2279話 スキルって結局何?
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子どもたちが投げ始められてから1時間は経っただろう。
ミーシャたちが1人100回は投げられたところで、いったん休憩することになった。
俺は次々来る子どもたちの相手で、気遣いながら投げていたので気付くのが遅れたが、子どもたちの体力がかなり減っており、動きが遅くなっていたので、妻たちが止める形で休憩となった。
自然回復を高める回復魔法と、水分と栄養の摂取で子どもたちの体力はすぐに回復する。
100回近く投げられたが、子どもたちはやはりと言っていいのか、どういう原理で投げられているのかを分かっていなかった。俺も理解しているかと言われればノーと言うしかないが、相手の体勢を崩して誘導することで投げているのは分かっている。
子どもたちであれば片手で支えることもできるので、始めにミーシャとスミレを組ませて、ブルムは外から見るように指示する。
ゆっくりした動きで再現するので、早い時と勝手は違うが、大きく体勢を崩させることで投げを成立するように誘導してみる。
初めはスミレが投げるように誘導して体験させると、ミーシャは俺の時と同じように投げられて悔しそうにしているが、投げた本人であるスミレは首をかしげている。
よくわかんないけど投げれた……というのがスミレの感想だ。
俺が手を貸していたとはいえ、俺のように投げれたことを不思議に思っているようだ。
ブルムもやってみたいということで、今度はスミレが投げられる番。
ミーシャも投げて、全員が1回ずつ投げたのだが、3人揃って首をかしげる結果になった。
その後もローテーションを組んで、1時間ほど投げ合い続けるても、首をかしげる仕草が一向になくならなかった。最後の方では俺の補助を無くしても、不格好ではあっても投げられたのだが、動きを真似しただけで分かって動いているわけではないようだ。
一連の流れのようなモノを覚えて、それを真似ているだけなので、応用がきかない技術としか言いようがないようだな。
本人たちも理解をしようとしてはいるけど、細かい事は分からないようだったな。
ん~これは、色々すっ飛ばしすぎて、基本が疎かになりすぎているから分からない可能性があるな。必要な技術だけ覚えさせようとしたけど、それじゃあダメみたいだな。
今日の訓練は終わりになるから、明日の訓練は柔術の基本から教えることにするか……
俺が基本というモノを知らないから、本や動画を漁って調べて明日の午前中に妻たちに手伝ってもらうかな。
まだ慣れていないので、子どもたちだけで柔術の訓練をすることは禁止した。スライムやケットシー、他の従魔たち、妻たちの誰かが付くとは思うが、興味があってもやらないように厳命しておく。
子どもなので心配になるが、夕食が終わればお風呂へ入り、その後はゲームをして自分たちの部屋へ戻っていった。
俺は、子どもたちが遊んでいる間に、柔術や柔道の情報を漁っていた。歩き方や体捌きか……そりゃそうだよな。刀術にだって基本の足捌きはあったし、何よりも動作の基本は足からだもんな。
ん~、妻たちにも覚えてもらって、協力してもらう方が良さそうかな?
ダンジョンの中でやれば、習熟スピードは地上の何倍も早まる。それを考えたら、子どもたちが足捌きを覚えている間に、妻たちの基本が終わったりしないかな?
俺は、集まれるメンバーだけでいいので、妻たちに集合をかけてみる。
子どもたちと同じように柔術を学んでくれる人を募集した。
全員一応前向きなのだが、自分の仕事もあるので手が空いているメンバーから柔術を学ぶ方がいいだろうと。最終的には全員が学びたいと思っているみたいなので、その時間もつくっらないといけないな。
今回重要なのがある程度まとまった時間が無いと、覚えるのも大変だろうとのことなので、妻たちの中でも割り振られている仕事の少ない年少組と呼んでいた妻たちが、参加できるときに参加する形になった。もちろん、他の妻たちも参加したければ自由である。
年少組を選んだ理由がもう1つある。素手で戦う事が多いシェリルとネルがいるので、同じように訓練して無手で戦う事が全員出来るからだな。柔術というより柔道に近い事を覚えてもらうので、なおさら無手と相性がいいと思っている。
普段はこの時間から運動することは無いのだが、急遽検証したいこともあるので、年少組の妻たちと畳の訓練場へ移動する。
いつもの装備に着替えてもらい、俺は年少組の妻たちと向き合う。
今回検証したいことは、スキルを自力で覚える条件だ。
前から思っていたのだが、スキルを覚えるのにも、スキルのLvをあげるにも、ずっと使っていれ覚えたりLvが上がったりすると言われていたことに疑問を覚えていた。
そもそもスキルを覚える時に使っている宝珠だが、あれを使うと知識が身につく。DPでLvをあげると、さらに知識が身につく。それに伴って、体の動かし方まである程度身につく。
じゃぁ、宝珠が無くても知識と動き方が分かれば、簡単にスキルを覚えられてLvが上げられるのではないかという仮説だ。
柔道や柔術に関しては俺も今の所覚えていない。なので、俺が覚えて知識として学んだことを、妻たちに教えるとどうなるかというモノだ。
その結果は思っている以上に良かったが、結局のところ動きを覚えて実践するだけではスキルは生えてこなかった。
良く分かったようで分からなくなった。スキルの獲得条件最大要因は、動きができるようになるかどうかということだろう。今までの話や経験上、知識が無くてもスキルは身につく。知識は、体を動かすためのサポート的役割だと考えられる。
知識が無くても大丈夫な理由は、一種の型のようなモノが実践できるかというモノだ。単純に評価できるものではないが、空手で例えれば正拳突きができてスキルを覚え、色々な型を覚えていくとLvが上がる。
空手の昇級に合わせてLvが上がっていくのに似ている気がする。技術だけが物を言う感じなので、筆記試験は無い感じの昇級試験かな。
3時間で4人がスキルを覚えられたと考えれば、異様なスピードだろう。ダンジョンの効果を考えても、1週間はかからずに覚えたような物だからな。
ここまではやく覚えられたのは、他のスキルも覚えており、体を動かす基本ができていたからだとも考えられる。
ある分野で超一流の人間は、他の分野でもそれなりに結果を発揮できるというモノに近いと考えられる。
明日は、子どもたちと一緒に妻たちも一緒に訓練をするので、娘たちも喜んでくれるかな。
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