2430話 到着
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近くに誰かが来た気配出したので目を開けると、俺の顔を覗き込むように見ているリンドがいた。
単独で行動しているが、その大半が工房での作業のリンドが、珍しく1人でキャンプエリアに来ていた。
「リンド、どうしたんだ? みんなは交代で監視をしてくれているんじゃなかったのか?」
「監視はしているわよ。でも、荷物の検査は終わったから、ダンジョンから人が出てこないかの確認だけだから、今は2~3人で他愛のない話をしながら監視しているから、シュウみたいには疲れてないわよ。綾乃に聞いたけど、疲れているみたいなんだってね。本当に大丈夫?」
「自分のことって思ったよりわからないものだから、SSランク冒険者がダンジョンに向かったら本格的に休むつもりだったけど、多分疲れてたんだろうな……深くはないけど簡単に眠りについてたよ」
「シュウが無理すると、周りのみんなも無理するから、ほどほどにしてよね。シュウじゃなきゃできないことだってわかっているから、みんな何も言わないけど、本当に心配しているんだからね」
重々承知しています。妻の皆が心配してくれているのは、よくわかっているよ。
「これが片付いたら、またみんなでのんびりしにこよう。子どもたちに合えているけど、あんまりかまってあげられていないから、また一緒にキャンプでもしに来たいな。帰ったら、ブルムたちに伝えておいてほしい。一通り終わったら遊びに行こうってさ」
「あの子たちは喜ぶでしょうね。1日中遊ぶとなれば、前倒ししたり後ろに持ってったりして、しっかりと勉強が疎かにならないようにしないとね。あ~でも、プラムちゃんとシオンちゃんは、ブスッとした表情になりそうね」
リンドから子どもたちに話を伝えたら、起こり得そうな状況を考えると、子どもたちが取る表情が想像できて自然と笑みがこぼれた。
「とりあえず、危険と思うほどの無理はしていないみたいね。綾乃から聞いていた話でも、まだ大丈夫って話だったから安心してたけど、確認できてよかったわ。もし無理をするようなら、全員で止めに来るから本当に無理はしないでね」
俺が無理をするのは、もうみんながわかっていることだから、限界に達しないように確認に来てくれたのだな。複数人で来ることもできただろうが、代表してリンドが確認しに来てくれたんだろう。妻たちの優しさに感謝しよう。
む? 思っていた以上に時間が経っていたみたいだ。もうひと眠り……という気分でもないので、部屋に戻るかな。
「おや? 早いでござるね。しっかり休めたでござるか?」
「まぁな。自分で考えているより疲れてたんだな。自分でもびっくりするくらい、すっと寝てたわ。おかげさまで、万全とまではいかないかもしれないけど、十分に気力は戻ってきたと思う」
綾乃もこちらをちらっと見て、
「さっきよりは大丈夫そうね。バザールと一応考えて、レイリーが冒険者と会う場所にカメラをいくつかと、人造ゴーレムの外装を鎧風にして、飾り物のようにカモフラージュしたやつを置いてきたわ。もし何かあっても、レイリーが首でも刎ねられない限り問題はないと思うわよ」
レイリーの安全対策もしてくれていたようだな。万能薬以外にも普通のポーションも1人に3個分渡しておいたみたいだ。
SSランク冒険者がトリオなのかわからないが、3人の中にヒーラーがいないので、回復薬に頼っているという判断をしたようで、俺の奥さんからポーションをもらってきたみたいだな。例の如く、スキル上げの時に作って肥やしになっていたものだ。
その時に俺の様子を話したのだろう。それで、心配した妻たちの中からリンドが代表してきたって感じだな。
「その情報も収納の腕輪の中を覗いて判断したんだけどね。等級が低いのも含めて、結構の数を収納の腕輪に突っ込んでいたわよ」
「少し気になるのは、追加でポーションを要求された場合は、どうするかでござるな」
「これで追加要求されたら、敵判定かね? もしそうだったら、タダの強盗と変わらんな。もし要求されても、取り合う必要はないだろう。SSランク冒険者は、お利口さんじゃないと慣れないわけだし、無茶な要求はしてこないだろう」
冒険者ギルドから見れば、SSランク冒険者というのは、ギルドの意向に沿って正しく力を使ってくれる冒険者だからな。だから俺みたいに扱いにくく力のある奴は、SSSランクと評価して少し優越感を与えさせている、とかいう話だったもんな。
本当に失礼な話だ。
俺の場合は、すべては王国の所為だからな。冤罪で国家反逆罪にされるし、敵性戦力を削ってたらSSSランクにされてたしな。ギルドから見れば、扱いにくい危険な奴って言い分も分からなくもないが、不可抗力だったということも忘れてほしくないね。
もし、要求ではなく買い取りたいという話であれば、追加で1人5本ずつ計15本までならいいんじゃないかという話になった。よこせではなく買うというなら、話は別だからな。
いろいろ話しているうちに冒険者たちが門に到着し、何事もなく通過してすぐに街へ到着した。
自由に歩かれると面倒と考えたレイリーが、門まで迎えに行ってそのまま兵舎へ誘導するといっていた。
カメラがないのでどんな様子なのかは見れないが、光点を見る感じでは特に問題はなさそうだな。
「あっ、止まった……あの辺りって屋台エリアじゃなかったかしら? 匂いにつられて移動してるっぽいわね。お腹が空いている可能性が高いわね。まともな食事を3日はしていないことを考えると、食べたくなるんじゃないかしら?」
屋台の食事の匂いって、やばいもんな。よくわからないけど、美味しそうに感じるんよな。
10分ほど屋台エリアをさまよった所で、兵舎に向かうようだ。
話をする部屋に入ってくると……食い物をたくさん持ち込んできたな。かなりの量だけど、問題なく食べきるんだろうな。
話は、食事の後ということで、レイリーも食事をすることにしたようで、食堂から食事を持ってきたみたいだな。
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