2222話 ちょっと待て!
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子どもたちと一緒に寝たので、朝はこうなると思っていた。
まだ、オムツというかトレーニングパンツをはいているシンラだが、お漏らしすることはほとんどない。夜更かししすぎたり、水分を取り過ぎた時にするくらいで、それ以外はほとんど見られない。たまにあるけど、そのためのトレーニングパンツなので、問題は無いだろう。
お漏らしの形跡の無い匂いで俺の顔に張り付いているのは、いつもどおりのシンラだ。つい最近もこの起こされ方したのに、またすぐに同じ起こされ方をするとは思ってなかった。
今日は、両手にミーシャたちが張り付いているので、シンラを動かすすべが俺にはない。
せめてもの抵抗で、表情筋をフルに使って顔を動かす。シンラがくすぐったくて起きないかと思ったが、反対に手でバシバシ叩かれた。それでも起きていないのだから、困ったもんだ。
子どもたちが起きていないのは、いつもより夜更かしをしていて、俺がいつもより早く目が覚めたからだ。
俺の起きた原因は息苦しさだけでなく、昨日ほとんど体を動かしていないからだ。一番動かしたなって思うことでも、ゲームで遊んでいる時にシンラがぐずって、あやしながらゲームしたくらいだな。
その時の順番だったスミレは、半分寝てたからあてにならなかった。プラムとシオンは、何とかしろよ! みたいな視線で俺を見てきたためあやそうかと思えば、もうすぐで倒せる強敵に手を抜かないでと、ミーシャたちに怒られながら必死になったあの時かな。
息苦しくはあるが、表情を変えてある程度呼吸のしやすい表情を発見したので、無理に起きる必要もない。それに、少し力を入れて呼吸をすれば空気が吸えるし、誰か起きるのを待とう。
…………
寝れないのに目を開けても真っ暗で、呼吸もしづらくて、体も動かせないとなると……体感で30分が限界だった。実際に30分かは分からないが、あまりにも苦痛だったので、右手をゆっくりと動かして起こさないように……
ダメだった。右で寝ていたのはウルだったらしく、眠気眼を擦って様子を把握している気がする。
俺が動いた理由が分かったのか、ウルがシンラをそっと抱きかかえて……移動させられなかった。
俺の顔の左右にプラムとシオンがいることは分かっていたが、その2人がシンラの事を掴んでいるようで、持ち上げることができなかったようだ。
実際には見えていないので、どんな状況なのかは正確には分からないが、たぶん間違っていないと思う。
困っている雰囲気がするが、ミーシャたちも起き始めたので状況を説明して、スライムたちにも協力してもらいシンラたちを移動させてくれた。
俺の顔の代わりに、スライムを置いてそこに張り付かせた状態で、プラムとシオンがシンラの服を掴んでいる状態だな。それにしても、俺の頭の上あたりで寝てはいたけど、何でシンラは頭の上にいて、プラムとシオンは俺の顔の左右にいたんだ?
お前さんたち、普段は寝相がいいはずなのに、こういう時だけ俺の事をイジメてくるよな……
それにしても、相変わらずシンラの事が好きな2人だな。
4人にお礼を言って時間を確認すると、まだ6時前だった……寝て5時間くらいしか経ってない。
ウルたち4人はもう少し寝るようで、そのまま4人で引っ付くようにして眠り始めた。この子たちも仲がいいな。普通、俺のような地位でこれだけの子どもがいれば、領主の座を巡って……みたいなことがあるかもしれないが、この子たちには全くその様子がないよな。
一番上のウルは、領主の座には興味なく、俺を補佐するためにいろんな勉強をして、一番の候補であるシンラの手助けをするつもりのようだ。俺的には、ウルが継いでも誰にも文句は言わせないけど、本人にその気がないので保留となっている。
グリエルやガリアも、後継者はウルでいいのでは? と言っているが、本人が嫌がっては話が進められないな。
ミーシャ、スミレ、ブルムの3人は、冒険者になると言っているし、そのために従魔としてフェンリルの子どもたちを付けているし、一緒に訓練をしたりしているもんな。今回は連れてきてないけど、今日家に戻ったらすぐに合いに行きそうだな。
一番の候補のシンラは……現状は良く分かっていない。プラムとシオンは、自分が鳴るとしたら絶対にシンラにさせると思われるので、やっぱりシンラが有力候補だろう。これからも子どもは生まれるだろうし、シンラが後継者になるとは限らないが……なんやかんやで苦労人のシンラが俺の後を継ぎそうだな。
シンラが領主で、ウルがグリエルたちの立ち位置に来て、プラムとシオンが秘書ってところかな?
プラムとシオンが大きくなって、シンラから離れたら話は変わるが……今の所その片鱗すら見られない。さすがに兄妹で結婚はできないから、いずれはなれるだろうとは思うけど、いつになるのやら?
『そんなあなたに耳寄りな情ほ「そういうのいいんで、帰ってください」……おうふ、相変わらず容赦のないぶった切りね。でも、今から話すことは聞いておいた方がいいわよ。聞かないで後悔することは無いと思うけど、かなり重要な事よ』
……あまり信用できないが、聞いておいた方がいいような気がする。
『信用できないとは失礼ね! まぁいいわ。今兄弟で結婚って言ってたけど、同じ母親から生まれなければ、その子たちは赤の他人と言ってもいいほど、血のつながりは無いわよ』
ん? 意味が分からん。俺の子なのに何で血のつながりがないんだ? 妻たちが浮気したなんて考えられないし、アホな事言ってんじゃない。
『そういう事じゃないわよ。あんたは、ダンジョンマスターって言う種族なのは話したわよね? 人間でもあるんだけど、本質的には魔物に近いのよ。生まれとか魔石の話じゃなくて、生態がというべきかしらね……行ったら悪いけど、ゴブリンやオークに近いわ』
はぁ? ぶっ殺すぞ! 誰でも彼でも犯すような外道じゃないんだが?
『とっかえひっかえって意味では、あまり変わらないと思うけどね。でも、そういう訳じゃないの。ゴブリンやオークたちは、血の濃さなんて関係なく交配できるでしょ? 血が濃くなって、障害が出る要素がないのよ。そういう意味で、近いって言ったの』
……可能不可能化は置いておいて、俺のクローンを作って男女ができて、人工授精でも何でもいいから代を重ねても、血の濃さで起こる問題が何もないってことか?
『理論上で言えば、そういう事ね。まぁあなたのクローンは、どんなに頑張っても作れないけどね。あなたの血は、なんにでもなることが可能って事よ。でも、片方がダンジョンマスターではないから、極々低確率で子どもが障害を持ってしまうこともあるわね』
聞けば聞くほど良く分からん存在になってきたな……今までも良く分からん状態だったけど、更に分からなくなったわ。
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