2358話 解体・加工の現場
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時は、加工エリアに入ったところまでさかのぼる。
分かっていたことだけど、食肉解体エリアってグロイな。俺がテレビや写真なんかで見たことあるのは、内臓をきれいに抜かれて頭も落とされ、皮もはがれた家畜の肉が、後ろ足をつられてぶら下がっている者だけだった。
ここでは始めから解体を行うので、色々とグロイことになっている。
さっきは分かりやすく俺の前で簡単に解体してくれていたが、このエリアでは複数同時に解体が行われている。俺の家だけで食べるなら、さっきかい大したものでも十分足りるのだが、ここで解体されているのは、ブラウニーたちが各街で使うお肉もここで解体されている。
そのため、解体する数がかなり多くなっている。
ブラウニー関係の食堂で1日に食事をする人間は、延べ換算で軽く10万人を超えるので、これ位の量を捌かないと全然足りないそうだ。
これでも足りなくなって、追加の注文がくるらしく、いつも慌ただしく作業しているのが、このエリアのブラウニーたちである。
ローテーションで持ち回りが変わるので、不公平は無いのだが、ここが一番忙しく働けるため、かなり人気が高いそうだ。
でも、一番の人気は、俺の家の食堂で働くことだそうで、召喚した主のために働けるのは、光栄なことらしい。ここに関しては、シルキーたちが合格を出したブラウニーたちがしのぎを削って、やっとつける場所らしく、かなりハードルが高いらしい。
聞いたときには驚いたけど、嬉しくはあったよね。
色々な解体をされている中で、一番最初に連れていかれたのは、ハラミの解体場所だ。
ハラミは、牛の中でも入門編らしく、加工エリアに来たばかりのブラウニーたちが、学ぶために使われるらしい。
ここで使われるのは、日本ではないので真空パックなどにはされていない。真空パックは、する時に熱を加えるので、ハラミの保存方法としては良くないという人がいるそうだ。
ハラミは、皮を剥いで柵取りをして、脂を削いで終了……早! 後は提供する前に切っていくそうだ。
初心者編というだけあって、本当に早く終わるな……
追加情報で、内臓系のお肉は熱に弱いので、真空パックをしているハラミやタンはあまり良くないらしい。あまり知られてはいないが、ハラミやタンは内臓系のお肉に近いので、解体時も注意しているらしい。
真空パックのくだりはいらないと思うがよく考えたら、ディストピアやゴーストタウンでは、余った肉や販売実験用の肉を売ることがあり、その際に真空パックにすることがあるので、しっかりと指導のために来たばかりのブラウニーたちに教えるそうだ。
次の牛レバーの解体を見て俺は驚いた。食用として店で売りに出せる部分が、レバー全体の3~4分の1に満たないという点だ。特に焼肉で使うのであれば、質のいい部分のみを使う形になるので、日本の本当の焼肉屋で食べた場合は、厳選された部位を食べていることになるそうだ。
焼き肉店によっては、それ以外の部分を破棄するところもあるそうだが、ここではそんなことはないそうだ。血管などが入っている部分までしっかりと切り取って、レバーの部分は食感に合った食べ方ができるようにしているらしい。
血管などの部位も、しっかり煮込むことで食べやすくして、提供されるそうだ。
ある程度まとまった量が無いと、調理がしづらい血管などの部位も、腐らせること無く保管できるため、居酒屋でごった煮と言って売りに出される商品になるそうだ。飲兵衛の好きな味付けのためか、あると分かった日はすぐに売り切れてしまうそうだ。
血管などを切り取られた残りのレバーは、お店で出す物ではないので、特別な加工をしてから、栄養の足りていない孤児たちに出す食事に入れるそうだ。
日本なら、レバーに好き嫌いがあるだろうが、孤児たちには好き嫌いはほとんどない。明らかにヤバい匂いがしていたりしない限りは食べるのが、この世界の孤児たちだったりする。
そもそも孤児たちは、食べるものを選んだりできないからな。好き嫌いなんて言っている余裕がないのだ。そういう意味で考えると、好き嫌いのある人間が多い日本は、裕福な国だったということだな。
次に連れていかれたのは、胃袋エリアというべきだろうか? ミノ……1つ目の胃袋、ハチノス……2つ目の胃袋、センマイ……3つ目の胃袋、ギャラもしくはギアラ……4つ目の胃袋。
同じ胃でも全く見た目が違うんだな……ミノはツルっとしているイメージで、ハチノスは見たままでハチの巣っぽい感じだ。センマイは何かビラビラがあってブツブツしていて黒い。ギャラは、何か毛のようなものが生えているように見える。
どの部位もしっかり洗う必要があるらしい。ぬめりが強く、色々な汚れが付いているので、しっかりと取る必要があるそうだ。
ミノは隠し包丁として、表面に平行に何回も包丁を入れ、そこにクロスするようにさらに平行に入れた後、更に裏面に鱧のように縦に入れている。ここまで入れると、噛む回数が少なくなるので、味に集中できるそうだ。
お店でもなんか包丁入れているなって思ったところもあるけど、そんな工夫があったんだな。
ハチノスは、俺の知っているのは白かったが、ここで見たのは黒かった。どうやら皮のようなものがあるらしく、咀嚼物がふれる場所で、キレイにしても食べると苦みやえぐみがあるそうなので、50度弱で5分、75度前後で1~2分お湯に浸してから、黒い部分を取るそうだ。
そうすると、俺が見たことのある白いハチノスになった。
そこからさらに1時間ほど茹でて、食べやすくするらしい。
これも時間がかかってるな。
それにしても、1つ1つエリアを分けていて、ブラウニーたちが移動する形なのはなんでだ?
どうやら、衛生管理の面を考えて、内臓系は1つずつエリアを分けているらしい。切る前にはしっかりと包丁を消毒しているし、かなり気を使っているようだ。
センマイは、黒いのも白いのも見たことあるが、ハチノスの黒いのと同じで、手間をかけて剥ぐそうだ。黒のままでも問題ないのだが、うちは全員白いのが好きなので、こういう所で頑張ってくれているみたいだ。
ギャラは……とにかくザルに押し付けて洗っているな。そんな風にしてもいいのかとも思ったが、頑丈らしくこの程度では問題にもならないらしい。
毛の様な物も全部取り、薄皮もキレイにはぎ取るそうだ。そして、切り分けるそうなのだが、ドワーフに出す時は包丁を入れないが、俺たちに出す時は、ミノのように表に包丁を入れた後、裏側を包丁の持ち手の近くの尖った場所(ジャガイモの目を取る時に使う部分)で何度もたたいていた。
ギャラは結構硬いらしく、出刃包丁などを使った方が、刃がかけなくていいらしい。叩くのも、ミノと同じ理由で、噛む回数を減らして味に集中させるための方法らしい。
ドワーフたちには包丁入れないのは、コリコリした硬いままが好きだと言って、ゴリゴリ言わせながら食べるんだとさ。顎が強いんだな……
ブラウニーたちは裏でこんなことをしてくれていたんだな……
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