2381話 開発中
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先頭の車両に当たる馬車の改良を始める……
「綾乃、馬の方は少し大きくしてもらっていいか? ウォーホースってもう少し大きいから、一応そのサイズに合わせておきたいんだが、出来るか?」
「ケンタウロスの方は良いの?」
「あっちは、もし運用することになるなら、ケンタウロスのまま運用すると仮定した奴にするのはどうかと思っているから、そのタイプとして作っておくのもいいかもしれないと思ってね」
綾乃が納得したところで、肉付けを始めてくれた。参考になるサイズは、データを渡しているのでそれに合わせて肉付けを行ってくれている。
俺とバザールは、ケンタウロス型の人造ゴーレムにつける、くびきの部分を調整していく。自分でもつけられるように、馬車から伸ばす部分……ながえを延長して自分で持ち上げられるようにしてみた。
胸の部分に当たる留め具は自分でも簡単につけられたが、お腹に回す部分は装着が難しいな……ワンタッチで自分でつけられるような方法は無いか?
「あっ! シュウ殿、生物ではないでござるから、スナップボタンのように、パチッと留めるタイプのボタンの様な物でいいのではないでござるか?」
バザールの話を聞いて、なるほど! と納得してしまった。
胸のベルトもあるが、馬車を何台も引っ張ることを考えると、少し深くボタンが入った方がいいかもしれないな。スナップボタンの部分はミスリル合金にアダマンコーティングを施して、頑丈と摩耗を減らすようにしてみた。
自分でつけられるか、何度も実験させてみた。初めての事なので、最初は上手くできなかったが、次第に問題なく装着できるようになった。
学習能力が高いゴーレムって本当に便利だな。通常の魔核だけだと、インプット通りにしか動けないけど、学習機能をつけた魔核は、インプットの苦労が圧倒的に減るから助かるわ。ほんと今更だけど、綾乃、ナイスな仕事だったわ。
馬車を連結するだけなら、下の台だけあれば改造できる気付いたので、台を複数用意した。馬車間が長くなってしまうが、小回りが多少でも聞くようにするか、小回りを犠牲にして馬車の間隔を詰めるか……
最初の計画では小回りが利いても意味がないのでは? という話になっていたので、列車のように短くするつもりだったのだが、少し長くなっても小回りが利く方がいいのでは? とも考えてしまっている自分がいる。
「どっちが正解なんて分からないから、いろんな道に対応できるって意味では、小回りが利く方だからそっちでいいんじゃないかな? 道によっては、直線じゃなかったりするんでしょ? 急な斜面は九十九折りみたいな道になると考えれば、小回りが利かないと大変なことになるんじゃないの」
綾乃の言うとおりだな。平地だけであれば、最悪道がグネグネしていても、軍の中の工兵部隊がなんとかできるけど、さすがに急な斜面はどうにもならないからな……
「となると、問題は内輪差か……頭の良いウォーホースであっても、動きを覚えさせた人造ゴーレムでも厳しいよな。どうするのがいいと思う?」
いくつか意見を出し合ったが、これだ! というような意見は出なかった。なので、俺たちが今できるベターな方法をとることにした。
さすがに馬車まですべて魔核を埋め込むといった無理ではなく、あえて馬車の間を詰めて、内輪差を可能な限り誤魔化す……という方法をとることにした。
想定以上の曲がりくねった道になった場合は、連結する馬車の数を減らして対応するような手段をとることにした。
たとえ話だが、普段は馬車8つを繋げた状態で、急な曲がり角は馬車4つにするとか。8つ繋げて走っている時は、馬車を引くのは2体で、分けた時は1体ずつでひくなんて感じだな。4でも厳しいなら3にする感じだろうな。
今は馬車1台に1匹のウォーホースなので、馬車の数を増やせるなら、1人に与えられるスペースが広く取れるということだな。荷物に関しては、収納箱だけの馬車も軍にはあるので、何の問題もないだろう。各馬車にも1個備えておけば、何かあったとしても対応できるだろう。
「シュウ殿、細かい仕様は馬車の連結部分を作ってから調整でござるよ。順番を間違えてはいけないでござる。連結部分が完成したら、箱と中に重りを乗せて走らせてみるのがいいでござるよ。コースならすぐに作ることが可能でござるから、まずは台の方をしっかり作り上げるでござる」
おっと、また優先順位を間違えて迷走していた。
一先ず俺らは、馬車8つを繋げられるように、連結部分の作成に入った。金属の棒をいくつか付け足して、連結する部分は、車でジェットスキーなどを牽引する連結部分を参考にしてサクサクッと作っていく。
クリエイトゴーレムって、地球の知識があれば、ここまで驚異的なことができるんだな。この連結部分を作ることを考えると、地球では色々な機械を使ってプラグラムを入力する必要があるだろうけど、この魔法ならイメージするだけでなんとかなるからな……本当に反則的な魔法だ。
この魔法が人気ないのって、ここまで汎用性が高いと思われていないからだろうな。チビ神もこの近い方には舌を巻いてたもんな。
馬車間は適当に調節したので、もし問題があれば長くしたり短くするだけで問題はない。
「シュウ殿、箱を乗せて中に3トンほどの重りを入れておいたでござる。車輪の魔物素材は少しへこんでいるみたいでござるが、平面を走るだけでござるから、許容範囲内だと思うでござる。後で改良する必要がありそうでござるがな」
車輪にかかる負荷はかなりの物みたいだな。3トンもの重りを乗せるのには、作りがまだまだ甘かったみたいだな。改良は走らせてみてからだな。
1匹用だったものを2匹用に作り変えて、急遽用意した道を走らせてみる。
「おぉ~、多少の曲道なら問題ないでござるな」
しばらく走らせてみるが、想定を上回る急カーブでなければ、問題なく走らせることができそうだが、急なカーブが長く続くと、内輪差でどうしても道からはみ出てしまうようだ。
内輪差が少なくなるように、俺たちの頭で考えてみたが、結局解決策が出なかった。いや、出たことには出たのだが、ドワーフたちでも再現できない魔核を使う必要があったので、採用できない案だった。
馬車が自走できればいいという話になったのだが、今の所ドワーフたちにそこまでのゴーレムを作る技術は無い。エンジンは作れるが、燃料の問題があるので採用は出来なかった。
馬車4つ分であれば、ある程度の急カーブでも曲がりきれたので、基本的には3~4つの馬車を繋げて走らせるのがいいかもしれないな。8つとか繋げて2つに分けるって……初めから分けておけば、そんなことする必要ない事に後で気が付いた。
3台でも繋げられるのなら、箱を大きくするよりは人が乗せられるだろうし、規格化という意味ではものすごく有用的だろう。
台の方は完成したので、箱の方の検討に入っていくことになった。
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