2385話 それは想定してなかった
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目覚まし時計が同時に鳴りだし、俺の目が覚めた。
4つもかけたのはオーバーだったかもしれないが、1つずつ止めていく。音が大きい物、音が高い物、重低音の物、震える物、様々な物を準備しておいたのだが、過剰すぎたかもしれないな。
時計は……6時30分、寝てから3時間ほどで目が覚めたが、眠りが短かったせいか、いつもの様な目覚めのすっきり感がない。眠いがどうにか起きて、小言を言われに行きますかね。
反省の意味を込めているわけではないが、みんなが来る前にまずはシルキーたちに話をしておかないと、と思っている。
うちの食堂は誰か氏らが常にいるので、電気がついていて動いている姿は当たり前になっている。その中でもいつ寝ているのか? と疑問に感じる人物の1人、スカーレットを発見する。
シルキーたちに向かって謝ることは愚策だと知っているので、
「スカーレット、少し時間良いかな?」
いつもと変わらない様子だが、心の中までは分からない。
「昨日は心配してくれてありがと。悪い癖だとは分かっているんだけど、キリの良いところまでやってしまいたくなってね……それと昨日の夕食、届けてくれて助かったよ。ありがとな」
謝ることはしていないが、心配させてすまなかったということを遠回しに言っている感じだな。
特に何を言われること無く、次からは気をつけてください、とのことだ。心配しているのは、俺の体や体調が心配だからだと言われた。
分かってるよ。謝った時に小言を言うのも、俺の事を心配しているから怒るわけで、謝ってほしいわけではなく気をつけてほしいからなんだよな。
「寝不足だから、妻たちとの話が終わったら寝ると思うから、スカーレットが良さそうだと思った時間に起こしてもらっていいかな?」
寝不足を心配されているなら、寝てしまおうと思ったので、スカーレットに起こす時間を決めてもらう形にしてみた。俺にとってちょうどいいところで起こしてくれるだろう。問題は……いつ寝れるかなんだよな。
昨日はお腹が空いたまま寝たので、今もお腹が空いている。早めにここに来たのにはもう1つ理由が……
妻たちにも何かを言われることは、決定していたような物なので、ごはんを食べる前に小言が始まってしまうと、空気を読まないお腹がなる可能性があるので、しっかりと食べてから妻たちの話を聞こうと考えていたのだ。
いつもよりたくさん食べている様子を見て、スカーレットは何故か満足げだ。
食べすぎもお腹に良くないので、ほどほどの所で食事を終える……いつもよりたくさん食べているのに、ほどほどってどういうことだ?
自分の行動と食欲に疑問を感じてしまった。
矛盾しているけど、この表現が一番合っていると思うので、考えるのを放棄した。
朝食を食べ終えてしばらくすると、廊下から歩く音が聞こえてきた。
一番初めに食堂へ入ってきたのは、意外や意外、シンラだった。
一番! というように走り込んできたが、俺がいるのをみて首をかしげている。
追いかけるように入ってきたプラムとシオンは、シンラの様子に疑問を持ったのか、シンラの視線の先を確認して真顔になる。
俺の顔を見るまで笑顔だったのに、俺の顔を見た途端何で感情が無くなったような表情をするんだ? 俺がいけないことをしているみたいじゃないか!
俺がいることはどうでもよくなったのか、シンラは自分たちの仕事である猫のお世話を始めた。
猫たちのトイレは、ウッドデッキの隅の方に設置されており、ドアを開けて3人で外へ出ていく。猫も多いのでトイレの数も多いから時間がかかるんだよな。
自分の匂いのついているところ以外は基本的に使わないらしいが、うちの猫たちは匂い関係なしに使うので大きなやつを設置しているんだよな。
サンダルを履いて大きな砂場に入っていき、プラムとシオンが熊手の様な物を引いて歩いていると、固まった尿や便がたまっていき、ある程度たまったらシンラが回収していくといった感じで掃除をしている。
3往復して無くなった事を確認すると、集めていたものをポリバケツのごみ箱へ入れて、ウッドデッキ近くにある流し台でキレイに手を洗っている。
うむうむ、しっかりと手洗いができるいい子たちだな。
手を洗った後は、猫たちの食事の準備を始めた。
きちんと分量を決めているため、専用の大きさのはかりが準備されていて、それを使って猫の数だけ準備している。1・2・3……30個以上あるけど、そんなにネコがいるのか。いつの間にか子どもでも生まれたのだろうか?
シンラたちが食事の準備を始めたあたりから猫たちが集まり始め、シンラたちの足元でニャーニャー泣いている。
シンラが中心になって準備しているからか、プラムとシオンが「邪魔するとご飯抜き」と怒ると、あれほど騒がしかった猫たちの声がピタッと止んだ。本当にズル賢い猫たちだ。
先ほどまで騒いでいたとは思えない猫たちが、いつもの場所へ移動して大人しくお座りをして待っている。
お前たちは犬じゃないよな?
シンラたちが目の前に餌を置くと、プラムが待て! と声をかけている。そうすると、両端からシンラとシオンが「お手!」と言って、猫たちの前に手を出している。
猫たちが渋々付き合ってやってるんだぞ……と言わんばかりの表情をして、若干嫌がりながらお手をしている。
シンラたちはそれに満足しているようだ。食事のマナーもお世話のうちなのだろう、最後にこぼさずに食べるように注意してから、食べて良いと声をかけている。
あの猫たちがね……まぁ、シンラたちの後ろにスライムや他の俺の従魔たちが通るので、本当に仕方がなくシンラたちに付き合っているんだろうな。俺の時とは本当に大違いだ。
世話が終わると自分たちの席へ着いて、いつものようにシンラを中心にして、プラムとシオンがぴったりとくっ付いている。
近くにいたりそうじゃなかったりと、良く分からない距離感だな。
おっと、シンラたちが猫たちのお世話をしている間に、妻たちも集まってきた。食事が始まる前に、心配かけたことを謝っておこう。
食事を始める妻と小言を言い始める妻に分かれ、小言を言い始めた妻たちが終わると、食事を先に食べていた妻たちが今度は小言を言い始め、今まで言っていた妻たちが食事を始めた……いつから交代制になったんだ!
結局お昼近くまで代わる代わる小言を言われた。
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