2322話 みんな頑張れ!
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一連のやり取りを見ていたウルは、こちらをキラキラした目で見てくれているが、その視線は恥ずかしいから止めてくれ。嬉しいけど、恥ずかしさもあるから、体が痒くなりそうだよ。
ヒューマンエラーの対策は、俺が中心になって上から指示を出すよりは、方針だけを示してその範囲内で自分たちで考えてもらう方がいいのかな? それとも、俺が指示する形の方がいいのかな?
悩んでも仕方がないので、グリエルたちに相談してみよう。
「私たちは、ある程度知識があるので対策を考えられると思いますが、中間あたりから下の人たちは少し難しいかと思います。シュウ様が指示を出して押し付けたくないのであれば、各部署のトップを中心にして意見を吸い上げさせて、みんなでまとめる形はどうでしょうか?」
利点としては、各部署の成長を促せるが、各部署から意見を出してそれをグリエルたちがまとめる形になるのだが、意見の中心になった部署と肉付けにされた部署とで、色々とトラブルがありそうだと。
すべてが丸く収まることなど無いので、みんなの成長を促す方向でいこう! トラブルに関しては今回の件に関わらず、トラブルと見受けられることがあった場合は、厳罰に処すことにした。
罰という面で強制するのは気にならないが、俺の通りに仕事をしろ! と押し付けるのは嫌いなので、ここまでしっかり育っている組織で、無理くりしても良い事など無いだろう。必要なのは、方針を示して見守ることだろう。
まぁ、俺は口を出せるほど現場を知っているわけじゃないし、的外れなことをいうこともあるだろうから、それで恥をかくくらいなら、みんなで考えてもらいたいところだ。
何かあったら責任は俺がとるから、グリエルたちを中心に対策を練ってくれ。
一応方針としては、ダブルチェックは問題なくしていると思うので、俺から言うことは! 間違いを恐れて、自分の意見を出さないことは禁止だ! 思ったことはまず伝えてみて、みんなで検討してみるようにしてほしい。
一応、会議はマイワールドの会議室を使うようにお願いしている。これは後で妻たちの協力も得て、会議の流れも確認する予定だ。これは、各部署のトップの動きを確認するためだ。俺に従え! みたいな人間もいるから、そういった傲慢な上司がいないか確認するためだ。
後は、グリエルたちから言われたが、自分が有能だと証明するために、会議をしているが最終的には自分の意見を前面に出すやつがいるかもしれない……と。
そういう教育はしていないが、承認欲求の強い人間もいるので、そういった事をするかもしれない……と言われたので、会議を監視ではないが見ることにしたのだ。家に帰ったら、妻たちにお願いしよう。
ながら作業でも問題ないから、何人かで見てほしいとお願いしないとな。
よし、後はグリエルたちに任せる! 何かあったら連絡をくれ。俺は俺の仕事をするよ。
元々準備されていた資料に目を通していく。昨日に比べて量は少ないので、時間がかかるようなことは無かった。特に問題があるような内容の報告書もなかったので、俺の仕事は終わった。
ふぅ、一息ついていると、ウルがお茶を入れてくれた。紅茶の淹れ方を習っていたのか、俺の執務室の隅の方にあるミニキッチンのような所で、スカーレットに教わっていたみたいだな。
いつの間に来たのか知らないが、いいタイミングでお茶を出してくれるのは、スカーレットの指示だろうな。
そういえば、ヒューマンエラーじゃないけど、小さなトラブルをそのままにせず、普段からどんなミスがあるのかを知るために、ヒヤリハットを書くように指示していたはずだけど、どうなったんだろう?
少し仕事が長引くがいいのか、ウルに確認を取ると問題は無いとのことなので、ヒヤリハットのサーバーを確認していくことにした。指示を出してから一度か二度確認しただけで、その後は放置していたんだよな。
使用されている形跡はきちんとあるな。登録された日時と時間は……おぉ、昨日の分までしっかりと書かれてるな。1~2分程終業時間に遅れて出している物もあるが、基本的には就業時間中に出ているな。
しっかりと指示を守ってくれているようだな。
就業時間内に書くと怒られるし、書かなければ書かなかったでグチグチ言われることがあるとか、テレビで見たことがあるな。仕事が終わってから書いたら書いたで、残業はつかないと言われたり、色々と世知辛い話があった気がする。
それが暗黙の了解というか、悪い日本の風習として残っているところが多いみたいな報道があったんだよな。医療現場や介護現場では、多い上に忙しくて書く暇がないとかいう問題もあったとか聞いたな。
内容は、ヒヤリハットなのだろうか? と思ったけど、本人がヒヤリとかハッとしたのであれば、それはヒヤリハットだからな。
やっぱり目立つのは、対人の問題と数字の問題っぽいな。対人というが、町の中心となる領主館で働いているため、人が必然と集まってくる。そこで職員ではなく、訪問者同士のトラブルだったり、他国の貴族が無理やり押しかけてきて、無理難題を言ってきたりするようだ。
後者の方は、職員や訪問者が巻き込まれる前に、警備鎧のリビングアーマーが取り押さえたりしているようで、大きな問題につながることはなさそうだな。
普通の国では貴族を捕まえること自体が大きな問題なのだが、俺の街ではそれは関係ないからな。三大国には問題を起こせば、どんな立場の人間であっても拘束して、罰を与えると言っているので、国のトップが文句を言ってくることは無いようだ。
あっても、貴族の親類が問題を掘り下げるだけで、そういった人間の相手はリビングアーマーが命令通りに動くので、職員などに精神的なストレスは少なくなっているようだ。
数字の方は、この世界ではここまで細かく数字を書くことが無いらしく、覚えても訳が分からなくなってしまう事があるみたいで、それを言い出せずに問題になりそうになった、とか少し困った内容もあった。
これでも、日本で使われている書類のテンプレートのようなモノを精査して、かなり数字を絞って報告をさせているのだけど、これでも足りないって言うのだろうか?
ゼニスも始めは驚いていたから、どれだけ適当に数字管理していたのか驚いたもんな。
一先ず、気になることはあるけど、大きな問題はなさそうで安心した。
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