258話 攻めてきた勇者
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ゴブリンとオーク達が各村を作っておよそ一ヶ月が経過する。
名前に関しては個人個人が好きな名前を選んで、俺に命名してもらうという形をとろうとしていた。リーダーがつければいいじゃん? って言ったら軽く切れられましたとも。召喚された魔物たちにとって、召喚者の俺から名前を付けてもらえる事に意味があると今、熱弁されています。
「わかったから、顔近いって。名付けは俺がやるから自分で選んでくれると助かる……」
自分で名前を選んでも、俺につけてもらえる事が大切なのだそうだ。そういう意味では、俺が考えて名付けたリーダーたちは、英雄の扱いを受けているようだ。そんなたいそうなもんなんだろうか? ゴブ助にオク蔵だぜ。この話聞いてやっちまった感が半端ないけど、本人たちが満足してるからいいんだけどな。
そういえば、俺が召喚したゴブリンとオークって臭くないんだよな。野生のあいつらはアンモニア臭やイカ臭かったりするんだけど、お風呂に入らせているせいか、ほのかに石鹸のニオイがする綺麗なゴブリンとオーク。違和感あるけど清潔感のある奴らなんだよね。
お風呂に入るきっかけは、三幼女に臭いって言われた事だったらしい。今まで気にしてなかったけど、俺が大切にしているみんなに言われてショックを受けて、俺に公衆浴場のようなところを作ってほしいと懇願してきたのでもちろんすぐに作ってあげた。
ただ今までと言っていたが召喚された際に生まれたのでは? と思って聞き返したら、はっきりとしたことはわからないが、話をまとめると前世の記憶をもって生まれてきたような感じとの事だった。そういえばどこから来てるか不思議だったんだよな。魂みたいなのが保存されてるのかな?
この二種族は基本的に裸が多いんだよな。冒険者や旅人から奪った装備や服を着る事はあっても、自分たちで作ることはないからな。服を着るのは何故か上の立場の者からと決まっているそうなので、冒険者ギルドを任せているミリーにその情報を伝えておいてある。
で、汚いものを娘たちや監視のスプリガンの皆様に見せるわけにはいかないので、汚れにくく臭くなりにくくある程度の自動修復機能のついた服を全員に渡してある。装備に関してはスキルをとったから、自分たちで何とかするように伝えておいた。頑張ってほしいものだ!
ゴブリン村もオーク村も問題なく生活できているようでよかった。普通に農業してるし面白いもんだな。
ジリリリリリリッ!!!
急にけたたましい侵入者警報が鳴った。
すぐにピーチが呼びに来て食堂で説明が始まる。
「スプリガンの皆様から一報が届きました。どうやら勇者と名乗るものがディストピアの住人以外が入れない場所に押し入ったそうです。おそらく勇者のスキルでダンジョンマスターのスキルで作られたものだと判断して、ディストピアと商業砦をつなぐ通路に入ってきたのだと思われます」
「まじか、勇者って存在もそういえばいたんだな。まぁそれよりこっちの被害状況は?」
「今の所命に別状のある者はいません。ただ警備にあたっていた兵士に重症二名出ています。一人は片腕を切り落とされたようです」
「もっと注意しておくべきだったな。重症の二名にはキリエが回復をしに行ってくれ。それとこれをもっていって腕を切り落とされた人に使ってくれ」
昔ライムにつかったポーションを取り出して、キリエに渡す。このポーションは生命力に関わるものを癒すことはできないが、状態異常を解除することができるポーションなのだ。ただ万能薬とは違うようなのだが、ただ【ポーション】と表記されるだけな謎の回復剤だ。
一度体の損傷した奴隷を買ってきて何人かに試したが、全員腕や足が生えてきたのだ。ただ、無くなった腕や足をはやす際には、結構な痛みが伴うようだった。痛みに耐えれば生えてくるのだから悪い事はないだろう。
「さて、その勇者とやらは今どこにいるんだ?」
「えっと、ディストピアの街に侵入した勇者もどき共は、現在街の中心部のロータリー付近で鬼人たちと戦闘しています。ディストピアに侵入した際には、三十五名いた勇者もどき共は今二十四名になったようです」
ブラックピーチが出てるな、でもその気持ちわかるぞ! 大切な場所に土足で踏み込んできたあいつらを蹂躙してくれる!
「鬼人たちにはケガはないか? 今回の相手は殺しても問題ないから思う存分やろう!」
「了解しました。では私たちが処理しますのでご主人様はここでお待ちください」
「え?」
「ご主人様が危険な場所に立つ必要はないのです。私たちがご主人様、大好きな夫を守るために戦ってまいります」
「そこは普通逆じゃない? 俺がみんなのためにって」
「ご主人様! あなたにもし何かあったらどうするのですか? ダンジョンや魔物相手ならステータスやスキル、魔法で何とでもなりますが、勇者はダンジョンマスターにとって天敵ともいえる存在なんですよね? どんな攻撃があるかわからないんですよね? そんな存在の近くに行かせるわけにはいきません!」
ぐうの音もでない……妻たちは俺の事を心配してくれているんだよな。
「正直分かったとは言いづらいけど、絶対に死ぬなよ!」
俺が娘たちを送り出そうとした時に、ちょうどスプリガンからの報告が再度届いたようだ。
「え? ご主人様、悪いお知らせがあります」
え? 誰か死んだのか? それとも最悪の事態が今も進行中? 本当に何があったんだ?
「どうやら勇者もどき共が、全滅しました」
「はぁ?」
「鬼人たちとの戦闘にて全員無力化されたそうです。この前のダンジョンでの経験を活かしたようで、引き離し各個撃破を行って全員を捕らえたようです。ただ数名は重症のようでどうするべきか悩んでいるみたいです。鬼人たちには軽い切り傷などはあるそうですが完勝といっても問題ないかと思われます」
なんだかとっても空回りした感じだ。
「ん~襲ってきた奴らなんだし、重症のやつはほっといていいんじゃね? 治す理由もないしな。とりあえず全員を南門の牢屋に運んでもらっていいかな? 重傷者だけは見える位置の別の所に入れておいてね、後で一応尋問しに行くから」
「了解です。確か南門の地下牢は魔法無効化空間でしたね、ちょうどいい場所だと思います。念には念を入れて奴隷の首輪もつけさせておきます。重傷者を別の牢に入れるのは尋問に使うためですか? それでしたら死なない程度に回復しておきます」
俺が何もしなくても話が進んでいきそうな雰囲気だな。
それにしても勇者たちは、異世界から引っ張られてきた召喚された勇者か、現地の人間に神が加護を与えた勇者か気になるところだな。どっちにしても、ディストピアを壊そうとしたんだ、覚悟してもらおうか。
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