2326話 進化していた人造ゴーレム
アクセスありがとうございます。
「なぁ、綾乃。こいつになんか、変な仕掛け梳かしてないか? さっきは苦労はしたけど動かせたのに、今は全く動かないんだけど……地面に張り付いているみたいな感じなんだが」
「さすがに地面に張り付いているってことは無いと思うけど、何が起きているのか分からないわね。自分で考えることは出来るけど、それを言葉として表現する方法がないのよね。言葉は理解できるのに、自分の考えていることを言葉に出せないのよ」
「だから、それはでござるな。見て聞いて学ぶことは出来ても、自分で考えているわけではないから、言葉にできないんでござるよ。人造ゴーレムは、トップダウン型のAIであって、ボトムアップ型のAIではないんでござる。考えているように見えているのは、綾乃殿が作ったゴーレムの脳が見せている幻でござるよ」
なるほどな。俺の質問には答えられないんだな。とはいえ、トップダウン型であるなら、色々確認していけばその原理が分かるかもしれないな。
人造ゴーレムへの命令権のプライオリティーは、綾乃が最上位なので命令してもらい、俺の言うことにはいいいえで答えるようにしてもらった。
とにかく色々質問していこう。
俺が転ばそうとしたときに動かなかったのは、何か特殊な技法をつかっているのか? ⇒ いいえ
でも動かないのは、普通に立っている時とは違うことをしているよな? ⇒ はい
動かないのは特殊な技法ではなく、自分の体を動かしているだけか? ⇒ いいえ
技法以外のナニカを使って、自分の体を動かなくしている? ⇒ はい
「ナニカをしていることが判明したが、何をしているかが分からないな」
「そうね。言葉にできれば、簡単に分かった事なんだけど、無い物ねだりは出来ないわね」
「そのナニカを目の前でしてもらうことは、出来ないでござるか?」
「「それだ!」」
話せなくても、目の前で再現させることは出来るので、目の前でそのナニカを行ってもらうことにしたのだ。
人造ゴーレムが防御をする構えをするが、何かが変わった様子は無い……本当にこいつは何をしているんだ?
今、俺が攻撃をした時にしていた、何かをしているんだよな? ⇒ はい
「あれでござる……何か魔力を感じないでござるか?」
「私に聞いても、分からないわよ! シュウはどうなの?」
「人造ゴーレムたちは魔力で動いているから、魔力を感じるのは当たり前だと思うけど、何か変なのか?」
「そうではないでござる。体を使っている時の魔力とは別で、違う魔力が動いている気がするでござる」
バザールが良く分からないことを言ってきた。
体を動かす魔力以外を感じる?
一応確認するために、近付いて体の隅々まで観察してみる。
そうすると、バザールの言った通り、体を動かしている魔力とは違う何かを感じ取れた。
「なんだこれ?」
思わず口に出てしまった。
体を動かす魔力の中に、さらに違い魔力があるので、感知し難かったようだ。
魔法を使って重たくしているのか? ⇒ はい
その魔法は、属性魔法か? ⇒ はい
その属性は、火・水・風・土のうちどれかか? ⇒ はい
火か水か? ⇒ いいえ
風か? ⇒ いいえ
土か? ⇒ はい
「土魔法を使っているみたいだな。土魔法を体の中に流しても、付与だったら体を強化するだけで、重くなるわけじゃなかったはずなんだが……」
「あれ? 人造ゴーレムだから、魔法使えないんじゃないっけ?」
「むむむ? そういえば、人造ゴーレムは魔法を使えなかったでござるな。では、この体の中を走っている魔力は何でござるかね?」
走っている魔力も気になるが、魔核で魔力は生み出せるので、魔法を使おうと思えば使える。俺たち人間は、魔法系のスキルで難なく使えるようになる(スキルを覚えるのに難があるが)が、人造ゴーレムはスキルがないので、魔法が使えないのだ。
いや、使えないと思っていたのだ。
目の前に魔法を使っているやつがいる……
「ってかさ、よくよく考えれば、普通のゴーレムの中でも魔法を使う奴っていたよな。そう考えれば、人造ゴーレムも使えないことは無いよな……」
「確かにそうでござるが、魔法は使えないと結論を出した覚えがあるでござる」
「私には良く分からないけど、魔法を使っているのなら、あの結論は間違っているってことでしょ。どういう風に使っているか分からないけど、使っているやつがここにいるんだからさ」
俺たちが出した結論は、目の前に実例がいるのだから、意味がなかったことは分かっている。
「それより、土魔法をどうやって使ったら動かなくなるんだ?」
ダンジョンの床の石や土と自分の体を、魔法で固定しているならまだわかるけど……そんな魔法の使い方じゃない気がするんだよな。
体の中に魔力がはしっていて、外に出るわけじゃないんだよな。体の中をぐるぐると回っている感じがして、何故か体が動かなくなるんだよな。
これ以上は、どうやって質問していいのか分からないので、その内判明するだろう。
その後も何度も模擬戦を重ねてみるが、やはりピクリとも動かせず、ムキになれば受け流されて首に棒を添えられて終わってしまった……
あれ? もしかして、俺ってこいつらに勝てなくなったのか?
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




