2460話 初めてのパティーン
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冒険者たちには武器が無くなったと文句を言われたが、お前ら助けてもらったんだから、それ相応の対価を払えよ。殺さずにわざわざ連れて帰ってきたやった分もまとめてな。
冒険者ギルドも冒険者も、任務失敗の上俺が片付けたんだから、しっかりと報酬も払ってくれよな。
そんな大金は無いとか助けてやった奴らが騒いでいるけど、ギルドマスターは一喝して払うように命令を出している。まぁ、ギルドマスターは命令を出したが、実際はギルドが肩代わりをして、俺に相応のお金を払う形になる。
数少ないSランクの冒険者なんだから、ギルドマスターも貸してくれるんだぞ。高額の依頼を何度受けなきゃいかんのかは俺は知らないけど、サキュバスクイーンから助けられたことを考えれば、高くはないはずだしな。俺が決めた金額じゃないから、文句を言うならこの依頼を受けた自分たちを恨めよ。
拒否権があったかは知らないが、洗脳だか魅了だか分からんが、操られたまま他の街を襲って入れば奴隷落ち確定だから、制限はされるけど自由がある状態で生きてられるんだから文句は言うなっての。
大体の話し合いは終わった。
後発で移動している騎士や兵士、冒険者たちは、仕事が無くなってしまったので、せっかく金を払うのだから、近くのちょっかいをかけてきている国に反撃をするように命令が出るそうだ。いちいち俺に教えてくれなくてもいいよそんなこと……
この冒険者たちも駆り出されて、向こうの国というか街に攻め込むらしい。うん、興味ないから、そっちで勝手にやれっての。
それとギルドマスター、そいつら高位戦力かもしれないけど、手癖悪そうだから気をつけておけよ。さっき話したように、俺の街でも物色のようなことをしていたし、人のいなくなった街でも金品を漁っているからな。
大半は持ち去られていて悪態をついていたけど、火事場泥棒はどうかと思うぞ。
戦争であれば略奪許可も出るだろうが、戦争じゃなかったからな、思う存分に反省してくれたまえ。
今回国王はギルドマスターとの仲介役みたいなものだから、今回の顛末を一応報告したという形だな。
話も全部終わり、俺のすることは終わった。後は王国内での話なので、自分たちでなんとかしてくださいな。
国王とギルドマスターと冒険者たちの話は続くようで、お役御免となったおれはのんびりと帰ることにした。王城からバッハで飛び立つ許可がもらえなかったので、城門から馬車を出してくれるようで、そこまでは自分で移動してくれだってさ。
王城をのんびり見学しながら城門へ向かっていると、途中で派手な女性に遭遇した。縦巻きロールの金髪……ここにきて、初めてのタイプのキャラクターが出てきたわ。
今までにここまでお嬢様をアピールしていた奴なんていなかったぞ……もしかして、王国の夜会とかにはこんな奴がうようよいるのだろうか?
チラッと見ただけで興味が無くなったので、無視して通路を進んでいく。
「そこのあなた、ちょっと待ちなさい。何を無視していこうとしているのかしら? 私は侯爵令嬢なのですよ? あなたとは立場が違うのですから、通路の端へ寄り頭を下げるのが礼儀では無くて?」
口調や態度にちょっと感動した自分と、面倒事に巻き込まれそうで嫌だな……と思う自分がいた。
「聞こえてらっしゃらないのかしら? あなたたち、あの者を止めなさい」
肩に手をかけられ足を止める。
「あなたしかいないのに、この私を無視するとはいい度胸ね……顔はまぁまぁですが、身なりは良さそうですわね。お金は持っていそうですから、私に貢ぐ許可をあげましょう」
頭に蛆が湧いているんじゃないだろうか? 顔がまぁまぁなのは実際その通りなのだが、ここに妻の誰かがいたら死んでたぞお前。それに貢ぐのに許可ってなんだよ……貢ぐのは貢ぐ側の自由であって、お前の許可せいじゃないだろうに。
「色々問題になる発言をしている自覚はあるのかな? それとも自分は偉いから何をしても問題ないと思っているのか?」
「無礼な口のきき方ね。貴族でもない見た目が普通な男に、私に貢げるというのは光栄なことだと分からないのかしら? 王城に来ていて1人で歩いているということは、あなたは商人なのでしょう? 私に貢ぐことで、商売がしやすくなるのが分からないのかしら?」
「会話になっているようで、会話になってないね。一応自己紹介をしておこう、今日は国賓としてこの城に招かれている、シュウという者だ。商人ではなく、中立地域にある街の領主をしている。立場とすれば貴族というよりは、王に近い立ち位置なのだが口のきき方に気をつけた方がいいと思うぞ」
「……このお方、頭がおかしいのではないかしら? 中立地域の領主だったとしても、大国の侯爵よりは立場が低いですわよ? その侯爵の令嬢に対して、そんな口のきき方をしていると、身を滅ぼすというのが分からないのかしら?」
都合のいい部分だけ切り抜いて聞こえているのかなこの縦ロールは……国賓・王に近い立ち位置だと言っているのに、俺の正体が分からない所を考えると、無知なのだろうな。
「やっぱり話にならんな。お前と話していると頭が痛くなるから、どこかへ消えろ」
そういってその場を離れようとすると、縦ロールの護衛である騎士たちが剣を抜き、俺に向かって振り降ろされた。
たかがレベル100程度の騎士共の攻撃など、
ガキンッ
取り出したアダマンタイトでできた木刀……鉄刀……アダマンタイ刀……まぁ何でもいいや。硬さだけを追求して作った武器を一振りして、騎士共の剣を叩き折った。
「王城でこの国の者でない人間が武器を抜きましたね。あなたは今ここで明確な犯罪を犯しましたわ。私に貢いでいれば長生きできましたのに……本当に残念ですわ。近くに王城を守っている騎士はいないのかしら? あら? 普段は邪魔ばかりする深紅の騎士団の平民がいるわね。そこのあなた、この男を拘束しなさい。
王城で武器を抜きましたわ。これは明確に王国へ武器を向けたのと変わりがありませんわ。国王様にご報告しなければなりませんの。早めに捕らえなさい」
たまたま歩いていた深紅の騎士団の騎士が、縦ロールの話を聞いて顔が青ざめていた。
さすがに君たちは俺の事が誰か分かるよな。さっきまで案内をしてくれていた騎士の3人だしな。
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