2294話 延長戦のオーバータイム
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みんなとの模擬戦も終わり、総括も終わったところで解散となる予定だったが、妻たちの中では不完全燃焼だったようで、投げ技をもっと受けたいということになった。
さっきから十分にコンビになった2人で投げ合っているんだから、俺に投げてもらう必要性は無くないか?
そんなことを考えていると、スキルの知識通りにしか投げられないから、もう少し色々体験したいと詰め寄られてしまった。
俺は長期休みで明日も、子どもたちの訓練まですることは無いけど、君たちは自分たちで持ち場を作って通ってるんじゃなかったか?
そんなことを考えたが、睡眠時間は4時間もあれば問題ないから、もっと付き合ってほしいだってさ。
年少組は元々持ち場もなかったのだが、気分次第で決めていた場所に向かうようだ。2~3日睡眠時間が短くても、活動に支障はないからもっと経験させてほしいんだとさ。
模擬戦形式でやるなら、1対1じゃないと難しい事を伝える。2対1となると、どうやって勝とうか頭を悩ませ、投げ技の範囲も狭まってしまうので、投げられる経験がしたくて模擬戦形式で行うなら1対1にしてほしいとお願いする。
すると、模擬戦形式でなくてもいいから、とにかく色々な投げを経験したいと言ってきた。
なるほどね、とにかく経験値を増やして、対抗できる方法を探したいってことだな。なら、投げられる前提で俺と組み合って、妻たちは反撃せずにそのまま投げられる方式にしよう。
この方法なら俺の体力が尽きるまで投げ続ける形になるが、余計なことを考えずに投げることに徹せられる俺にも旨味がある。
スキルとしてある知識を訓練で使い、実用性のあるものに変えられるからこちらとしても嬉しい。実用性のあるものになれば、応用もそのうちできるようになると思うので、良い事しかない。デメリットをあげるなら、相手が投げられる前提だから、実戦でどこまで役に立つか分からない所だな。
基本ができていなければ実戦も応用も出来ないので、妻たちに手伝ってもらう形になるが、向こうも経験したいということで利害は一致している。
そんなこんなで始まった、連続1対1の投げ技体験会。
妻たちは投げ技を体験するために、無駄な抵抗はせずに投げられてくれるので、色々な投げ技を仕掛けることができた。
柔道着ではないので、それっぽい投げ方でお茶を濁しているが、
講道館の柔道技全68本の内
手わざ16本
・一本背負投
・踵返
・肩車
・小内返
・朽木倒
・双手刈
・帯落
・帯取返
・背負投
・背負落
・隅落
・掬投
・体落
・内股すかし(うちまたすかし)
・浮落
・山嵐
腰技10本
・跳腰
・払腰
・腰車
・大腰
・袖釣込腰
・釣腰
・釣込腰
・浮腰
・後腰
・移腰
足技21本
・足車
・出足払
・膝車
・跳腰返
・払腰返
・払釣込足
・小外刈
・小外掛
・小内刈
・送足払
・大外返
・大外車
・大車
・大外刈
・大外落
・大内刈
・大内返
・支釣込足
・燕返
・内股
・内股返
47本を組んできた相手に合わせて使っていく。
正直、知識としてあっても、素人には違いが良く分からない投げ技も多くあっているのか心配になる。
特に返し技は、体をコントロールしてそれっぽい足の動きになったとこで使っているので、返し技と言っていいのか不明である。ほとんどできなかったので、相手が仕掛けてこなければ、まず条件を満たせなそうだな。
帰し技だから当たり前だとは思うが、それっぽい形で体験させられてよかったというべきだろうか。
浮落しや体落しは、子どもたちにも使っていたので何となく分かる。後は、一本背負投げなんかも、柔道の花形のような技なので分かりやすい。それ以外で、明らかに違いが分かったのは、肩車・諸手狩り・山嵐といった特殊な投げ技だろう。
それ以外には、何となく同じような投げ技があった気がする。
その道の柔道家の人に聞けば、まったく違うのだろうが、同じような技の派生形に感じてしまっている。
山嵐も素人目で言えば一本背負いに見えなくもないが、実際にかけてみるとその違いが良く分かる。おそらく正解ではないが、さっき使った殴ってきた拳の勢いを殺さずに手首を掴み、懐に潜り込むように投げたのが山嵐に近いと思う。
そもそも、柔道の技には掴み方があってそれに沿って投げているので、俺のような投げ方は普通ありえないんだけどね。
そんなこんなで、10~15秒に一度投げて、次々に妻たちの相手をしていた。
大体30分くらい投げ続けたところで、俺が疲れてきたのでさすがに休憩をさせてもらっているところだ。
妻たちは、この8分の1の負担なので、まだまだ元気である。そのため、俺が休んでいる間は、先ほど受けた投げ技を再現してみるようだな。
妻たちが投げては投げられる様子を見て、原理は分からずともどうすれば投げられるのか分かり始めたようだな。
体が大きすぎても、人型以外の魔物でも使いにくくなる柔道の技だが、対人戦で相手が同数以下であれば、かなり有利に立ち回れるようになる攻撃方法だろう。
そんなことしなくても妻たちは勝つだろうが、妻たちが有用だと判断すれば、柔術が兵士たちに取り入れられることになるだろう。ヴローツマインのゴーレムに使った関節技モドキは、実際に兵士たちの訓練に取り入れられているしな。
有用であるなら、柔術も同じ道をたどることになるはずだ。それに、今は任務に出ていてほとんど残っていない暗部の鬼人たちが、すでに学び始めていると聞いている。
暗部は魔物より、人間を相手にすることの方が多いので、特に有用な技術となるだろう。特に締め技や捕縛術は、情報を得るために相手を無力化する時に使う技としては、かなり優れている。
さすがに22時を回ったので、この辺で訓練は終わりにしてお風呂にでも入ろうぜ。夕食前にシャワーを浴びてはいるけど、めっちゃ汗をかいし体を動かしたから、しっかりと湯舟に浸かって体をほぐしたいところだ。
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