2302話 大事だったが、大したことは無い
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ブラウニーたちから不本意なレッテルを張られた気がするが、俺はいたって真面目に話しているんだが……もっと言うなら、俺自身良く分かっていないのに、詳しく説明するのも無理というモノである。俺が教えてほしいんだよ!
ブラウニーたちには変わっていると言われたが、俺自身何も変わっていないつもりだ。でも、一応調べるべきだと本気で頭を心配されている。俺は、頭のおかしい人間じゃない! 人間として少しおかしいだけだ!
「それの方が問題があると思いますが……」
隣で待機していたブラウニーが、俺の思考を読んでツッコんできた。
よく考えて見ろよ。人として少しおかしいだけであって、頭はいたって正常なんだぞ。そこら辺を理解できずに暴れている獣や犯罪者、貴族と一緒にするな! それに、俺か体を改造して寿命が行方不明になったから、人間としてちょっとおかしいだけだろ。
「それのどこがちょっとなんですか?」
ナチュラルに思考を読んでいるんだが……そこは置いておいて、寿命が無いだけだぞ。エルフだってドワーフだって1000年を生きているじゃないか。妻たちだって、薬を切らさない限り年は取らないんだぞ。そう考えれば、寿命がないくらい些末な事だろ!
「ハイハイ、ソウデスネー。ソレガフツウナラ、ゴシュジンサマハフツウデスネー」
ブラウニーが突然片言になった。面倒だから考えるのをやめたのかもしれないな。
一応、ブラウニーの助言通りに大きな変化がないか確認していく。ダンジョンマスターの過去を映す能力で、今の俺と比べてみるが、筋肉量や体系は変化はないな。体を作り変えたわけでもないのだから、見てわかるような変化はないよな。
ステータスも概ね同じだ。ただの訓練にしては、素早さと器用に当たる部分が少し高くなっている気はするが、それも誤差の範囲だろう。
後はスキルくらいか?
色々見て回ってみるが、大きな変化はなかった。変化は無いと思うが、確認のための作業だからな。
パッと開いてみて、目が点になった。武器スキルと呼んでいる物が、ほとんどなくなっていたのだ。剣術や槍術など、軒並み消えていた。そして残っていたのが、刀術だけだった。
驚いた俺は、慌てて剣を取り出して振ってみる。大きな問題は無く、武器を使うことができているが……何か違和感がある。多分、今までスキル頼りで体を動かしていたせいか、動きに誤差がありそれが違和感に繋がっているのだと思う。
スキルが無くなっても体が覚えている物なのだろうか? それより、なんでスキルが無くなったんだ?
色々実験するために、宝珠を使ってもう1度スキルを覚えようとするが、覚えることができなかった。
残った刀術に関しても、違和感がある。スキルLvが無くなり、刀術としか書かれていないのだ。
試しに木刀を持って、振ってみる。
特に違和感はない。むしろ、先ほどの事があったのか、前より良い動きをしている気がする。
武器によって違いがあるのか気になったので、いろいろと調べてみることにする。古今東西ありとあらゆる武器を召喚して、今まで使っていた武器と初めて使う武器を分けておく。
今まで使った武器は、違和感があってもそれなりに使える。だけど、妻たちとの模擬戦に使うには不安が残る扱いしかできていない。今までなら、ここまで不安になるようなことは無かったのだが、スキルが消えた影響かもしれないな。
その中で、1つだけ気にならなかったのが、俺がメインとして使っている大薙刀だな。刀とついているが、まったく違う武器なのに何でだろうな。
使った事のない武器を試していく。武器スキルを持っていたが、扱ったことがない武器は、素人同然の動きしかできなかった。スキルがあった時は、初めてでもそれなりに扱えたのに、適当に使うこともできない。
多く試した中で、2つだけ違和感なく使えた武器があり、鎖鎌と長巻と言われる武器だ。
鎖鎌は、鎌に鎖が付いている武器。言葉のままの武器だな。長巻は、柄の長い刀とでも呼ぶべきものかな。大きく分けると、長巻と薙刀は同じジャンルになるという人もいるが、武器としての呼び方が違うため、やはり扱い方には差が存在する。
個人的な話をすれば、刀と薙刀の間に長巻がある気がする。
違和感なく扱えた4つの武器に共通するのは、日本の武器という点だろうか。日本以外で使われていないわけではないが、武器の名前を聞いてパッと思いつくのは日本というだけで、他の国で聞いたら違う答えが返ってくるかもしれない。それだけの差しかない。そもそも、呼び名が日本語だからそう思うのかもな。
この4つだけは、いつも以上に扱えている自信がある。2つは初めて使う武器だけどな。
先ほどの現象のおかげで、俺のスキルに変化が起きたのだろう。そうとしか考えられないもんな。だとしたら、あの現象はなんなのだろうか?
こういう時は、チビ神だな。あいつなら何か知ってるかもな。
『……で、自分に何が起こったか知りたくて、私を呼びつけたってことね。見返りは?』
いつもお菓子を送ってるだろ。ゲームだってパソコンだって色々送ってるのに、協力してほしい事がある時は見返りを求めるのか? じゃぁ、お前のお願いを聞いたら俺も見返りを求めていいんだよな? 俺に見返りがないから、おやつを送るのを止めてもいいんだよな?
『加護をつけたんだから、定期的な見返りは必要でしょ。それにあなたからお願いするんだから、見返りを求めても当然じゃない?』
オーケー、じゃぁ、今後一切貢物をしないから、さっさと加護を解除してくれ。後、お前らのとこにある俺が送った機械、全部使えなくするけど問題ないよな?
『……コホン。えっと、何だったかな。武器系のスキルが無くなったんだっけ? それで1つだけ残ったと。そうなる前に、自分の影とボクシングのシャドーをしていたって? 最後の現象は分からないけど、おそらくスキルの統合が行われたんじゃないかな』
スキルの統合? まとまったってことか?
『厳密にいうと違うけどね。そもそも、あんたたちみたいに、無数の武器スキルを持っている人間っていないから、スキルが無くなったって言う事例は少ないけど、ある種の限界を超えた時に、不要なスキルが淘汰されることがあるらしいわ。
その世界にはいないかもしれないけど、他の世界では神と称えられるような強さを持っていた人間に、見られた現象だと思うわね』
神ね~。ありがたくもねえな。それに、統合されようがされまいが、俺は俺だし、みんなの力を借りれば、この大陸の統一なんて難しくは無い。面倒だからしていないだけでな。
まぁ、体に害のある事じゃなさそうだから、ボチボチ調べてみるわ。いつも通りおかし送っておくから、今度は調子に乗るなよ。
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