2409話 慌ただしい
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俺は綾乃とバザールを連れて、すぐに監視室の横にある指令室へ移動する。
そこにスプリガンの1人が待っており、状況を説明してくれた。
元々の情報は、潜入している暗部の人間が伝えてくれた情報をもとにしており、スプリガンたちは後付けで情報を集めてくれたようだ。
暗部から情報がもたらされた段階でグリエルとガリアに連絡が入り、そこから妻たちへ情報を流すように話があったそうだ。妻たちは、ミリー・カエデ・リンドの3人だけがこちらへ来るようで、残りの妻たちは家でおとなしくしているそうだ。
大人数がいても、話し合いには邪魔になってしまうので、代表して3人が来ることになったそうだ。だからあの3人なんだな。
残りの妻たちは、何かあったときのために、すぐ動ける準備をしているそうだ。動ける準備と言っても、こちらに残って子どもたちの面倒を見るグループも必要なので、その話し合いというかローテーションを考えているようだ。
敵側の情報というと、おそらく戦闘要員と思われる兵士がおよそ2000人。平均レベルはこちらより低いが、特にレベルの高い者が20人ほどいるとのことだ。
この20人がおそらく勇者の仲間だろう。
それにしても仲間の20人のレベルが異様に高い。レイリーや副官たちほどではないが、大隊長よりはレベルが高い。勇者には、魔物を倒した時に経験値ブーストでもかかっているのだろうか? 反乱されないように、自分と仲間たちだけレベルを上げた可能性があるか……
その2000人がこちら側に向けて進んできているそうだ。駐屯地から兵士たちを引き抜いてくれば問題ないだろうが、あそこはあそこで監視したりしているので、人が減りすぎるのも困るだろう。そこらへんは、レイリーが担当しているから、後で話を聞くことになるだろう。
こちらの準備ができないまま戦争を始めるのって、初めてかもしれないな。いつもは、事前に察知しているか、敵の動きが遅いので準備が間に合っていたのに、今回は気付くのも遅れ対応も遅れてしまったため、準備が間に合っていない。
それでも戦わないといけないのが軍人ではあるよな。正確に言えば、いつでも戦えるように準備しておく必要があるって感じだな。
輜重部隊がいないってことは、おそらく収納系のアイテムを複数所持しているってことだよな。姿は確認できていないけど、移動スピードが段違いに早いから、戦闘用の装備以外は身につけずに移動している可能性がある。
本当に後手後手だな。
レイリーが遅れてやってきたが、すでに軍隊の移動が始まっており、敵が攻め込んでくる前に陣地構築が可能だと報告が入る。2000人ほどと聞いていたため、すぐに動かせる限界数の4000人をゲートを使い移動させたようだ。
緊急時であれば、四大精霊や妻たち、シルキーの4人の内5人以上が許可すれば、ゲートの使用をできるようにしていた、今まで使われなかったルールを初めて利用したようだ。
俺も忘れているくらい利用されることのなかったルールなので、思い出すまでに少し時間がかかった。
ゲートを利用して、街まで飛びそこから急いで防衛地点まで走らせたそうだ。
防衛地点は、街と王国の境界線である、俺たちが作った壁とのこと。あの壁は、今回用意した魔道具のドームよりは頑丈なので、おそらく勇者やその仲間たちでも壊すことはできないだろう。
こちらに有利な場所で、こちらのほうが人数が多く、レベルも高い。負ける要素はないが、それでも死人が出ないわけではない。全面的にぶつかれば、おそらく3桁に近い死人が出ると思う。敵軍の代償は、その何十倍にもなるだろう。
数字だけ見れば勝ちでも、やるせない気持ちになるだろう。でも、今回はそれを飲み込むと言った。補償もするといっている。
それで残された者たちの心が癒されるわけではないが、しないよりはマシだろう。
もし死んでほしくないというのであれば、兵士を辞めさせるのが家族だと俺は思う。この考え方は、誰かに負担を押し付けるものではあるが、その負担が最終的に俺に向かうものなので、気にせずに考えている気がするな。
死ぬのが嫌、死なれるのが嫌なら、兵士や冒険者なんてしなければいいと思っている。
今までは敵にだけこの気持ちを向けていたが、自分の気持ちを割り切るために味方に対しても同じことを思うようにした。負担が軽くなるわけではないが、兵士でなくとも稼げる職業はいくらでもある。
その中で死ぬ可能性のある兵士を選び、その対価をもらっているのであれば、死んだ後に文句は言わないでほしいと考えるようにしている。
どんなに頑張っても文句は出るだろうが、それはしょうがないと割り切ろう。
覚悟はできているが、俺の命令で死ぬ人間が出るのだから、それを受け止めきれるかはわからない。何度も経験すれば、慣れて麻痺してくるだろうが、今回ばかりはそうはいかないからな。
今までにも何人か死んでいる人は出ているが、今回は今までとは違い、胃がキリキリと痛む……
綾乃とバザールに作ってもらった人造ゴーレムたちは、もしも突破されて街に入られても困るので、壁と街の間に配置することになった。通る者を全員捕縛又は殺害命令を出しておく。
仲間には識別用の魔道具を埋め込んだ武器や防具を身につけさせているので、身に着けている限り間違われることはないが、盗まれた場合は少し問題になるかもな。
指令用として近くにバザールの操るスケルトンも配置しているので、おそらく何とかなると思う。
俺ができる範囲の対策は、急だったため拙い部分は多いな。バザールや綾乃と、対策を練っておかないとな。攻めてくるとは言っても、まだ調整する時間はあるから、現地で調整する必要があるな。
レイリーは、今回の作戦にドームが使えなくなったので、勇者の仲間が逃げた際は追跡のみとすると申し出があった。監視するスプリガンの皆にも協力を求め、逃がさないように密な連絡を心がけるとさ。
レイリーは、最前線で指揮をとらなければならないので、もろもろの説明が終わると同時に飛び出して行ってしまった。
グリエルとガリア、ゼニスには、軍の物資を過不足なく準備するようにお願いし、俺は最前線には行けないので、中間地点である人造ゴーレムやスケルトンたちの配置されているラインに移動する。
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