2452話 結局力技
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綺麗に切り取られた腕を一応回収しておく。ギルドから送り出された冒険者たちが、洗脳されていたので勇者も一応洗脳していないか確認して、されていたらくっつけてもいいかと考えている。時間が進まない収納の腕輪にしまっておけば、くっつけるのに問題ないからね。
氷で保存されるより問題なく、保存が可能な収納の腕輪……相変わらずすごいよな。
傷口は既にポーションで塞いでいるけど、ポーションで治った際に少し膨らんだ部分を切り落として、保存しておいた腕をくっつけながら、ポーションを飲ませれば腕がくっ付くんだよな。
これも、手足を生やす実験を行っていた時に発見しただよね。以前からくっつくという事例は冒険者たちの中で何度もあり、しっかりと条件を調べるためにやった実験だったかな。一応それっぽい条件は発見している。
細胞が半分程生き残っている状態であれば、ポーションによってくっつけることが可能だ。傷口が綺麗であれば、ランクはⅮとかEでもくっつけることは可能だが、細胞の生き残っている具合とか傷口の状態とかで必要なランクが変わってくる。
腕を生やすことができるランクのポーションでも、細胞がほとんど死んでいる状態の腕だと、くっつかずに新しい腕を生やしてしまうので、何か条件のような物が存在するのだと考えている。
それにしても、腕を切り飛ばしたのに絶望するわけでもなく、こちらを殺してやる! とブツブツ言っているな。この状態になっても助かる見込みがあるということだろうか? いくらDPが稼げるからと言って、上質なエリクサーはかなりの負担なんじゃないか?
『なんか変でござるな。この状態になれば、もっと違う反応を見せると思うでござるが、殺すしか言わない勇者……冒険者たちより強く洗脳されているでござるかね?』
「可能性はあるけど、この勇者今まで見てきた中では、一番レベルが高いんだよな。そんな奴を催眠で洗脳できるもんなのかね? レベルが低い時から刷り込みの様にされてたら、可能だったりするのだろうか?」
『冒険者たちの件を考えれば、レベルが高くても催眠効果が発揮するのよね。時間をかけたら洗脳も可能な気がするわ』
「とりあえず洗脳は出来ると仮定して、正気に戻せるのか、ダンジョンマスターの情報は吐くのか、そこらへんが気になるところだな」
こいつを助けに現れてくれるなら何の問題もないのだが、助けに現れずに傍観されていた場合は、探すのが面倒になるんだよな……出口は1つだけだから、住人を全部外に出すか処理をすれば、いずれDPが枯渇して死ぬだろうけど、そんな持久戦に付き合う気は無いんだよな……
いくつか聞いてみたが、会話のキャッチボールが成立しない。おそらく洗脳状態が、俺の質問を答えさせないようにしていて、切れる要素がそこに含まれているという感じだな。
「洗脳状態って、元凶が死んだら元に戻ったっけ?」
『戻らないでござる。この世界の洗脳は、脳の情報を書き換えられるような感じでござる。それに対して催眠は、脳の情報を隔離して新しい情報を本当だと思わせるような状態でござる』
「となると、洗脳だったら直すのに洗脳しなおすしかないのか。催眠だったら、隔離されている情報を引きずり出せれば、問題ないってことか? そこまでしてやるつもりもないんだが……情報が手に入れられないなら、始末しておくか」
『念のため、死ぬヴィジョンを見せたら洗脳や催眠が解けるかもしれないから、試してみたらどう?』
洗脳が解けた場合、そいつってどうなるんだろうな?
拷問とかでは時間もかかるし面倒なので、確実に死ぬと思わせるような攻撃をしてやるか。
俺は久々に大斧を取り出した。勇者を磔にして、一思いに殺せる状況を作り出す。頭に刷り込むために、ダンジョンの壁に向かって大斧を全力で振るう。大斧は刃の部分を全部埋め、柄も7割ほど壁にめり込んだ。
その大斧を勇者に向かって振るう。1回目は当てなかった。死の危険を感じてはいるが、漏らすだけで終わった。そんな状態でも、こちらを罵るのを止めないあたり、完全催眠だったか? イレギュラーで発生したあれを思い出したが、チビ神が干渉してきていないので、それも違うと思う。
2回目は膝のあたりを狙って切り飛ばしたが、やはりダメなようだ。こいつは手遅れみたいだな。これ以上苦しませないように、首を落とす。
こんなことが平気で出来るようになった俺は、精神がどうにかしているのかもしれないな。
死ぬとしても碌な死に方をしないだろうと思いながら、次の行動に移ることにした。
住人を100人ほど捕まえて、質問に答えなかったら手足のどれかを切り落とす、と宣言してから質問していく。
シリウス君が20人ほどの手足のどこかを切り落としたところで、やっと質問に答えてくれる人間が現れた。街に住んでいる人間は洗脳や催眠はされていないと思っていたが、もしかしたらされてたりする可能性がでてきた。だからと言って、手を変えたりしないけどね。
手足を無くす恐怖が勝ったのか、知っていることを話してくれてはいるようなのだが、ダンジョンマスターの正確な位置を知っている者はいなかった。
保身に長けていると考えるべきだろうか?
俺がどうするか悩んでいると、シリウス君が、街の住人を一か所に集めてくれれば、そこ以外を水で埋め尽くして、霧より正確にダンジョン内を把握してくれると言ってくれた。そんなことまでできるのか……さすがだな。
死にたくなければ、広場に集まる様に指示をして、シリウス君に調べてもらうことにした。
先ほどの様子を見ていたのか、大半の人たちは問題なく集まってくれたが、一部の人は集まらず家から出ようとしなかった。
宣言はしておいたので、死んでもなんとも思わん。シリウス君、やってくれ。
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