2237話 色々迂闊だった
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避難民たちの街は、工作員を使って暴走させて、原因だけを刈り取ってからこちらへ再編しようと思っていたが、チビ神の呪いがあまりにも無慈悲で、工作員たちの動きがほとんどない。
自分たちの命を長らえているが、一般人には原因不明で治療法のない神の呪いなので、生き地獄という話もある。トイレから出られないだけでなく、二日酔いを強烈にした気分の悪さが四六時中襲い掛かってくるのだとか。
死ぬのは一瞬だけど、チビ神の呪いは生き地獄を味わせるための、最強の手札かもしれないな。
レイリーが仕事にならないと言って、孫のリリーに相談してチビ神と連絡を取ったそうだが、どうやらチビ神でも手に負えないらしく、何とかできるのは創造神様くらいだろうと言われたそうだ。
神の呪いは、呪った時の存在値の強さに比例して、対象の数や呪いの強さ、時間で頭割りするとの事なので、神界一のチビ神に呪われた人間は、回避する方法など無いだろうだってさ。
条件が、対象は不明だが、呪いの強度としては大して強いものではないので、かなりの人数に長期間呪いが降りかかっているらしい。
現在も対象が増えているのは、使いきれなかった存在値分を使って、新たに呪いが発動しているので、本当にどうしようもない状態らしい。
画策した国のトップ陣は軒並みこの呪いにかかっているので、国政が滞り反乱やクーデターも起きているらしい。一度反乱が成功しかけたが、もう一歩のところで呪いが発動して、クーデターも不発に終わっているそうだ。
今は、良心を持っている者たちで国政を動かしているが、身分をかさに国政へ食い込んでくる馬鹿どもも多く、色々と苦労しているそうだ。ついでに言うと、身分をかさに着ている奴らも、何故か呪いの対象になっている。
それでも、かなりの貴族が諦めておらず、下痢の呪いが拡大しているらしい。
ああいう人種って自分の都合のいい事しか信じないから、自分だけは問題ないと言って強引にきがちだよな。どんな世界でも、変わらない法則みたいなもんだな。
この調子だと、隣国から攻め入る前に国が崩壊しそうだと、帝国からグリエルも相談を受けているらしい。
帝国は、攻め入ることの支援と事後処理を条件に、領内の平定に力を貸してもらう話になっているが、この調子だと片方の条件がうやむやになってしまい、契約が破綻してしまうことを心配している。
そして隣国は、色々便宜をはかることで、領内に商会を出してもらう話が無くならないかを心配していたらしい。
俺的には、面倒な事後処理を担当してもらえるだけで十分なのだが、契約上の話で複数の条件があった場合、1つでも履行されないと契約が無効になることもあるらしい。
悪徳貴族なんかは、この契約不履行を上手く使って、追い落としたい人間なんかを良くハメているため、それを心配しての事らしい。
それを聞いたときに、グリエルもガリアも皇帝や隣国の王にキレ散らかしたらしいが、今は落ち着いて話し合いをしているようだ。
キレた理由は、俺と悪人を一緒にするな! ということらしいが、俺のやっていることは、突き詰めてしまえば悪になるんだけど、そこらへんはどうなんだ?
そんなことを聞くわけにもいかないので放置するが、あまり俺の悪口だからって過剰な反応をするなよ。偉い人は少なからず、悪口の対象になるからな。
追加の契約をしよう。戦後処理……事後処理を引き受けてくれるのであれば、契約をすべて履行したと判断し、対価を確実に支払うことを約束する、といった内容でよろしく。
この文言があれば、帝国も隣国も安心するだろう。これでも心配や文句を言ってくるなら、付き合い方を変えないといけなくなるかもしれないな。
書類の方は、いつも通りグリエルたちに任せる。何かあったら連絡をしてくれ。
っと、これで報告会は終了かな?
家に帰ろうと立ち上がるために足に力を入れた瞬間、
「もう少しお時間をください。休むように言った手前少し心苦しいですが、もう1つだけ報告をしておきたいことがあります」
少しこわばった表情になり、グリエルが話し始めた。
話の内容を簡単に説明すると、聖国が内部分裂をしたらしい。教皇のアンデッドは、こちらに恭順を示しているが、辺境で力を持っている者が、教皇に異議を唱えだしたらしい。
内容は、労働力の獣人がいなければ、領地を維持することができない。だから、解放した奴隷を元に戻せ! さらに労働力を連れ去った俺に賠償を払わせろ! ということみたいだ。
そもそも、奴隷の獣人がいないと成り立たない時点で、国としておかしいんだよな。信徒たちの大半は肉体労働をせず、奴隷の作ったものを売り買いして生活していたのだ。
自分たちで働けば問題は無いのに、肉体労働はしたくないから奴隷を返せって……そもそも、この世界で罰賞が付く方法で奴隷にされた獣人たちを、返せという時点で頭が腐ってるんだよな。
だいたいこういうことを言う奴らは、奴隷の扱いもひどく簡単に殺していた形跡があるんだよね。
そういうのが沸かないように徹底的に潰して回ったのに、まだそんなことを言うバカがいるのかと反対に感心してしまいそうだ。
これに対してどうするか返答を求められているんだとか……返答?
疑問に思ったのは、教皇を通さずに直接こちらへ文句を言ってきたらしい。
ん~どうするのが正解かね。別に放置でもいいんじゃないかと思うけど、それじゃあダメなの? 獣人たちには実害は出てないよね?
聖国の隣国には獣人はほとんどおらず、補充する術もないので、実害にあっている者はいないそうだ。だけど、放置すれば相手がつけあがるので、何かしらの対応をするべきなのか……グリエルとしては、どうするのがいいと思う?
バッハにブレスでもはいてもらえば、大人しくなると思います、だってさ。温厚なグリエルたちがそ個まで言うってことは、おそらく相当ひどい内容なんだろうな……妻たちには見せてないよな? ふう、安心した。
内容次第だが、もし地雷になるような内容だったら、馬鹿を言っている人間の領地が文字通り消し炭になるぞ……
って、あれ? 何でミリーがここに……どこまで話聞いてた? 文句? 何のことかな?
っておい! グリエルたち降参するのが早いぞ! いくら怖いからって、そこまでクルっと手の平を返すな!
ミリー、俺も内容は知らないから、ひとまず落ち着いてくれ。その殺気は、この建物にいる人たちに悪影響を与えるぞ。
怒っているミリーを落ち着かせるために、ギュッと胸の中で抱きかかえる。
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