2255話 自由な時間って
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昨日は一日中下の子たちと一緒に過ごしたので、なんか不思議な感じだな。シンラの意外な一面を見たし、プラムとシオンのいつもと変わらない様子も見れた。シンラは2人に苦労をかけられているが、思いやる一面もあるから面白いな。
くっつかれて大変だけど、家族として大切にしているのかね?
のんびりと休息の続きを取っていると、昨日の事が頭に浮かんだ。
ミーシャたちもシンラたちも、生まれてからずっと一緒にいるから、いなくなった時のことは分からないだろうけど、いて当たり前ということがどういうことなのか分かっているような感じだよな。
ミーシャたちはお互いに大切だと思っているようなので、一緒にいられるように努力している節があったな。シンラはプラムとシオンが適切な距離にいてくれることを、望んでいる印象だったな。そうでもなければ、ゲームの続きを一緒に見ようとは思わないだろうな。
俺がそれを子どもたちに教えるのは難しいが、兄弟姉妹このまま仲良く育ってほしいものだな。
子どもたちの新たな一面を発見した事を喜ばしく思っていると、ブラウニーたちに何も考えずにのんびりとするのではなかったのですか? と注意されてしまった。
そのつもりだったんだけどさ、何も考えないって思っている以上に暇でね……小説は昨日読み過ぎたので、妻たちから禁止令が出ているのからすることがないんだよね。
ブラウニーたちは、仕方がないですね……と言いながら、いくつかの選択肢を俺に提示してくれた。
ちょっと考えれば思いつくことでも、提示してもらえることはありがたい。
いつもの延長上と言えばそれまでなのだが、1つ目は小説はダメでもゲームは禁止されていないのでそれはどうか? 2つ目は体を動かす。運動や戦闘訓練などいくつか候補が上げられた。3つ目はディストピアの見学兼見回りのようなことを提案された。
1つ目2つ目は分かるが、3つ目はどちらかというと仕事に含まれるから、グリエルたちに怒られるんじゃないか?
休むことを半ば強制的にお願いされているので、仕事に関係することは依頼がない限り、一切しないように言われているんだよな。
仕事の一環としてなら問題だが、ディストピアの住人と触れ合うのは、街のトップとしてではなく、街に住んでいる人間として当たり前です! と言われれば、理論の穴を突いた提案だということに気付く。
多分だけど、触れ合ったとしても文句は言われないだろうが、グリエルとガリアの視線が厳しくなりそうなので、隙間を突いたような3つ目の提案は、魅力的だが破棄する方が安心だろう。
となれば限られた選択肢の1つ目と2つ目を実行するか。少し運動不足だと感じていたので、自由に体を動かすことにしようかな。
そう思い、体を動かせる場所へ向かおうとすると、住人たちが使っている運動スペースではなく、ダンジョン農園の一角に作った場所で運動するように言われる。
1人で体を動かすのは寂しいと思い、スポーツジムへ向かおうとしたのだが、住人たちと触れ合うという裏の目的があったのがバレたのか、俺と家族専用のジムでお願いしますと先回りされて言われた。
俺の心が読まれたのではなく、俺が気にしなくても俺がいることで、住人たちが使い難くなるのでやめてくださいとの事だ。さっきまで、裏をかいた理由で住人と交流するような話をしていたブラウニーたちだが、まったく反対の事を言ってきた。
住人でも子どもたちや海産物エリアのおばちゃんたちは、フレンドリーに接してくれるが、それ以外の住人たちは、俺がいることで気を使わせてしまう結果になるから、ゆっくりするのであれば専用のエリアへ行った方がいいとのことだ。
なるほどね。同じ空間に偉い人がいたら、気にしなくてもいいと言われても気になってしまうよな。無礼講の飲み会といわれても、偉い人がいると恐縮してしまう社会人と同じ感じだな。
それは俺の望むことではないので、専用のエリアで黙々と体を動かすことにするかな。
運動しやすい格好に着替えて、久しぶりの運動スペースへ来てみた。ダンジョンの中ということもあり、汚れた形跡はないが、物も整っていることからそれなりの頻度で使われている印象だな。
妻たち以外にも、子どもたちもたまに利用するようで、整理整頓は常日頃から心がけていると、御付きのブラウニーたちが教えてくれた。
少し体をあっためるために軽く走ることにした。俺の感覚的にはジョギングだが、地球ならアスリートの全力と同じレベルくらいのスピードが出ている。
30分足らずで10キロメートルを走り終えた俺は、温まった体をほぐすようにストレッチを開始する。
嘘か誠か分からないが、体を温める前にストレッチをすると、体を痛める事があると聞いたので、体を少し動かしてからストレッチをしている。子どもたちは、よく体を動かしているので問題ないだろうが、俺なんかは運動らしい運動をしていないことも多いので、いきなりは怖いのでやめている。
回復魔法やポーションで何とでもなるからと言って、怪我をしたいわけではないので、こういう時は慎重になるのは当たり前だと思う。
急に戦闘となれば話は別だが、可能な限りは体を軽く動かしてからストレッチをしている。
専用エリアのボルダリング施設……うん、これはボルダリングじゃねえな。
俺の目の前にあったのは、どう見てもランダムに突起が配置された崖だった。
ゴツゴツした壁に、ほとんど平面に見える崖の所々に亀裂や小さな突起がある壁、反り返っている壁……などなど、限界に挑戦するような形をしている物もあった。崖と言ったが、ほとんど壁なんよな。
この世界で上位の人間なら、このくらいは簡単に登れそうではあるが、技術もないのに登ろうとすれば、失敗しそうな感じがする。
落ちても平気なようにしたがプールみたいになっている。かなり深いようだが、落ちた時の事を考えているのだろう。普通ならクライミングロープなどを使って、安全に下りられるようにするのだが、ここでは自由落下に任せて水の中に飛び込む形になっている。
久しぶりにここへ来たが、俺の知っている場所と違うんだよな……
体が濡れたら危険なのだが、この世界には便利な魔法があるのだ。体や服を乾かすことなんて朝飯前である!
スタート地点も登り始めると、隠される仕様になっているので、場所によっては崖に少しぶつかる可能性はあるが、危なくなれば軽く蹴って離れれば、安全に水の中へ落ちられるので危険は少ないかな?
まず試しに、一番簡単そうなゴツゴツした壁から登ることにした。
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