2272話 変わらない日常
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次の日俺は、シンラたちの突撃を受けて目を覚ます。
顔や胸を叩いただけでは起きなかったらしく、シンラがスライムを飛び台にして俺のお腹にダイブしてきたようだ。それも3回目……
どれだけ深い眠りだったのか、自分でも恐ろしくなる。妻たちに搾り取られすぎて、最終的には朝みんながいなくなってから、気絶するように眠ったようだ。
出かける前に俺の体をきれいにしてくれる当たり、配慮してもらえたとは思うが、それなら俺がお風呂にはいれるだけの体力まで搾り取らないでほしかったところだ。
もう少し寝かせておくか迷ったらしいが、ブラウニーが様子を見に来た時に腹を鳴らしたらしく、食事をさせた方がいいと判断して、シンラたちに起こす仕事を与えたようだ。
プラムとシオンは、シンラのダイブに拍手をしているが、力を入れてないときついから止めてほしいんだが……
でも、この起こされ方は、なんか懐かしいものを感じるな。ミーシャたちも今のシンラたちくらいの時に、俺の体の上に飛び込んできたことがあった気がする。姉弟ということだろうか? ミーシャたちが教えるとは思わないので、自分たちで考えたんだろうな。
1回で起きなかった人間が何を言うかと思われるが、お腹の上にダイブされるのはしんどいんだよ。本当に止めてくれ。
お腹の上で暴れているシンラを捕まえると、顔の左右から抗議がされるが無視である。俺がやられているのに、抵抗したら反対に攻撃されるとか意味わからんし!
その様子がおかしかったのか、キリエが苦笑しながらシンラを抱きかかえてくれた。抗議の顔叩きは無くなり、自分たちも抱っこしてほしいと、近くにいた他の母親に手を伸ばしている。
くっ付いていられなくても、同じことをしてもらいたいのかね?
抱っこしてもらったプラムとシオンは、満面の笑みになっている。
ミーシャたちの時は3人で俺の事を起こしに来てたけど、シンラたちは何でか知らんが誰かついてきてる気がするな。先日は3人だけだったか? スライムはいた気がする。任せられない理由でもあるのかね?
シンラたちの後について歩きながら考えている。
そう言えば子どもたちは、母親たちなら誰に抱っこされても嫌がらないな。好みがあると思ってたけど、そんなことはなさそうだ。プラムとシオンだけ、時と場合によって俺の事を滅茶苦茶嫌がるくらいだな。
そう思った瞬間に、両膝と両手をついてガックリとしてしまう。プラムたちに嫌われるようなことしてないけど、シンラとのことで何故か目の敵にされるんだよな……別に取ったりしないんだから、もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃないだろうか?
背中が重くなる感覚で現実に引き戻された。
俺の背中に猫たちが乗っている。それは感触で分かるのだが、始めに乗ってきた奴らが落ち着こうとして、香箱座りか何かを始めている。気付いたら、おそらくだが5匹の猫が俺の背中でくつろぎ始めた。俺にどうしろと……
このまま歩くわけにもいかないし、立とうとしたら絶対に爪を立てられるパターンだ。
次の瞬間、一斉に俺の背中から猫たちが移動した、思いっきり俺の事を踏み台にして、食堂とは反対の方向に移動していった。食事はいいのかね?
背中から猫たちがいなくなったので立つと、前からスカーレットがやってきた。
なるほど、スカーレットの気配を感じてあいつらは逃げたんだな。逆らってはいけない人をきちんと認識しているあたり、猫らしい行動だな。
「ご主人様は優し過ぎるんですよ。猫たちには、いけないことはいけないことだと分かってもらわなければなりません。私たちが怒ってもご主人様が甘やかすので、一時的な効果しかないんですから。怒るところは怒ってください。猫もバカではありませんので言う時は言ってください!」
日本にいた頃さ、猫好きだったけど飼えなくて泣く泣く諦めてたんだよな。そのせいもあってか、猫ちゃんというよりは猫様って感じで、対応しちゃってたからか、俺の立ち位置が猫たちより低く見られてるんだよな。
犬なんかにある、よく世話をしてくれる家族が自分より上で、遅くに返ってくる父親は自分の下みたいな、あの上下関係が猫たちの中にはあるんだよな。
時々シルキーやブラウニーたちが正してくれるんだけど、すぐに元に戻ってしまうんよな。
そして悲しいのが、よく世話をしている子どもたちが猫たちより上なので、その子どもたちに色々されている俺は、やっぱり自分たちの下だと猫たちが思うことなんだよな。
色々な要素が噛み合って、俺の立場がなかなか上に行かないのだ。
だからと言って、弊害があるかと言われれば全くないので良いのだが、おもちゃのようにして遊ぶのはやめてほしいところだな。最近は、鬼ごっこもしていないし、久しぶりに猫たちと遊ぶのもいいかな?
のんびりと食堂へ向かったせいか、シンラがプリプリと怒っている。
意地汚いってわけじゃないけど、食事の時だけ性格が変わる感じなんだよな。地球にもハンドルを握ると性格が変わるやつがいたけど、心境はあんな感じなのかね?
今日の俺の昼食は、いつも以上に多いな。精力が付く食べ物が多いのは、妻たちからのアシストだろうな。搾り取られたから、しっかりと回復するようにってことだな。
さて、出された物は食べる! 量は食べられる範囲で準備されるはずなので、足りなければ追加という形になるだろう。そして俺は、昼からひつまぶし、ウナギ多めを食べ始める。
本当に勢力が付くのか分からんが、こういう時はウナギの出る確率が高いんだよな。前なんて朝食にも出てたしな。
ひつまぶしって、味変できるのがいいところだよな。薬味やだしを使って、モリモリと食べれてしまう。
次に準備されたのが、生牡蠣だ。
好みの問題で、うちではあまり生は出ないのだが、俺は好きなので俺だけが食べる時は生が多かったりする。食中毒の問題は育て方もそうだが、魔法でも原因となる物を消しているので、日本産の物よりも安全となっている。
問題は無くても、やっぱり魚の切り身の刺身とは違って、牡蠣は抵抗ある妻たちも多いようだ。お酒好きの3人は、問題なく食べるから何が基準なのかはよくわからないな。
今日はいつもの倍くらい食べている気がする。それでやっと腹八分、満腹を感じるラインになったようだな。最後に、アイスをよろしく!
子どもたちが食べていたのを見て、俺も食べたくなったから注文したものだ。
俺が食事を食べ終わるころには、シンラたちはお昼寝をしていた。さっき俺の上に乗っていた猫たちは、シンラたちが救出したのか、シンラたちの周りで寄り添って寝ている。
悪さをして食事抜きになりそうだったのを、仕事だと言って面倒を見たんだろうな。
猫たちにとっては、神様みたいな存在に見えているかもしれん。
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