこの部屋で待つって言われたそうですが? 失礼なのはどちらでしょうかね」
俺がそう言い終わるとハリアーと呼ばれた奴の後ろにいる兵士たちが剣を抜いた。
「剣を抜くのですね? というか、なぜにあなた方は帯剣しているのでしょうか? 普通領主などに会う際は武器を持ち込み禁止のはずですが、ハリアーさんでしたっけ? あなたは何を考えているんですか?」
「お前ら剣をしまえ。私を守ろうという気持ちはありがたいが、いつ私が敵対しろと言ったのだ? 領主に剣を向けるという事は、私を危険にさらすことでもあるんだぞ? 下手をすれば不敬罪で処刑されても文句は言えないな」
にらみを利かせて兵士たちを黙らせ剣をしまわせる。
「シュウ殿、この度は大変失礼した。この者たちには後できつく言っておきますので、どうか見逃してほしい」
「まぁいいでしょう。どうせ威圧すれば有利に話を運べるとかその程度の話でしょうし、実害はなかったわけですので今回は大目にみましょう。で、この度は私に用事があるとの事ですが、どういった内容でしょうか?」
「そうですね、シュウ殿は帝国がどのような国かご存知ですか?」
「実力がものをいう軍事国と聞いてますが」
「はははっ、確かに的を射ている答えですな。確かに実力主義の国ですが、それだけではないんですよ。武力に関わる全般に力を入れているとでもいえばいいのでしょうか、武器や防具についての知識もなかなかのものです。なのでここで見つけた片刃の少し反りの入ったあの剣の事を聞きたくて隣街のギャロップから話を伺いに来ました」
「ん~刀の事かな? でその刀について何がききたいのですか?」
「可能なら製法を、それがだめならある程度まとまった数を購入したいと考えております」
「刀の製法ね~それはさすがに教えられませんね。そもそもあれはディストピアに来てくださったドワーフ達の作品ですからね、私は製法を知りません。あなた方が技術を持っているドワーフを口説き落とせるのであれば知ることができる可能性がありますが、おそらく今は無理でしょう。
まとまった数の刀がほしいのであれば、この街の商会で刀を探していることを伝えれば、売っている場所は紹介してもらえますよ。ただあの刀は作るのそれなりに時間がかかるので、まとまった数というのはなかなか難しい注文になりますね」
「やはり製法は無理ですか……」
「貴様、ハリアー様がまとまった数を購入したいと言っているのだ、準備をするのが礼儀だろうが!」
「おい後ろのあんた、礼儀とかお前がぬかすなよ? 人様の家で帯剣したまま領主にさんざん無礼な口きいてるお前が、礼儀とか何様のつもりだ? それに今はお前の主人と話しているんだから黙っとけ」
何か言いだそうとしたがハリアーに手で止められている。
「度々うちのバカがすまない。お前も次失礼な事をしたら首を飛ばすからな」
「あなたも大変ですね。で、刀ですが作るのには時間がかかる上に今は受注生産みたいな形になっているのでいつ手に入るかわからないですよ? 今でも一ヶ月待ちは当たり前ですから。まぁその弟子たちの作品であれば、それなりに早く手に入るとは思いますが品質は落ちますね」
「刀とやらは、作るのにそれほど手間がかかるのですか、軍の正式武器にはさすがにできそうにありませんね。では自分専用に数本特注品を頼むことにしましょう。帰りに商会に寄っていきましょう、貴重な時間をありがとうございました」
「気にしないでくださいと言いたいところですが、せめて事前に連絡をしてほしいですね。あと商会で威圧的な交渉はしないでくださいよ? あっちの護衛は、容赦なく斬りますので」
ハリアーとかいう人はなんか掴みどころのない人だったけど、刀を気に入ってくれたみたいで俺的には好感度は高いな。それにしてもあの兵士はいただけなかったな。うちの妻たちは誰も反応してなかったけど、なんでかな?って思ったけど、俺のすぐ右後ろにシュリがいたからだな。
しかも相手が帯剣しているとわかった瞬間に全員武器を準備していたようだ。だからあっちも威嚇してきたのか?いや、あいつはただ単にバカなだけだな。
っていうかこんなことのためにわざわざよび出すんじゃねーよ! 武器欲しいなら初めから武器屋に行けよ! 俺じゃなくても答えられる話だっただろうが、それとも貴族ってこういうあほな事をするのが当たり前なのかな?
謎は深まる……
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