2331話 緊張が解けたら……
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とりあえず、自分でわかる範囲の事を妻たちの前で説明することにした。
かくかくしかじかまるまるうまうま……
「えっと……魔力を込めて強化したり、魔力を抜くことで消費を抑えたりする際に、加減を間違えて魔力を大量に放出して、倒れたということですか?」
俺の説明を受けて妻たちが絶句している間に、スカーレットが代表して俺の話した内容を簡潔にまとめてくれた。
「そういう事になると思う。正確なところは、俺も気絶をしたりその前も意識がもうろうとしていたから分からないけど、状況的に間違っていないと思うかな? また実験するわけにもいかないから、そういう事があり得るって言うのを理解してもらえればいいと思う」
納得がいっていない様子ではあるが、実際に起きてしまった事なので、記憶にとどめておこうという感じが見受けられる。
シルキーたち4人は、私たちの目が黒い間は、次は絶対にありませんからね! と言っているが君たちの目の色って、スカーレットは朱だし、コバルトは蒼だし、ミドリはエメラルドグリーンだし、アマレロはキイロような色なんだよな。
髪の毛と目の色が、同じような色だから直感でつけたそのままの名前なんだよな……
とか考えてたら、4人にすごい形相で睨まれた……はい、変なこと考えていて、すいませんでした。
すぐに頭を下げて謝ると、表情が落ち着いて次からはこんなことしないでくださいね! と言われた。今回は、意図してやった事ではない。でも、わざとやるつもりはないから、安心してくれ。
やれと言われても、怖くてやれないわ。
気落ち悪いのも嫌だけど、魔力の枯渇って、下手したら命に係わる危険な事だからね。
『あ~、あんた起きたのね。あんたたちの奥さんが、神頼みみたいなことをしてきたけど、神が作り変えた体が、魔力の枯渇ごときで死ぬことは無いから、安心しなさい」
何一つ安心できない。まぁ、死なないと分かってもあえて危険な事なんて、するつもりはないからな。シルキーや妻たちに言えば、余計な心配をかけるから黙っておくさ。
一応、安心材料は手に入れたが、危ない事を進んでやるつもりもないので、聞いた話は封印しておくことにした。
一通り話が済んだところで、
ぐぅぅぅううう~~~
俺の腹の虫が盛大に鳴った。
張りつめていた空気が一気に崩れて、クスクス笑う声も聞こえてきた。先ほどまでシリアスだったのに、ここでお腹が鳴ったから、妻たちも笑わずにはいられなかったようだな。
俺は、状況が分かり安心したからか、空腹を我慢できなくなっていて、タイミングがタイミングだったので、恥ずかしくて穴に入りたくなってしまった。
お腹が鳴ること自体は特に気にしないんだけど、この空気の中でお腹が鳴ったから、さすがに恥ずかしかったのだ。
食堂へは行かずに、俺の趣味部屋で食事をすることになった。子どもたちに配慮しての事らしい。そういえば、丸一日寝ていたようだが、今は何時なのだろうか?
確認すると20時近くで、子どもたちは食堂の一角に作ったスペースで、ゲームをしているようなので、邪魔をしないようにと、子どもたちも食べたがらないように、離れた場所で食べるように言われたのだ。
子どもだと、美味しそうに食べていれば、お腹が空いてなくても食べたくなるだろうからね。
でも、食事する前に子どもたちに会うのはいいかな?
一応身だしなみを……って、臭くないな。倒れる前にかなりの汗をかいていたりしたはずだが、服は着替えさせてもらっても多少臭いと思うのだが、どういうことなのだろうか?
俺の疑問はすぐに解決した、鼻を近付けて臭くないか確認していれば、匂いを気にしていることなどバレバレで、何で俺が臭くないのかを教えてくれた。
なんてことはなかった。
体には問題が無く、ただ寝ているだけと判断していたので、俺をお風呂に運んで負担の無い姿勢と温度のお風呂に入れて、そこで体を洗ったりしてくれたようだ。
お風呂が汚れて大変だろうに……そんなこともなく、終わった後はスライムたちが手分けをして……手分け? とにかく、いる全員でキレイにしてくれたようだ。
スライムたちに寄ってたかってキレイにされたわけではなさそうで、少し安心した。
子どもたちとの再会は、あっさりしたものだった。特に感動の再会というモノもなく、あっ! 起きたんだ、おはよ! とミーシャたちが声をかけてくれたくらいだ。
心配すると思って、俺が倒れたとは言わずに少し深く眠ってしまい、その内目を覚ますと言っていたようで、子どもたちも予想外に早く起きたから、あっさりしたあいさつで終わったみたいだな。
1週間とか、顔を合わせないこともあったからか、寝ているだけですぐに合える場所にいたから特に気にすることもなかったようだ。それよりも、ゲームの続きが気になって仕方がないようだな。
部屋に戻ると食事が準備されて……いなかった。
その代わりに、調理台が持ち込まれており、何でも注文に合わせて作ってくれるようだ。ガッツリ食べたいだろうと考えていたようで、テレビでよく見るような食材の紹介のように、ざるに乗せられて綺麗に飾りつけされていた。
滅茶苦茶うまそうに見える。
シルキーたちが厳選したものに外れは無いだろうから、美味いのは間違いないのだが、見ただけでも美味さがにじみ出ているのが分かる。
常温でも脂が溶けているのか、お肉の周りがてかてかしている。
嫌でも期待値は高まる。
大きく切ってもらい、豪快に焼いてもらうことにした。
鉄板の上に乗せられた厚切りのお肉は、甘い匂いと脂が焦げる匂いを周囲にまき散らしながら、俺の視線をつかんで離さない。
付け合わせも一緒に調理してくれているが、一切情報が入ってこない。俺の胃はお肉以外の情報を、入れる気が全くないようだ。
良い焦げ目が両面と側面に付き、嫌でも美味い事を主張してくる。
完璧に調理されたお肉が切り分けられ、目の前に準備された焼けた鉄板の上に置かれていく。
ローストビーフみたいに、火は通ってるけど赤く見える場所を、アツアツの鉄板に押し付けて、たれをつけてからお食べくださいだってさ。
せっかくの適温なのに、更に焼いたらせっかくの火入れが無駄になるのでは?
そんなことを聞いてみると、やっぱりお肉は熱々の物を頬張りたくないですか? と聞かれれば、反射的に頷いていた。
俺は、焼かれた鉄板に肉を押し付け、程よいところでワサビ醤油につけて一口、
うまぁ……
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