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ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


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2256/2519

2256話 想像してたのと違う!

アクセスありがとうございます。

 ゴツゴツした壁を登り始めると、足元のあったスタート地点が壁の中に収納された。どういう形でスタート地点が無くなるかと思ったら、壁の中にしまわれるタイプなのね。


 ロッククライミングの開始だ。


 俺にクライミングの知識は無いけど、有り余る身体能力で壁に張り付きながら、道順を慎重に選んでいく。いくら体力も筋力も常人離れしていても、制止状態を続けていると普通の人と変わらず疲れが溜まる。そこまで行く時間が多少長いだけで、どうにもならないこともあるのだ。


 技術がある人と比べれば、やはり身体能力だけという感じだな。


 しばらく壁に張り付きながら、次に移動する場所を考えながら、余計な思考をしている自分がいた。身体能力が高いせいか、余計なことを考えてしまう余裕はあり、クライミングの知識が乏しいので、どうやって登っていいのか良く分からない状態でとまっているせいもあるか。


 足場を思いっきり蹴って飛ぶこともできるが、ある程度の距離ならクライミングにジャンプする技術はあるらしいが、俺がやると10メートル先くらいまでは余裕で届くので、クライミングで体を動かす意味が変わってしまう。


 クライミングをやっている人と同レベルとは言えないが、それに近い形で体を動かしているので、反則技は使いたくないと思っている。


 ステータスを抑える腕輪をつけることも考えていたけど、あれをつけると差が激し過ぎて反対に危ないんだよな。今回は着けずに自分の意思で抑えながら、クライミングを楽しんでいる。


 一応、クライミングの練習に使われている壁を召喚しているみたいなので、地球にいる人の中でも上位の人間がクリアをできるコースなので、素人の頭ではコースが分からないっぽいんだよな。


 あの人たちってすごい体勢で登ったりするんだよな。どうやって張り付いているのか分からない状態で、ぴったりと張り付いてたりするからすごいよな。


 中腹で止まってしばらく考えてみるが、その道のプロでもさすがに5メートル先に飛ぶことは無いよな……あっても2~3メートルくらいだと思うんだけど、5メートルとかになると本当に命がけだよな……


 壁から手を離すという行為は、普通に考えれば自殺行為だからな。ここは訓練場だけど、現実のクライミング現場だったら、死ぬ可能性だってあるからな。しっかりと安全を確保して登るだろうから、本当に死ぬことは無いかもしれないけど、危険ではあるよな。


 おっと、視覚では分からなかったが、手を伸ばして色々な確認をしてみると、第一関節がやっと引っかかる程度の隙間があった。しかも入れられて指2本とかなり狭い。


 ここに指を入れるのはいいが、その後の事も考えて動かないと、その時点で詰むからな。指のかかるところの先をよく観察する。3メートルほど先にガッチリと掴めそうな突起がある。


 ん~進行方向を考えると左に指の隙間があり、そこから3メートルほど先に突起がある感じだ。


 左手で2本の隙間を埋めてしまうと、その後に手を伸ばすことができない。振り子の原理を利用する形にしても、左手をそのまま使うと右手で遠くを掴むことはできないので、左手を軸にして左手で使うという離れ業をしないといけなくなるんだよな。


 でも、右手で指を入れるには距離が遠い……勢いをつけて手を離した後に右手の指を入れて、更に振り子の反動で向こうに跳ぶ感じか? 左手を限界まで伸ばしたところに指を入れる隙間があるので、今の体制では右手を伸ばしても届かないんだよね。


 そもそもコースが違ったのか?


 失敗しても死ぬわけじゃないんだから、チャレンジしてみるのもいいか。


 場所を見失わないように左手を始めに入れておいて、右手の指を入れる前に素早く抜いて、ハンドをそのまま使って振り子の原理で突起まで……


 無理じゃね?


 できるとしたら、本当に神業じゃないか? 身体能力は高いので出来ないことはなさそうだけど、抑えながらやっているから、加減を間違わないようにしないとな。


 1・2・3……GO!


 左手の人差し指と中指を軸に反動をつけて移動する……ちょうど目線の高さに左手が来たところで、指を抜き右手の人差し指と中指を隙間に入れる。


 勢いを殺さずにさらに加速させて、目的の突起に手が届いた!


 成功した自分に少しビックリもしたが、俺の身体能力を考えたらできてもおかしくは無い離れ業だったと思う。左手で突起につかまっているが、上手く足を置く場所が見当たらなかった。


 ほぼ腕の力だけで壁に張り付いている俺だが、次の一手が思いつけなかったので、3分ほど粘ってから安全装置の水の中へダイブした。


 水から上がると、ブラウニーが声をかけてきた。


「ご主人様、失敗したのでノーカンになりましたが、ルール違反がありましたので注意してください」


 ……ん? ルール違反ってなんだ?


 そう考えていると答えをくれた。


 どうやら、指2本分の隙間のとことなのだが、少し力を入れ過ぎて隙間が広がっていたようだ。指の力だけで岩を削ってしまった形だ。指半分の幅ほどだが、壁を壊して進んだのでルール違反とのことだ。


 少し抵抗があった気はしたが、まさか岩を削っていたとは思いもしなかった。


 ダンジョンの機能ですぐに修理されたが、写真で見比べたところ……確かに穴が広がっていた、右手の人差し指が岩を削ったみたいだな。


 こんな感じでやろうと思えば、壁に指を突き刺して登ることも出来たりするんだよな。氷の壁にアイスピッケルとスパイクを突き刺しながら、登るような感じに近い事が出来るのだ。もし氷でやれば指の感覚がなくなるし、滑って落ちそうだけどな。


 あ~ボルダリングで、登る前に通れそうなルートを確認する作業があったっけな。スポーツ競技だからやっているのかと思ったけど、クライミングでも同じだよな。あらかじめ通れるであろうルートを確認しないで始めた俺って、バカなのだろうか?


 適当にやっても登れるだろうと思っていた……慢心は良くないな。


 体を魔法で乾かしてからスタート地点へ戻り、壁を見上げる。


 高さは約50メートルほどある。自然の壁を模して造られているから、手の届く範囲に何かしらの突起があると勝手に考えていたのも、よろしくなかったな。


 体を動かすだけのつもりが、予想以上に頭も使うスポーツだったことに今更気付かされた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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