2374話 迷走は続くよどこまでも
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「2トントラックを準備したけど、この上にそのまま作るのか? それとも、サイズをきっちりと測ってから、外で作ってそのまま載せるのか?」
「それなのでござるが、馬車のサイズってどのくらいでござるか? それに合わせようと思うのでござるが、馬車のサイズがよくわからないでござるから、どうしようか悩んでいるでござる」
「馬車のサイズって規定はないから、どのくらいっていうのが難しいんだよな。ただ、日本の道路交通法でいうなら、あまり高くはできないんじゃないか? って思うんだが、どうなんだろう」
調べてみたところ俺たちで理解できたのは、トラックの高さは3800ミリメートルということなので、それが限界の高さということだけだった。
「思ったんだけどさ、荷台にそのまま載せるとか作るってなると大きさがわかりにくいから、荷台に箱のついているやつを召喚して、それをもとにいじったほうが楽じゃない?」
綾乃がいいアイディアをくれた。
「よし、DPは余っているし、荷台付き2トントラックを召喚しよう!」
先に召喚していた2トントラックは用済みなので、DPに還元しておいた。召喚した時より安くなってしまうが気にしない。
荷台に上って明るくして中をのぞいた。
「ん? 思ったより狭いな。幅が狭い気がするんだが、こんなもんなのか?」
馬車の箱として使う予定の部分は、高さが約2メートル、幅が1.7メートル、長さが3メートルだった。
これが一般的なのかは知らないが、これだと少し幅が狭い気がする。可能なら気持ちもう少し長いほうが使いやすそうなのだが……馬のことを考えると、あまり大きすぎても問題があるんだろうな……
「幅だけをもう少し……切りよく30センチメートル伸ばすのは、どうでござるか?」
「ちょっと待ってくれ……寸法自体はカスタム画面に入らないとわからないか。なら、カスタム……魔改造して大きくしてしまうか!」
いろいろが面倒になってしまったので、魔改造してしまうことにした。
「ちょっと狭い気もするけど、馬車に流用するならこのくらいが限界の大きさかもね。大きすぎると、車輪のほうがどうにもならないかもしれないからね」
俺たちが作る分には、何の問題もないのだが、規格化した場合ドワーフたちでも、老練なメンバー以外は作れないだろう。あまり大きくしすぎるのもよくないな。
前に馬車の規格化をするとかいう話になったけど、あれってどうなったんだっけ? タブレットから馬車の情報を引き出すことにした。
「あ~俺たちの使ってる馬車のサイズって、幅2メートル、高さ3メートル、長さ6メートルっぽいな。荷台だけの広さとなると、2メートルから2.5メートルってところかな?」
「さすがに6メートルは長くない? どうせなら、シュウの管理している街で使う馬車は、全部規格化しちゃえば? そうすれば、道の幅も決められるし、新しく区画整備するなら、それに合わせればよくない? 街の人間なら、補助金を出すなりして支援してあげれば交換するんじゃない?」
「ん~、馬車だって安い買い物じゃないからな……個人の場合は補助金額を上げて、商会の場合は税金額で考慮するか? そこらへんは、ゼニスに丸投げするか。グリエルたちと相談して、いい具合にまとめてくれるやろ」
安定の丸投げスタイルだ。規格統一は規格統一でいい面もあるので、その利点が勝ればこの話が進むだろう。
馬車を作っている工房は工房で、自分たちの規格があるので、そこで買うとそこでしかメンテナンスが難しかったりするのだ。パーツの規格も各々違うし、そこら辺を統一することで価格競争も起きるし、内装や荷台の質にもこだわれるようになるだろう。
工房にも援助をしないといけないだろうが長い目で見れば、生産効率が上がるので質のいいものがやはりできるようになると思う。
一番ミソになるベアリングは、こちらからの提供になるだろう。真球に関しては、ドワーフたちの生産が軌道に乗るまでは、俺か配下のモノが召喚すれば問題ないので、大丈夫そうだな。
それも、ゼニスたちが採用するか決めるかどうかだから、これ以上は考えても仕方がなさそうだ。
俺たちが規格として採用するのは、幅2メートル、高さ2メートル、長さ4メートルの箱にしよう。車輪や箱を乗せる部分は、別途簡単に準備できるので箱作りから始めることにした。
箱の大きさが決まってしまえば、あとは中身のデザインだけだからな。2トントラックの荷台をキャンピングカー仕様にするというのは、どこかへ消えてしまい、もう馬車のことだけしか考えなくなっていた。
「待った!」
「これから作り始めるところでござるのに、急に止めないでほしいでござる」
「止めるというよりも、まず仕様を決めないか? 最低限なければいけない機能、可能ならほしい機能と分けて考えようぜ。やみくもに作ってたら、俺のワンボックスや綾乃のミニバンみたいに迷走することになるぞ」
俺の意見を聞いて、綾乃とバザールは唸っている。俺の言っていることがわかるだけに、頭を抱えてしまったようだ。でもさ、抱える必要なんてないだろ。仕様を決めればいいだけなんだけどな。
「悩むな悩むな、決めればいいだけだろ」
俺の言葉に反応してバザールがホワイトボードを取り出す。
うちの場合は、ホワイトボードの使い方は普通とは違う。簡単に言えば、スクリーン替わりでプロジェクターで色を付ける形だ。絵描き系のソフトと連動させて、マーカーを使わなくても使えるものにしている。技術の無駄使いだけど、マーカーだと色々面倒だったりするからな。
ただ、プロジェクターだったので、目の前に立てないのが問題だな。
「シュウ、いつまでこの方式にするの? いい加減周りを暗くしないと見にくいこれやめない? あんたのスキルでペンタブを大きくできるんだから、それを設置できるようにしたらよくない?」
ペンタブとは何ぞや? そう思っていたところ、
「ペンタブっていうのは、絵描きさんが使っている、液晶に専用のペンで書くと色がぬれたりする……ソフトではないけど、まぁ便利な道具よ」
そういわれたので探してみることにした。
おぉ、すげえ。絵描きってどうやって書いてるんだろうかと思ったけど、こういう風に書いているんだな。
だいぶ昔からあるみたいだけど、知らなかったな……便利そうだから、さっそく巨大化させて召喚した。できるだけ軽い奴を大きくして、性能もちょっといじっている……マジで何でもありだよな、このスキルってさ。
「じゃぁ、改めて話し合いをしようか。馬車に欲しい機能をどんどん上げていこうか」
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