2307話 問題発生
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イメージ通りに動ける武器としては、刀・長巻・薙刀・鎖鎌、以外パッとするモノは無かった。刀と薙刀はほぼすべての動きをイメージ通りにできたが、長巻と鎖鎌は思っている以上に細かい動きができていないという結果になる。
長巻なんて刀の延長上じゃん! とか思っていた俺がバカだった。刀より重量もあるし、大きなものになると薙刀より重いものもあった。
そんな重い武器を振り回せるだけでも本来は凄いのだが、イメージ通りとなるとやはり違うということが分かった。
1人で振り回していても、自分の知識にある動きしかできないので、久々に人造ゴーレムを呼び出して、今まで蓄積したデータを元に、効率的・効果的だとゴーレム自体が判断した動きをさせてみた。
こういう事が出来るのも、人造ゴーレムの強みだよな。
体系は俺と近いものを選んで、蓄積したデータを元に再現された動きを俺が真似るという形だな。
刀や薙刀はほぼできたのだが、長巻と鎖鎌に関しては真似するのが難しいものがいくつかあったのだ。
長巻でいうと、切り返しというえばいいのか、体の使い方が良く分からなくて薙刀のような動きになってしまったのだ。それで何が悪いというわけではないのだが、最善の動きではないということだけは分かる。体にふたんがおおきかったのだ。
強引に動かしているためか、体の節々に無駄に力がかかっているのが分かり、何度も同じ動きをしていれば、体を痛めることが分かるような危うさだった。
人造ゴーレムの動きを何度も見て何度も真似た結果、俺なりに理解したのは、重心の違いと重さの使い方、両手の位置と使い方が違っているのだと思う。
同じ武器でも多少の違いがある重さや重心、それにあった基本的な動きもあるので、それが無意識にできるようになって初めて、その武器を使えるということなのだろう。
弘法筆を選ばずというが、それに近いのだと思う。
筆によって癖などが違うが、上手い人は何を使っても上手いというような例えだが、筆を武器に持ち替えたと言えるかもしれない。
一説には、弘法の持つ筆は全部優れた物であるため、何を使っても違いは無い……という説もあるらしい。
それはさておき、俺の中に残っているスキルの刀術だが、多少分かってきたことがある。この世界で一般的に考えられていたスキルの刀術とは違うということだ。なんとなくわかっていたことだが、別物であると正確に判明した。
刀術のスキルが残っていても、今までできていたのにできなくなっている動きというのがいくつかあり、今まではこの世界の法則にのっとった刀術スキルで、動きを補佐してもらっていたのだろう。
これが分かったからと言って何が……とは思うのだが、いくつか過程をたてて、その中で一番しっくり来たものが、
『ただスキル欄に残っているだけで、効果が全くない』
というものだ。
そう感じ始めたのは、いくつもの武器を持って振り回している時に、動きや知識に補正がないのであれば、スキルではないのではないか? と思ったのが始まりだ。
良くこの世界をゲームみたいだと例えているが、もし本当にゲームだとしたら、剣術スキルが上がった場合何が起きるのかと言えば、剣を使った際の攻撃力が上がるというモノが多いだろう。
それなのにこの世界では、攻撃力ではなく動きや知識が増える……原理は良く分からないが、この世界だからで済ませていたものが、実は補助的なものであって、本来はそこに導くための道具だった可能性があると3人で考えたのだ。
チビ神の言っていた話では、スキルの統合とかいっていたが、効果がないので創造神が何かを隠しているだけだと思う。後、神と称えられるような強さになったという話だが、それは統合が行われた結果ではなくて、元からその領域にいて、たまたまスキルの統合が起こったのではないかと考えている。
あまり深く考えている様子の無いアホ神たちなので、そこまで考察していない可能性が高い……というのが、俺たちの出した1つの結論だ。
この結論が合っていようがいまいが、俺の強さには関係がないから放置することにした。
俺には大至急解決しなければならない問題ができたので、そちらに取り掛かるべきだという判断になったのだ。
その問題とは、総合的に見て、俺の戦闘能力がスキルが無くなる前と比べて、明らかに落ちているということだ。今までスキルに頼り、色々な武器を使ってきたのが裏目に出た感じだな。
ステータスには変わりがないが、戦闘においては、かなり問題になっている気がする。
子どもたちの午後の訓練に付き合えなかったのも、この問題が分かったからだ。
模擬戦をしたいからといって、今僻地で頑張っているレイリーをゲートで呼び出して、少し模擬戦をしたら……何をしても1度も勝てなくなっていたのだ。レイリーも動きにムラがあると不思議に思っていて、模擬戦が終わった後に最近の事を離したのだ。
首をかしげていたが、実際に起こっている現象なので、事実だと受け止めてくれたのだが、今の状態ではどんなケガをするか分かったものではないので、近接戦による戦闘は許可が出るまで禁止されてしまったのだ。
ここで、スキルがなくなった事による弱体化が俺には起きているのだと思う。
それ自体はかまわないのだが、いざという時に戦えないと考えると、みんなを守れなくなってしまった俺……そんなことは認められない!
これは、ただ休んでいるわけにはいかなくなった。
すぐにグリエルたちへ連絡し、現状を伝える。あいつらは、
『この際ですので、街のトップは前線に立たないでください』
と言われたが、俺は街の人たちも守りたいけど、一番は家族を守り抜く力が欲しいんだよ。メグちゃんやシリウス君がいると言われたが、そうじゃないんだって!
それも力ではあるけど、俺自身でも守る力が欲しいんだよ。性格上ただ見ているだけなんてできないからな。
なので、今日から俺の裁決が必要なこと以外は、全部グリエルたちに任せることにした。なんなら、俺じゃなくて妻たちの判断を聞いてもいい。妻たちが俺に報告しておくべきと判断したものに関しては、しっかりと聞くので俺の訓練を認めさせた。
しばらくは、朝夕に少しだけ時間を使って、書類の確認をする形になるだろう。
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