2377話 少し脱線したけど、頑張ろう
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綾乃が綾乃らしからなぬ状態で、レイリーの説得に成功した。
「よくよく考えたら、規格化をするならある程度まとめて使ってもらわないと、問題点がわからなかったりするわよね。その点で軍は、統一した装備を大量に必要とするから、ちょうどいいかな? って思ったから、強引にねじ込んじゃった」
……無言でおでこに手を当てて、自分のおでこにも手を当てたら、熱なんてないわよ! と言って、殴られた。
馬車の基幹となるのは、ボールベアリングで、これは今のところドワーフたちしか作れないので、ある程度は召喚することになるが、ドワーフたちに頑張ってもらうとして、大規模な工場も考える必要があるかな?
馬車の箱の大きさは決まったので、内装を……と思っていたが、その前に箱を乗せる台を造る必要があることに気付き、頑丈で作りやすい形を考えていくことになった。
「1つ思ったのでござるが、個人として使う分にはあのサイズでいいと思うでござるが、商人や軍人が使うにはいささか小さすぎないでござるか?」
そういわれて考えてみた。確かに個人……4~5人で使うなら問題はない。でも、荷物を積んだり軍人を運んだりすることを考えると……小さい気がするな。馬車を大きくすれば、それだけ引く力が必要になるが、それはどうするんだ?
軍にはバトルホースがいるので、力の問題はないと。
街の中ではあまり大きな馬車は走らせてほしくないんだよな。報告でたまに事故があって、手足を切断してしまった……という話が上がってくるのだ。しかもその場合、馬車ではなく人が悪いということになるらしく、ケガをした人の人生はお先真っ暗な状態なのだ。
この世界の言い分では、馬車という危ないものの近くへ来るほうが悪い……というのが言い分らしいが、馬車を持っている人間=ある程度金を持っている人間であり、発言力が高いため立場として弱いケガ人のほうは泣き寝入りするしかなくなるんだとさ。
その証拠に、金持ちや権力者が馬車にひかれたりした場合は、馬車のほうが悪くなるので、本当にあきれてしまう。
まぁ、俺の街で事故を起こした場合は、どんな理由であれ馬車のほうが罪は重くなるようになっている。当たり屋みたいなやつもいるみたいなので、そこらへんはしっかり捜査させている。通行の明らかな妨害も積みなるようにしているので、嫌がらせをする場合は覚悟が必要だ。
金で雇っていたとしても、本人までたどり着いて、追放処分などを行っている。他の街に比べれば、発言力のある人間が悪さをしない分、安心できる街ではあると思う。
っと、話が迷走し過ぎたな。
「原点に戻って考えてみよう。馬車の規格化の原点はどこにあると思う?」
「色々脱線してたどり着いたけど、規格化することで街の中の安全を図れるってところかしら?」
「そうでござるな。馬車専用の道を作るにしても、一番大きなものに合わせていたら、途方もないことになるでござる」
「街の中は専用の馬車より小さいものは問題ないが、大きいものは専用のエリアでも作って、貸し出し用の馬車を利用させる形にすれば、街中はだいぶ安全になるよな。他の街のルールで危ない走行をする馬車が多いから、取り締まるのも大変だって話もあったしな」
「ということは、馬車の規格化は安全確保が原点ってことでいいのよね? そうすると、軍の馬車ってその規格から外れるから、優先順位は低くなる感じよね? 無理やりねじ込んだけど、どうするの?」
「いや、あれはあれで、耐久試験や使い心地の確認ができるから、先に作ってもいいんじゃないか? 大きい馬車で問題がないのなら、耐久力の面では小さいほうが丈夫に作れるはずだから、問題はないんじゃないかな」
小さいほうが耐久力の面で丈夫になるのかといえば、馬車に使う車輪の関係だ。基本は別々に動く4つの車輪で車体を支えることになるので、大きくなりすぎない限りは、4つで対応することになる。大きければ車輪にかかる力も増えるので、小さいほうが耐久力の面でみると優秀ということになる。
大きくなれば、箱を支えるフレームを丈夫にする必要があるので、重さはさらに増えるだろう。
「あっちこっち話は飛んだけど、街の中を走れる最大のサイズがさっきのやつってことでいいのよね? なら、とりあえずそれを完成させてから、軍用の馬車を作りましょう。そこからフィードバックをしたもので、街中のやつを改良していけば、いいのができていくんじゃないかしら?」
ひとまず、あるものを完成させてから次に手を付けようということになった。
規格化をしたいといっても、すぐにどうにかなるものでもないので、運用試験を軍にやってもらっている間に法整備や街を整えて、軍で得られた情報をもとに、改良するってことだな。
箱を乗せる台を考えるにあたって、サスペンションと魔物素材のタイヤをどうにかしないとな。街中でも小石を粉砕して進むタイヤの馬車を使っていいか悩む……すぐにタイヤの部分がすり減りそうだ。
「それなんだけど、各街に土属性の魔法使いがいるんでしょ? その人たちに仕事を割り振ればいいんじゃない? 街を拡張していたりしなければ、仕事がそこまで多くないはずだから、道の整備も仕事の1つにすればいいんじゃない? 無理なら無理で、細かいところは得意の丸投げでいいんじゃない」
なるほど! 最近忘れていたけど、不人気だった土属性魔法は、俺の管理下にある街限定ではあるが、一番人気の属性魔法になっている。他の国でも、重要性を認識して推進しているらしいが、結果は思わしくないようだ。
全体に力が分散するような形でフレームを組んで、車輪を取り付けていく。箱を乗せる台は、しっかりとロックできるようにしてあり、急停車しても箱が落ちないようにしている。乗せるだけだと、坂道で最悪落ちたりする可能性があるからな。
台が完成したら、板を乗せてでこぼこ道を走らせてみる。
「ん~、さすがにこのレベルのでこぼこは、吸収しきれないか……それでも、従来の物に比べれば十分すぎるほど軽減できているから、ひとまずこれで台は完成とするか。軍用の大きなものは、サイズを決めてから台を作てはこの順番にするか?」
「まずは、箱の大きさを決めたほうがいいでござるよ」
箱の中の広さがわからなければ、どうしていいかわからないもんな。なんで、先に台を作ることを考えたんだろう?
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