2397話 泳ぐのは好きかもしれないな
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明日の打ち合わせを軽くしてから、駐屯地を後にする。
地球でもこんなに簡単に移動できる方法なんてないよな……地球上で一番早いスピードを記録した乗り物と言えば、飛行機の1つなのだがそれが、ノース・アメリカンⅩー15らしいのだが、そのスピードは音速の7倍近い速度を出しているそうだ。
これはⅩの名の通り、実験機として作られた戦闘機だったはず。自力離陸は考えられておらず、ミサイルのように撃ち出す形をとった、異色の戦闘機だといわれている。
配備されている戦闘機でいえば、最速は音速の3倍ほどだったかな、主力の戦闘機は音速を超えるのが当たり前の世界らしい。
どれも乗れないという意味では、一般人には現実的ではないな。非常識でいうなら、有人飛行船であるアポロ10号が一番早いといわれている。その速度は、音速の32倍以上。ざっくりとした計算だが、音速11キロメートル……
頭が混乱するくらいの速度だな。
一般人が乗れる乗り物で一番早いのは、まぁ旅客機だろうな。およそ時速900キロメートルが現実的な数字だろうか。その飛行機も飛行場への移動や待ち時間、乗り降りを考えると、それなりに時間がかかってしまうため、距離によっては電車のほうが早く着くんだよな。
東京大阪間なら、飛行機は反対に時間がかかるだろうな。新幹線で2時間30分ほどだからな、もろもろの時間を考えれば、飛行機の選択肢はあまりなさそうだ。
そんな早い乗り物を使っても、ゲートによる移動は時間の負担もなく、場所を選ばないという点では本当にインチキ臭い能力だ。
ダンジョン農園に作った、家族専用のプールへ移動すると、子どもたちの騒がしい声が聞こえてきた。
主に騒がしいのは、シンラたち下の子3人なのだが、元気が有り余ってるな。こんなにはしゃいでたら、夕食前に寝ちまうんじゃないか?
着替えてプールへ向かう。軽くシャワーを浴びて体を水へ慣らして、プールサイドで泳いでいる子どもたちの様子を見る。
予想していた通り、シンラたちは浮き輪を使って水を泳いでいるな。シンラが前を泳いで、それを追いかけるプラムとシオンの図だな。楽しんでいるようでなによりだ。
ミーシャたちは、少しぎこちないが普通に泳げている。
む~、忘れていたがここのプールは、子ども用と大人用に分けていたので、俺が子ども用で泳ぐのはかなり無理だあるな。
それなら大人用じゃなくて、川の流れだけを再現した流れるプールを使おう。
クロールでのんびりと泳いで体をほぐしていき、どんどん泳ぐ速度を上げていく。スライムでも操作できる便利な仕様なので、指示を出しながら泳いでいる。
がっつりと動きたくなったので、水泳で一番カロリー消費が多い泳ぎ方……バタフライだな。
地球にいた時はあまりできなかったんだけど、こっちに来てから試してみたらなんか泳げたんだよな。
これやると1つ辛いのが、呼吸なんだよな。全身を動かすため、体内の酸素消費量がやばいことになっているんだろうな。改造されて心肺機能もかなり高くなっているけど、それに合わせて体も改造されて酸素消費量も上がっているから、結局激しく動くと通常の肉体と大差がなかったりするんだよな。
それでも、動きと動きの間の休みをしっかりとれば、パフォーマンスをしっかりと発揮できるので、慣れるまでにそこそこ時間がかかったんだよな。
そんなことを考えていると、思考に割く酸素がなくなってきたのか、無駄なことが考えられなくなっていた。その時の俺の泳ぐ速度は、秒速3メートルほどにまでなっていた。
この速度は、世界最高記録の5割増しの速度だ。身体能力を考えれば、もっと速く泳げるのかもしれないが、正しい泳ぎ方を知らないからこの程度なのだろう。
何分くらい泳いだかわからないが、限界が来たからスライムにゆっくりするように指示を出した。
空気が足りなくなっているのだが、激しい運動をした後に急に止まると体が反対にきつくなるので、ゆっくりとでも体を動かしている。水の中で空気を自由に吸える泳ぎ方は、平泳ぎと背泳ぎだろう。
この2つも泳ぎ方によっては息をできないのだが、今回は吸えるように泳ぐので気にしてはいけない。
運動量でいうと平泳ぎのほうが激しいのだが、段階で運動量を落としていきたいので、平泳ぎ→背泳ぎに変えていく。
息は上がったままだが、全力で泳いでいた時よりは落ち着いている。
背泳ぎの状態になり、腕は使わずにバタ足の全身運動だけで、体をクールダウンさせていく。
水泳って、体温より低い水の中で動くから体が冷えると思われがちだが、実は動いている間汗をかき続けているので、水泳選手はかなりの汗をかいているらしい。
水泳大会の選手インタビューなどで、初めは汗をかいていないのに、ものの数秒で汗をだらだらかきはじめているのは、そういうことが関係しているらしい。
俺も今その状態なので、水の外に出れば汗をだらだらかきはじめるだろう。体を拭いり汗を流したりすればいいのだが、なんとなくそれも面倒なので、体が冷えるのをのんびりと待つことにしていた。
次第に水の流れがなくなり、水面に浮かんでいるだけの状態になった。
そういえば、かなづちの人ってなんで沈むんだろうな? 俺は体の力を抜いていれば浮けるのだが、かなづちの人は溺れないように無駄に力を入れてしまうのかね?
人間の体って、筋肉ゴリゴリのマッチョでもない限り、普通は浮くようにできているんだけどな。
実際のところ、かなづちの人で溺れていいる状態の人って、水面でバシャバシャしていることが多いのは、しっかりと体の特性を理解せずに溺れないように体に無駄な力を入れるせいなのかな?
子どもたちの様子は見えないが、楽しそうな声がしているので、十分に楽しんでいるのだろう。
心なしかシンラたちの声が小さく聞こえるのは、疲れてきたのだろう。
体のほてりも落ち着いてきたので、プールから出てみた……シンラたちの声が聞こえなくなっていたと思ったら、プールサイドでスライムベッドに横になっていた。さすがに限界を迎えたのだろう。
夕食が遅くなる分、お風呂や遊び時間がズレるので、寝る時間もそれに合わせて遅くなるからちょうどいいかもしれないな。
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