2261話 急な変更
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リンドとカエデが嬉しそうに、初めて見るお酒について語り合っているが、ただそれだけで話の内容が尽きないんだから、ドワーフって本当に種族からしてお酒が好きなんだろうな。それを決定的にする出来事が現在進行形で、目の前で起こっているのを見れば、俺の感想は間違っていないと思う。
気付いたらどこから現れたのか、ディストピアで働いている半数以上のドワーフたちが集まってきているのだ。老ドワーフと俺が呼んでいる、初期の段階でディストピアに来たお爺ちゃんたちは、全員揃っているから笑えない。
匂いなんて届いていないのに、何でここに集まっているか不明だ。ドワーフたちが働いている場所は、特に匂いがいろいろ漂っているのにおかしな話だよな。
夏の夜に焚き火に突っ込む虫みたいに集まってきよる……
普段の動きはゆっくりなのに、お酒が絡むとビックリするくらい速い動きになるんだから、お酒は人を豹変させるということだろうか? 絶対に違うけど、しっくり来てしまうこの状況には苦笑いが出てしまうな。
これは収拾がつかないと判断したシルキーたちは、放置することを決め、夕食は外でバーベキューにするから、それはでは騒がずに大人しくしているように命令が出る。
全員が乱れなくピシッとした姿勢で返事をしていた。
シルキーたちを怒らせると、後が大変だからな。身に染みているドワーフもいるだろうし、それを見て絶対に怒らせないと決意するドワーフもいただろう。
普段は統率の取れない物作りのおバカたちだが、こういう時は揃うんだから面白い。
さて、このままここで休む雰囲気ではないので、移動することにしよう。お酒がここに置かれている以上、ドワーフたちは梃子でも動かないので、俺が移動する方が楽なのだ。酒が絡んだドワーフたちは、面倒だしさっさと移動するべ。
今日の夕食の事を、子どもたちにでも知らせに行こうか。この時間なら、自分たちに部屋に戻っていそうだから、子ども部屋へ向かって歩き出す。
子どもたちを道中で発見したので、どうしたのかと思ったら、ただトイレから帰ってきただけだったようだ……でもさ、なんでシンラとプラムとシオンが一緒なんだ?
女性が大半の家だけどトイレは男女に分けてあるから、連れションしに行くのもおかしな話だと思うのだが。
シンラたちと一緒に子ども部屋に向かうと、子ども部屋ではミーシャたちが頭を突き合わせて何かしているみたいだ。
俺が一緒に来たことも分かっているが、軽く挨拶をすると再び話し合いを始めた。ぞんざいに扱われているような気がして、ちょっと傷心気味。
シンラたちは姉たちの事を放置して、3人で遊び始めた。遊ぶと言っても漫画を読み始めただけだが、プラムとシオンがシンラを背もたれにして2人で1つの漫画と、シンラが1人で漫画を読んでいる形だな。
シンラと同じのを読むかと思っていた2人だが、別々の物を呼んでいるのだから珍しい気がする。
背もたれにしあっている形だが、2対1なのでシンラがやや押され気味か?
くるしている様子を見ていると、ミーシャたちの話し合いが終わり、何か用事があってきたのかミーシャたちに聞かれた。
おっと、忘れるところだった。
今日の夕食がバーベキューになったから時間になったら庭に出るように伝える。食堂に行っても、ブラウニーたちが庭に誘導してくれるから問題ないが、一応変更になった事を先に伝えておく。
急なバーベキューと聞いて、ミーシャたちは母親たちが何かしたのだろうと予想を付けていた。急な変更の場合、多くはカエデとリンドが関わっているから、慣れたものだな。
シンラたちはバーベキューと聞いて、今から何を食べようか考えている感じだな。
普段とは違う食事なので、美味しく感じるから不思議だよな。実際に美味しいんだけど、いつも以上かと言われれば判断に困る。
雰囲気など特別な感じがあるから美味しく感じるので、実際の所はいつもより美味しいかは分からない。でも、食事は雰囲気も大切だからな、美味しく感じるのなら本当に美味しいのかもしれない。
レストランで、原材料100円程度の料理が10倍の1000円を超える。人件費やその他諸々の経費の関係で高くなっているのもあるが、お皿や盛り付けなどをプラスしていくと、妥当な値段になるだろう。
オシャレなカフェと、汚い料理店で同じ料理を1000円で出しても、美味しさが変わるものだ。料理を食べるには、雰囲気は大切ということだな。
そういう意味では、雰囲気の部分までシルキーたちに管理されている俺は、幸せ者の様な気がするな。毎食美味しいものを食べさせてもらっているし、希望に合わせた料理を当たり前のように作ってくれる。
専属シェフが付いている家だって、ここまで無茶振りされれば嫌気がさすだろうが、ブラウニーたちは嬉々として家事をしてくれるんだよな。
本当に恵まれているな。
もう夕食に頭の向いている下の子たちを、姉たちが微笑ましい様子で見ているところが、何となくほっこりとした。
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