2300話 思ったより酷い模擬戦
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娘たちの乱取りが始まる……その後ろで、下の子たちは未だにじゃれ合って遊んでいる。たまに見よう見まねでやった投げが成功して、キレイに投げられてパタンとスライムの上に落ちると、何か面白かったのかもう一度再現しようとする姿が見られる。
妻たちの準備も終わり、子どもたちが同時に違う母親へ向かっていく。
出会い頭に肩に拳を突き立て、妻たちの体勢を崩した。意外だったことと、急に痛みを感じて驚いたのだろう。少し体が硬直してしまい、簡単に投げ飛ばされてしまっていた。
奇襲の意味合いも強かったので、今回は成功だろう。きれいに3人ともが投げ飛ばしていた。
周りから見ていると何が起きたのか分からなかったため、試合を見ていた妻たちに色々質問されていた。話を聞いて納得したのか、次にどう対応するのか考えている表情をしている。
再び乱取りが始まると、やはり戦闘経験も多く、俺に対してルールを無視する攻撃を当たり前にしてくるような妻たちなので、こういった状況に簡単に適応してしまった。
とはいえ、まだ反則とは言い難い方法で攻撃しているので、戦闘経験が生きているというんだろうな。
妻たちが反則をしていない理由は、ローキックという名の足払いなので、反則とは言えない。当たる寸前まではローキックに見えるのだが、当たる瞬間は土踏まずや足の裏が当たっていて、柔道において反則とは言えない範囲に収まっている。
足払いでも足の甲側が当たればほぼ反則となり、側面が当たると反則を取る審判がいるが、そんな審判でも今回の足払いを反則にはできないだろう。
そしてこの足払いは、通常のローキックよりは断然威力は下がるが、それでも妻たちの繰り出す足払いなので、10分もしないうちに……
ミーシャたちは立てなくなってしまう。
痛くて立てなくなってしまっているが、妻たちは戦闘態勢を解かないで子どもたちを見ている。場所が違えば、ただの虐待に見えるが、子どもたちが望んだ訓練で子どもたちが傷付くことは当たり前なんだとさ。
俺にはできない対応だな。もし俺の意思を無視してそんなことになれば、俺は前みたいに暴走するだろう。それは妻たちに対するモノより、もっと苛烈な拒否反応を起こすのは分かっている。
子どもたちに比べて妻たちが大切じゃない、とかそういう意味ではない。妻たちも子どもたちも俺からすれば庇護対象ではあるが、どちらが上に来るかと言えば、親が絶対に守らなきゃいけないのは子どもだ。
父親母親は関係なく、親は子どもを守るべきである。そう考えた時、どうしても妻たちのランクは少し下がってしまうということだ。
ここまで苛烈な訓練を施せるのは、妻たちならでは何だろうな。俺は、子どもたちが傷付く姿を見るだけですぐにでも助けに行きたくなってしまう。
そういった行動をとるとバレていたので、既に俺はスライムたちに体を抑えられており、他の従魔たちも協力して俺が動かないようにしている。
俺も気合で気持ちを抑え込んでいるので、今の所みんなには迷惑をかけていない。だけどすぐに回復をしてあげたいが、妻たちも回復魔法はできるので、俺が出る必要はない。ネルもいるので、なお皿俺の必要はないんだけどね。
そういうのは気持ちだからな。
痛みをこらえて立つが、既に足を削られた後なので、すぐにまた倒れてしまい。子どもたちは、ギブアップを宣言した。
すぐに妻たちが回復へ移動して、子どもたちを褒めていた。
子どもたちは、悔しそうな顔をしていた。自分たちは先ほど反則まがいなことをしたが、母親たちは反則をせずに真正面から正攻法で自分たちを崩してきたので、その差に嫉妬しているのだろう。
年を考えれば、これだけ動ければ十分すぎるほどなのだが、この子たちの向上心がすごいのか、これがこの世界では普通なのか……俺には分からない。多分でいうなら前者だと思うけどね。
回復をしてもらった子どもたちは、自分の動きを確かめて問題ないと分かると乱取りをまた始める。
子どもたちは足を削られないように、足払いが来たら足を浮かせ足の裏で足払いを受けている。これだけ早い攻防で、正確に足の裏で受けるってすごいな。でも、足ばっかに気を取られてると……やっぱり投げられた。
意識が下に集中したせいで、簡単に投げられてしまったのだ。
戦闘経験の差もあるだろうが、慣れないことをして自分たちのしたい事が出来なくなってしまうのは、仕方がない事だろう。
何度も何度も母親に向かっていく姿は、どこぞの訓練狂に見えなくもないが、苦しそうな顔はせずに笑顔を絶やさず挑んでいるな。
まだまだ子どもなのに、すごい向上心とヤル気だな。訓練が楽しいのかね?
子どもたちの将来少し不安を覚えるが、この子たちの安全がそれで買えるならもっと厳しくする方がいいかもしれないな。
万力で固定されているかの如く固定されている俺の体……もうちょっとだけ動きの制限を解除してもらえないだろうか? なんかね、見えない土の中に埋められている気分になるから、マジで嫌な感じがするんだよ。
絶対に我慢できなくなるから駄目だと、ダマを通してスライムたちが言ってきた。妻たちがスライムたちに命令していたようで、俺の行動制限は解除されなかった。
おやつの時間まで、子どもたちはローキックのような足払いと、打撃による崩しを使っていたが、母親たちの防御を抜けることはできず、反対に足払いに合わせて反撃をくらう姿が見られた。
戦闘経験の差もあるだろうが、やっぱりレベルによる恩恵が一番大きな気がするな。集中すれば、その恩恵を受けるのか、子どもたちの攻撃が一切通らなくなった。余裕があるのか、打撃による崩しには手を掴んでそのまま投げる形になっていた。
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