2427話 ここまでヤベエのか
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俺たちの予想通り、2日は特に何も起きなかった。
監視していると眠気が強くなるくらいには、動きが無かった。それは、監視している俺と綾乃の感想であって、捕らえた兵士たちを尋問や拷問しているメンバーにとっては、その限りではない。
妻たちは、あの後も収納の腕輪の中を確認してくれている。
拷問する人間を連れ出す時は、バザールが操るスケルトンたちが行っているので、誰かが傷付くことはない。その時に収納の腕輪を持っている奴らからは回収しているが、全員分を開封できているわけではないので、妻たちは引き続き何が入っているかを書き出してくれていた。
その中でいくつか気になる物を発見したので、別に連れ出して収納のアイテムを回収することもあった。
使用者登録されているので、快諾して荷物を全部出してくれれば話は早いのだが、拷問されても出そうとしない奴もいて、本当に面倒だった……と、俺が言うとでも思ったか! 俺にかかればこんなものはあってないような物。
大量のDPを持っている俺は、DPに物を言わせて所有者を書き換えることも可能なのだ。拷問を我慢して荷物を守ったのに、俺がそんなことをできると知った時の兵士の顔、なんだか可愛そうになるくらい歪んでたな。
ここで拷問されているほとんどの人間が罵詈雑言を浴びせてくるが、お前らのやっていることは、俺たちより質が悪いからな。
お前たちは一方的に戦争を仕掛けて、邪魔な奴らを殺して住人を連れ去ってる。それに対して俺たちは、戦争する気のお前たちを、先制して捕まえて情報を引き出すために拷問をしているだけ、罵詈雑言を浴びせられる理由が分からんのだが?
気持ちは分からなくもないけど、全部お前らが悪い。
そういっても、俺たちは戦争する気は無かったのに一方的に襲ったのはお前たちだ! と言ってくるやつもいたな。でもさ、お前たちのいたところ、お前の国の領地じゃないじゃん。それに武装勢力が領地の近くにいれば、制圧するのは何のおかしなことじゃないぞ。
何を言っても無駄だと思うが、一応反論しておいた。
軍とは言っているが、話してみると身綺麗にしている野党の類にしか見えん。もし軍として規律を守っているなら、もう少し品があるのではないかと思う。
この様子を見て、俺たちやレイリーは、こいつらは捨て駒で本命がまだダンジョンの中にいると、考えるようになった。
少なくともこいつらを楽に制圧できるだけの戦力はあるのだと思う。
あ~そういえば、勇者の仲間以外でレベルの高かったあいつらが、正規の兵ではないかと思い、改めて拷問してみたけど情報を吐かなかったので、裏技を使って聞いた情報を全部はいてもらったよ。この裏技も万能じゃなくて、聞いたことしか答えられなくなるから、聞いていないことは知ることが無理なんだよな。
「それにしても、あの裏技は恐ろしいでござるな。サキュバスクイーンでござったか? あんな魔物が良くいたでござるな……」
アンデッドのバザールから見ても、恐ろしかったらしい。アンデットは状態異常無効だから怖がる必要もないのだけど、あの様子は確かに怖いな。体験したいとは思わんが、体験している相手は天国にも昇る思いでも、その様子を観察している人間には恐怖にしか思えん。
「サキュバスクイーンだけど、あれって自力で進化したんだよな。ゴーストタウンの花街のトップだったサキュバスが、いつの間にか進化してクイーンになっててビビったわ。俺の支配下にあるから、色々指示を聞いてくれるのは助かる。初めて使ったけど、ここまでとは思ってなかったよ」
男にだけ対して絶大な効果を発揮するサキュバスクイーン。特段何かをしたわけではない。抵抗できなかった相手は問答無用で魅了状態にするだけだ。戦闘能力は決して高い物ではない。ただ男に対して、絶大な効果を発揮するだけなのだ。
そのサキュバスクイーンを通して、聞いてほしい事を伝え聞いてもらい、その情報聞いてもらい情報を抜き取ったんだよな。その時に質問されている相手の頭を撫でただけなのに、拷問で口を割らなかった奴が、涎を垂らして喜んでたからな……あの光景はマジで恐ろしい。
サキュバスは事をいたすことで生気を吸い取るが、クイーンはいたさなくても生気を吸い取れるため、発情しているオークの生気が一番好みらしい……足りなかったら出してやるから、希望者以外には絶対にやるなよ!
俺に関しては、嫁にしか反応しないからつまらないと言われて、少し安心している。でも、恐ろしい事には変わりないから、絶対にやめろよ? ふりじゃないからな!
そこで得た情報は、
「やっぱり、正規兵がいたんだな。それも同数で、平均のレベルも50以上高いと来たか。結構なリソースがあるってことだよな。街の維持に兵士たちのレベル上げ、かなりDPが無いと厳しいはず。時間をかけたとしても、かなり頑張っていることになるな」
最終結論はこんな感じ。
正規兵となれば使い捨てはしないだろうが、解毒薬を準備してそれを飲ませてから、毒薬を散布する可能性は大いにあるとおもう。
そう考えると、レイリーも兵士たちを前に出して戦わせるには、練度が足りないと判断して、俺が引き続き対処に当たることにしている。
「俺たちに出番が回ってこずに、SSランク冒険者が全部を処理してくれれば一番楽なんだがな。過剰な支援をして裏切られても困るから、魔法薬くらいは融通してやるか。毒で倒れられても困るから、持続する万能薬系を多めに渡しておけば大丈夫だろう」
俺たちはこの時見逃していたが、今回捕まえたチンピラのような奴らが、何故大きな問題も起こさずに集団行動で来ているのか、この集団に女が1人もいなかったことを深く考えていれば、この後の被害を減らせただろう。
自分の近くにヒントがあったのに見逃してしまった俺たちは、後で苦労する羽目になる。
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